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梅干しのつくり方でよく見かけるのが、
梅の重さに対して18%の塩で仕込む方法です。
けれど、もう少し塩分を減らすことで
食べやすい梅干しになるのでは? と、
昨年いろいろ試してみました。
10%、16%、18%の3段階で仕込んだ梅干しができあがり、
夫と娘と一緒に試食。
10%の梅干しと18%ではたいそう塩気が違うだろうと
予測していました。
ところが、ほとんど違いを感じなかったのです。
これはとても意外だったのですが、
使用した塩が角のないまろやかな塩だからかもしれません。
昨年使用した塩は、伊豆大島の〈海の精〉という甘めの塩。
味噌にしても梅干しにしても、
一番肝心なのは塩のセレクトなのではないか? というくらい、
どんな塩を使うかが味に影響を及ぼすように私は感じています。
まろやかな塩と辛めの塩では、仕上がりがまったく異なるのです。
塩分濃度に話を戻すと、
濃度が低いとカビや雑菌の繁殖のリスクが増えます。
実際、10%の梅干しはヒヤヒヤしながら毎日見守っていました。
けれど、10%と18%でこれほど違いがでないのであれば、
ある程度濃度をあげて
安心して漬け込む方が私には向いてそうです。
青梅と完熟梅の食べ比べもしてみました。
青梅のほうが食べた瞬間「おー、酸っぱい!」という
強い酸味が感じられます。
けれど、それがおいしくないのかというとそうでもなく、
梅干しらしいといえば梅干しらしい。
夫と娘は完熟が好きで、
ある友人は青梅の方が好きとのことでした。
私はそのまま食べるとかおにぎりにするなら完熟、
料理に使うなら青梅の酸味もとてもおいしいと感じます。
一般的に梅干しは完熟梅を使いますが、
下田の直売所に出回るのは青梅がほとんどです。
それを自分で保管して追熟するのですが、
湿気が多いと追熟している間に傷んでしまいます
(昨年まで住んでいた家は、
湿気がひどかったので追熟が本当に難しかった……)。
さらに、すべての梅が同時に完熟してくれないので、
昨年は毎日チェックしながら
完熟したものだけつけていくというなかなか面倒な状況に。
今年は追熟するか青梅でつけてしまうか、悩むところです。
梅干しの基本的な仕込み方は
ネット検索するとたくさん出てくるのではしょりますが、
こうするとつくりやすいよとか、
おいしくなるよ、という私なりのポイントをご紹介します。
●拭かずに乾かす
「洗った梅を清潔な布で丁寧にひとつずつ拭く」というレシピを
よく見かけるのですが、量が多いとなかなか面倒です。
ということで、
私は洗ったあとに竹ざるの上で数時間自然乾燥しています。
「なり口」を取るついでに残っている水分を
ちょこっと拭くだけなので、かなり手間が省けます。
●塩漬けする前に、梅に焼酎をまぶす
塩漬けする前に梅に焼酎をまぶすと、
梅酢の上がりが格段に早くなります。
梅酢が早く上がることで雑菌が繁殖するリスクを避けられるので、
とてもおすすめです。
焼酎だけではなく、りんご酢や前年の梅酢も利用できます。
●取り込むのは夜露を含んだ朝
梅干しは3日3晩天日干しにするのですが、
最後に取り込むのは3日目の夜ではなく4日目の朝。
そうすると梅が夜露を含んでいる状態なので、
しっとりとした梅干しになります。
この取り込むタイミングによって、
しっとりした梅干しになるか乾いた梅干しになるか、
違いがでます。