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仕事を決めずに移住してどうなった?
「関係人口」を増やすための
新しいナリワイとは|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.089

Page 2

その土地で、自分に合った仕事を見つけたい

型コロナウイルス感染症の影響により、「密」な都市部から
郊外・地方への移住を考える方が多いそうです。
そのきっかけのひとつとして、コロナ禍を機に広がった
「テレワーク」があるとか。
確かにテレワークで「どこでも仕事ができる」という方にとっては
移住のハードルは低いのかもしれません。

でも、実際には都市部の多くの方は
テレワークができないような仕事に就いていて、
コロナ禍でも変わらずに電車に乗って通勤している。
そうした方たちにとっては、「移住」というのは
暮らす場所を変える、そして仕事も変える、ということで
相当高いハードルといえます。

高台から見た下田の海

でも、そんな方たちもこのコロナ禍により
仕事や暮らしについての価値観が変わり、
移住を考え始める人も多いそうです。

という自分も「仕事も暮らす場所も変える」という移住をしました。
コロナ禍がきっかけではありませんが、
東日本大震災という、やはり価値観を揺るがすような
大きな出来事がそのきっかけでした。

田植えの様子

震災直後、スーパーの棚が空っぽになっているのを見て、「いままで積み上げてきたものの儚さ」を実感。せめて自分たちが食べる米ぐらいつくれるようになりたい! そんな思いで移住を決意。そして始めた米づくりも3年目となりました。

詳しくは連載初期に書いていますが、東京で会社員だった僕は
会社を退社してから、移住先探しの旅に出ました。

そして、紆余曲折あり、下田で暮らすことに。
暮らし始めたときには仕事はありません。
この連載のいくらかの原稿料が唯一の収入源でした。

移住するにあたり、いままでの仕事が続けられない場合は、
先にネットやハローワークなどで就職活動をするのが一般的なようです。
でも、暮らす前からネットやハローワークで就職先を決めてしまったら、
その土地を知る前に仕事を決めてしまうということになる。

僕としてはそうではなく、その土地に暮らし始めてから
自分に合った仕事を見つけたい、
そんな思いから仕事を決めずに移住することにしたのです。

実際、この決断にはかなり勇気がいりました。

自分に合った仕事がなかったらどうしよう? 
というか、そもそも仕事がなかったらどうしよう? 
そんな不安は少なからずはありました。
でも、いやいや、仕事がないなんてことはないはずだ。
選ばなければあるはず、最悪、なかったらつくればよい、
そんなつもりで決めたのです。

そして、仕事はひとつではなく、いくつかの仕事を組み合わせたい。
そうも考えていました。
これは移住を決めた頃に出会った本『3万円ビジネス』
影響を受けたとも言えます。

この本では地方で働くことをテーマに、
月に3万円の収入となるような仕事を
いくつか持つ働き方を紹介していました。
この働き方に魅力を感じたのは、社会状況の変化が激しい時代なので、
ひとつの仕事に絞るのはリスクが大きいと感じていたこともあります。

「月3万円では暮らせないぞ!」と思うかもしれません。
ならば「月3万円ビジネスを10個」というのはどうでしょうか。
月30万円の収入になります。
支出が少ない生活を愉しむことを重ねれば、
「月3万円ビジネスを5個」でもお釣りがくるかもしれません。

 

『3万円ビジネス』まえがきより

湧き水を汲む

移住してからは支出が少ない暮らしを愉しんでいます!