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昨年、わが家は人生で初めての米づくりを経験しました。
自分たちの手で植えた稲がすくすくと育ち、
秋になると立派に実り黄金の穂をたらす。
台風の翌日見に行くと、斜めになりながらも必死に耐えていた姿。
大げさに思えるかもしれませんが、
子どもの成長を見守るような感動すらわき上がったのです。
そうして育ったお米がわが家の食卓にのぼったときの幸福感は、
いままで経験したことのないものでした。
今年で2年目となる米づくりも、この春から始まりました。
昨年、この連載でも米づくりについて書いていますが、
わが家は移住して間もなく出会った米農家の中村大軌さんが営む
〈南伊豆米店〉の支援制度を利用しています。
移住してやりたかったことのひとつ“米づくり”を
早い段階で実現できたのも、この制度のおかげです。
南伊豆米店が借りている田んぼを私たちが使わせてもらい、
米づくりについて教えてもらいます。
さらに重機が必要となる作業も行ってくれるので、
初心者でも重機を持っていない移住者でも
米づくりを始めることができるのです。
4月末になると、乾いた田んぼの土を砕き耕す
「田起こし」という作業を。
5月末には水を入れた田んