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下田の家庭の味を支えてきた
〈山田鰹節店〉|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.072

Page 2

削りたてのかつお節に胸がときめく!

田に移住したばかりの頃、東京に住む友人が連絡をくれました。
「下田にすごくいいお店があるんだけど、知ってる?」と。
友人が教えてくれたのは下田のまちなかにある
〈山田鰹節店〉というお店。

山田鰹節店の外観

初めてお店を訪れたとき、大げさに思われるかもしれませんが、
胸がときめきました。
古い木の建具が配された雰囲気のある店構え。
扉をあけると目に飛び込んでくるのは、
木箱にこんもりと積まれたかつお節の山。
ふわっとした削りたてのかつお節の香りが店いっぱいに充満しています。

できたてのかつお節が山になっている

このお店の魅力のひとつは、
削りたてのかつお節を量り売りしてくれること。
「100グラムください」なんてやり取りをするなんて、
肉屋以外では初めての経験です。
しかも相手が削りたてのかつお節なんて、何とも粋じゃありませんか。

かつお節やさば節を袋詰め

注文するとかつお節やさば節を袋に詰めてくれます。手前がさば節、奥がかつお節。

初めて訪ねて以来、すっかり山田鰹節店が気に入ってしまい、
かつお節を買いにお店に通うようになりました。
お店の戸を開けるたびに「あ~、いい香り~」と深呼吸、
そして量り売りをしてもらうと何だか気持ちが温まるのです。

と同時に浮かんでくる疑問。
「古い佇まいのお店と昔ながらの対面販売、
しかもいまでは珍しいかつお節屋さん。
どんな思いでお店を続けてきたのだろうか」

気になって仕方ないのだけれど、
ぶっきらぼうに質問するのもなんだか失礼だし……。
お店にうかがうたびに少しずつ距離を縮め、
よきタイミングを見計らっていました。

山田鰹節店のカウンター

そして先日のこと。
娘の学校給食に山田鰹節店のかつお節が使われていることを知り、
お店の方にその話をしてみると話がどんどん深い方向に。

「口から入るものなんだから変なものは出せないよね、
添加物とか防腐剤のないものじゃないと。
子どものうちからちゃんとしたものを食べさせてあげるって
大事なことだよね」

ふむふむ、激しくうなずいてしまいます。
「実は一度じっくりお話をうかがってみたかったのですが、
あらためてお時間いただけますか?」とうかがうと、
「こんな話でよければいいですよ」とご快諾いただいたのでした。

山田鰹節店のご家族4人

社長の山田悦子さん(前列左)とお姉さんの高橋和子さん(前列右)、お兄さんの山田光弘さん(後列右)甥っ子さんの高橋昌史さん(後列左)のご家族4人でお店を切り盛りしています。