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連載

震災が大きな転機に。
龜石太夏匡が語る
リバースプロジェクトの始まり
リバースプロジェクト 後編

貝印 × colocal
「つくる」Journal!
vol.043

posted:2016.3.15  from:全国  genre:ものづくり / 活性化と創生

sponsored by 貝印

〈 この連載・企画は… 〉  歴史と伝統のあるものづくり企業こそ、革新=イノベーションが必要な時代。
日本各地で行われている「ものづくり」もそうした変革期を迎えています。
そこで、今シーズンのテーマは、さまざまなイノベーションと出合い、コラボを追求する「つくる」Journal!
ものづくり・しくみづくり・ひとづくり・食づくり、場づくりetc、
貝印 × コロカル × earthradioチームが、フレキシブルにテーマを取り上げていきます。

writer's profile

Tetra Tanizaki
谷崎テトラ

たにざき・てとら●アースラジオ構成作家。音楽プロデューサー。ワールドシフトネットワークジャパン代表理事。環境・平和・社会貢献・フェアトレードなどをテーマにしたTV、ラジオ番組、出版を企画・構成するかたわら、新しい価値観(パラダイムシフト)や、持続可能な社会の転換(ワールドシフト)の 発信者&コーディネーターとして活動中。リオ+20など国際会議のNGO参加・運営・社会提言に関わるなど、持続可能な社会システムに関して深い知見を持つ。
http://www.kanatamusic.com/tetra/

photo

Suzu(Fresco)

スズ●フォトグラファー/プロデューサー。2007年、サンフランシスコから東京に拠点を移す。写真、サウンド、グラフィック、と表現の場を選ばず、また国内外でプロジェクトごとにさまざまなチームを組むスタイルで、幅広く活動中。音楽アルバムの総合プロデュースや、Sony BRAVIAの新製品のビジュアルなどを手がけメディアも多岐に渡る。
http://fresco-style.com/blog/

前編【リバースプロジェクト・伊勢谷友介が「未来づくり」に着手 リバースプロジェクト 前編】はこちら

今回は、青山のとあるバーで

“志”でつながっていく集合体としての企業のあり方を模索している
株式会社リバースプロジェクト。
前回は代表で俳優の伊勢谷友介さんにその“未来づくり”についてお話をうかがった。
今回はリバースプロジェクトのもうひとりのキーパーソン、
共同代表の龜石太夏匡(かめいし・たかまさ)さんに、
立ち上げからこれまでの活動の流れと現在の具体的な事業について尋ねた。

リバースプロジェクトの事務所の地下にある〈PR BAR〉は、
龜石さんがオーナーを務めているバーだ。
ざっくばらんにお話をということで、PR BARでビールを片手に取材となった。
まずは伊勢谷さんとリバースプロジェクトを立ち上げたときのことから。

「最初は映画監督を目指していた伊勢谷友介と
脚本家を目指していた僕が、映画づくりの話をしているなかで、
深い話をするようになり、当然社会の話になったのです。
そのなかで一瞬の強いインパクトをもたらす映画だけでなく、
何か社会に継続的にインパクトを残せることをしようと。
そこで“人類が地球に生き残るためにはどうするべきか?”という
リバースプロジェクトの企業理念を言葉にし、可視化したわけです。
ターゲットが人類全体になったことに僕が共感したんです。
もしかしたら究極の机上の空論、理想論かもしれない。
でも「何それ、おもしろそうだね」と仲間が集まってきて、
リバースプロジェクトが始まったんです。
最初の1年はそれをできる範囲でどんどん可視化していこうと、
イメージヴィジュアルをつくったり、メッセージTシャツをつくったりと、
まず手弁当で始めました。
そして2年目で社会につながろう、と。
そして本格的にスタートするのは3年目くらいから。
そのぐらいのスパンで考えていました」

実際には2年目ぐらいで〈Lee Japan〉など、
地球環境をともに考える企業とのコラボも始まり、
仕事の幅も広がっていき、社会とつながりをつくっていけたという。
しかし3年目で当初の計画を狂わす大きなできごとが起きた。

〈株式会社リバースプロジェクト〉共同代表の龜石太夏匡さん。

「起業3年目のこと。東日本大震災が起きたんです。
結果としてその1年は支援活動に没頭することになりました。
情報のハブとなることを決めて情報発信していた伊勢谷のもとに、
救援物資を届けてほしいという声がたくさん集まりました。
そこで協力者を募り、震災後9日目ぐらいに伊勢谷と被災地に入りました。
震災の爪痕を見たときに、この1年はもうこれをやるしかないと心に決めました」
 
その年は会社としてのあらたな取り組みや種まきはあまりできなかったという。
経営としてはジリ貧になった。

「でも結果として被災地に入り、真摯に活動していったことや、
人類とは? 地球が? 未来とは? と問いかける伊勢谷の存在があったから、
リバースプロジェクトの存在を多くの人に知ってもらえるきっかけになったと思うんです」

東日本大震災 被災地にて

3.11はリバースプロジェクトの現在の活動の原点になったと考える龜石さん。
被災地でこれまでリバースプロジェクトが行ってきた活動についてうかがった。

「最初に仙台のチームと一緒になって、
現地で炊き出しや救援物資を届けたりしました。
3月中は直接支援になる活動を行いました。
直接支援のあと現地に雇用を生まなきゃならないと、
クラウドファンディングシステム〈元気玉プロジェクト〉を立ち上げ、
東北支援に特化した企画を呼び掛けました」

〈元気玉プロジェクト〉は、WEB上で起案者が実現したいアイディアの費用を、
その趣旨に賛同した人たちに小額から募ることができるプラットフォーム。
支援する人と立ち上がろうとする人をつなぐために
さまざまなプロジェクトが実現した。
宮城県岩沼市で被災して仕事を失ったお母さんたちの雇用を生み出すために、
お弁当屋さんを起業する〈東北元気玉弁当プロジェクト〉や、
震災で卒業式をあげられなかった福島県飯館村の子どもたちに
卒業式をクリスマスにプレゼントする〈飯館村卒業式プロジェクト〉、
建築廃材を材料として設計された〈トランスチューブ〉を再利用し、
被災地の図書館をつくる〈こども図書館プロジェクト〉などなど。

〈元気玉プロジェクト〉一覧

被災したお母さんたちに雇用を生み出すためにお弁当屋さんの立ち上げを支援した〈東北元気玉弁当プロジェクト〉。写真提供:リバースプロジェクト

2011年、東日本大震災の支援活動から生まれたクラウドファンディングシステム〈元気玉プロジェクト〉。〈飯館村卒業式プロジェクト〉の打ち合わせをする伊勢谷友介。写真提供:リバースプロジェクト

震災で卒業式をあげられなかった福島県飯館村の子どもたちに、卒業式をプレゼントする〈飯館村卒業式プロジェクト〉。写真提供:リバースプロジェクト

建築廃材を材料として設計された〈トランスチューブ(デザイン:平社直樹)〉の新作を展示後に再利用し〈こども図書館〉として被災地に元気玉で届ける〈こども図書館プロジェクト〉。写真提供:リバースプロジェクト

「〈元気玉プロジェクト〉は、支援を目に見えるかたちにすることで、
誰かの幸せを自分の幸せと感じられ、
お互いを支え合う気持ちが社会に広がっていくことを願いました」
 
こうして、50以上のプロジェクトを世に送り出した。
現在は復興支援が一段落し、新規プロジェクトは休止している。

2014年、震災被災地で行われた東北復興支援イベント〈MIYAGI POKERUN〉での伊勢谷さんと龜石さん。写真提供:リバースプロジェクト

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現在、そしてこれからのリバースプロジェクト

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楽しみながら被災地を支援できること

「震災から3年経ち、〈元気玉プロジェクト〉での支援が一段落しました。
次は、震災を風化させないようにと、
みんなが楽しみながら復興しつつある宮城県を巡るという
〈MIYAGI POKERUN〉を企画しました。
がんばろう、ふんばろうではなくて、次のフェーズは楽しみながら支援すること。
復興しつつある被災地のいまを見ていこうと考えたんです」

〈MIYAGI POKERUN〉はスマートフォン、地図情報をはじめとする
ICT技術を活用した新しいかたちのスタンプラリー。
東日本大震災を風化させないよう、復興現場を訪れ、
地域住民とふれあい(POKE)、
無料の専用アプリを使用して、宮城県内の協賛施設、協賛店舗、協賛企業の
約70か所に設置した
チェックポイントを5か所以上回遊(RUN)し、チェックインして、
トランプカードを集めるというもの。
このチェックポイントのなかにはリバースプロジェクトが
震災後すぐグランドデザインを手がけた
宮城県名取市の商業施設〈ATARATA(アタラタ)〉なども含まれている。

宮城県香取市の商業施設〈ATARATA(アタラタ)〉。リバースプロジェクトがグランドデザインを手がけた復興の拠点のひとつ。写真提供:リバースプロジェクト。

「楽しむために東北を訪れる、そして地元の人と交流していくことで、
本当のつながりが生まれます。
そして次のフェーズとして、いよいよ東北の企業と実業として、
協業していこうということになりました。
そして被災地と協同で立ち上げたビールづくりのプロジェクトにつながったのです」

いわて蔵ビール×リバースプロジェクトのオーガニック IPA〈ヨイツギ〉

2015年、岩手県一関市の〈世嬉の一酒造〉とコラボレーションで
リバースプロジェクトのオリジナルの、オーガニッククラフトビール〈ヨイツギ〉が誕生した。

「“想いをつなぎ、酔いをつなぎ、仲間をつなぐ”意味を込めて、
〈ヨイツギ〉とネーミングしました」と語るのは、
リバースプロジェクト プロデューサーの岡井一貴さん。
〈元気玉プロジェクト〉の飯舘村の子どもたちに卒業式をプレゼントしたイベントで
リバースプロジェクトと出会い、メンバーとなった。
オーガニッククラフトビール〈ヨイツギ〉の特徴をお聞きした。

