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もともと好きだったピザを、ご自身が焼き始めたのは4年前のことです。
東京に庭つきの自宅を建てたことがきっかけで、
試しに庭でピザを焼いてみることに。
今の〈FermenCo.〉からは想像がつきませんが、
初めてのピザは魚グリルで焼いてみたそうです。
発酵も焼き加減もまったくうまくいかず失敗、
自分がイメージするおいしいピザにはほど遠いものに仕上がりました。
その後何度もトライしてみるもなかなかうまくいかず、
それがとても悔しかったのだそうです。
「どうしたらおいしいピザが焼けるのだろうか……」と研究を重ね、
まずは小さな薪釜を購入して庭に設置。
さらに発酵をうながすための酵母「サワードウ」をやり始めてみると、
香りが高く格段においしいピザが焼けたのです。
このサワードウとの出合いが健人さんのピザ熱をさらに加速させ、
DJの仕事の合間にひたすらピザを試作する日々が始まりました。
「今日もまたピザ? もう食べられないよー! っていうほど
当時はピザを焼いていましたね」と沙織さんは笑います。
そのうち、「いつかピザ屋をやってみたい」という気持ちを抱くほど、
健人さんはピザの世界にのめり込んでいきました。
「いつかピザ屋をやりたいと思っていたんですけど、
コロナによってそれが早まったんですよね」
DJの仕事は深夜から朝まで、
年齢的にもいずれ違う仕事をしようと思っていたのだそうです。
けれど、新型コロナ感染によってご自身でも
予測できなかった流れになります。
予定していた健人さんのイベントなどは軒並み中止に。
エステティシャンだった沙織さんも、
仕事ができない状況になってしまったのです。