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当初は、畑で野菜をつくるぞ!
民泊をやってみたい!
と期待に胸を膨らませていました。
……で、実際はどうだったかと言うと。
野菜は畑や庭のほんの一部分でつくっているくらいで
ほとんど稼働することはありませんでした。
というのも、米づくりを始めたことや、
日常の仕事や家事育児で、庭の野菜にまで手が回らないのです。
野菜と米、どっちもやってこそ目指していた自給自足ではないか!
とも思うのですが、田んぼと仕事と子育てがあるなかで
「自分たちにはそこまではできない」と、2年半でよくわかりました。
引っ越しの相談をした人には「できない」とわかったことが収穫だよ、
と言われ、妙に納得。
でも、野菜に手が回らなくても
広い庭と畑には草がどんどん生えてきます。
庭の木もどんどん伸びてきます。
あっちの草刈りが終わる頃にはこっちがボーボーという状態です。
頭のどこかで常に「あそこの草刈りしなきゃ……」と
考えている状況はあまり心地のいいものではありません。
いままで大きな庭に縁のなかった都会育ちの自分には
庭の維持管理の大変さが想像できていなかったのです。
そして、大きな家ということで何部屋か使わない部屋があります。
そこで民泊を、と当初は企んでいたのですが、
実際に暮らし始めるとなかなか難しいことに気づきました。
大きい家といっても、民宿のようなつくりに
なっているわけでもありません。
もしもここで民泊をするとなると、プライベートの空間と
民泊の空間が完全にまぜこぜになるわけです。
なかにはそのようにして民泊をしている人もいるそうなのですが、
自分たちにはそれはできないということがわかりました。
さらには、大きい家ということで掃除も手間がかかります。
また、家が大きいとどうしてもモノが増えていく。
モノを買わないほうではあると思うのですが、
何かを買い替えたときに古いモノの置き場所がある。
すると古いモノを何となく捨てない。
そうしていくと、使わないモノが身の回りに溢れていく。
そんな悪循環に陥りました。
日々、整理していればそんなことにはならないのでしょうが、
なかなかどうしてできないもの。
これも大きい家に縁のない暮らしをしていた自分には
想像できないことでした。
また、つくりの古い家で海に近い立地、広い庭に囲まれている、
そして裏には川、という条件も揃い、湿気や虫も想像以上でした。
大きくて掃除に苦労するのに、すこし掃除をサボったり、
しばし家を空けたりすると部屋がカビだらけ、
蜘蛛の巣だらけ……ということに。
蜘蛛の巣はともかく、カビに関しては健康にも影響することです。
わが家には娘もいます。娘は親が選んだ家に住むしかないのです。
親としてはこれはどうにかしないといけない、
そう感じるようになりました。