「ビールには“IPA”という種類があるんですが、
このビールは、IPA本来の意味である
“India Pale Ale”(インディアペールエール)ならぬ、
“Iwate Pale Ale”の略なんです。岩手からの新しいIPAの誕生です」

リバースプロジェクト〈ヨイツギ〉のプロデューサー岡井一貴さん。被災地支援のなかでリバースプロジェクトと出会い、メンバーとなった。

このプロジェクトはどんな経緯で生まれたのだろうか?

「まずビール好きのメンバーがPR BARに集まって、
“リバースプロジェクトがビールをつくるとしたらどんなビールか?”
ということを議論したんです。
まずはオーガニックであること。東北の復興支援になること、
ジビエ料理などに合うなどが開発の軸になりました」と岡井さん。

「全国で200を超えるマイクロブルワリーのなかで、
オーガニックビールがつくれるのは3軒ほどしかない。
そのひとつ、岩手県一関市の〈世嬉の一酒造〉さんにお声かけをして、
一緒につくることになりました。東北で唯一のオーガニックビールをつくれる蔵元です。
ここは震災で蔵がつぶれるなどの被害がありましたが見事に再生し、
精力的に新感覚のビールを開発していました」

さらにリバースプロジェクトらしいビールとはどういうことかを
メンバーで徹底的に議論したという。
何種類ものビールを試飲し、パッケージから味まで、
そのすべてを納得いくものをつくろうと試行を繰り返した。
こうしてできたのがオーガニッククラフトビール〈ヨイツギ〉。
獣害から駆除され、そのほとんどが廃棄されているイノシシ肉やシカ肉などの
利活用の提案をしていることから、“ジビエ料理に合う味であること”、
また伊勢谷のリクエストから“IPAなのにキレがある”という特徴を押し出した。

〈世嬉の一酒造〉のクラフトビールブランド、いわて蔵ビール×リバースプロジェクトのオーガニック IPA〈ヨイツギ〉。日本で唯一、樽生が飲めるのはPR BARだけ。

〈おいしい水曜日〉

このオーガニッククラフトビール〈ヨイツギ〉の樽生が飲めるのは
リバースプロジェクトの直営ともいえるPR BARだけ。
龜石太夏匡さんがオーナーを務めているからということもあるが、
さまざまなリバースプロジェクトの関連イベントが開催される。
そのなかでも「食」に関するプロジェクトのひとつが、〈おいしい水曜日〉。
食部門〈HOUSE475〉の企画として、
リバースプロジェクトケータリングを担当する
フードコーディネーター新納平太が手がけるプロジェクトだ。
毎日何気なく食べているものが、どこから、どのように私たちの口に入り、
身になっているのか。本当の安心、おいしさとは何か。
そんな問いの答えを辿るように、目でみて手で触って、匂いをかいで、
五感をフル活用して食の過程に触れながらのトークを楽しむ。
 
次回、〈おいしい水曜日〉の開催は3月30日。テーマは「地球のくらし、いのちのしくみ」。
ゲストとして、土の専門家でパーマカルチャリストの四井真治さん、
そして写真家の桐島ローランドさんを迎えてのトークセッション。
リバースプロジェクトのメンバーやプロジェクトに触れるいい機会。
リバースプロジェクトの活動に興味がある方はぜひ一度、訪れてみてほしい。
その際はリバースプロジェクトのオリジナル オーガニッククラフトビール〈ヨイツギ〉を
試してみてはいかがだろう。

リバースプロジェクトケータリングの一例。岡山県美作産自家製鹿肉レバーパテとマッシュルームソースのカナッペ、鹿肉ローストの天然酵母パンのプチバーガー、南伊豆産猪肉のアーモンドとパプリカの煮込み、自家製ピクルスとチーズのピンチョス、伝説の落合芋とリーキのポテトサラダ。写真提供:リバースプロジェクト

information

REBIRTH PROJECT 
株式会社リバースプロジェクト

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オーガニック IPA 〈ヨイツギ〉

http://www.sekinoichi.com/fs/sekinoichi/yoitugi

PR BAR

住所:東京都港区北青山2-12-35 タートルストーン青山ビルB1

営業時間:19:00~26:00

TEL:03-6434-5727

最寄り駅:外苑前駅「3番出口」より徒歩5分

定休日:日曜・祝日

http://www.prbar.jp

2016年3月30日 @ PR BAR

おいしい水曜日 『地球のくらし、いのちのしくみ』

ゲスト 四井真治さん、桐島ローランドさん

パーマカルチャーデザイナー四井真治さん『地球のくらしの絵本』シリーズ本出版記念 

https://www.rebirth-project.jp/project/h475/oishi/

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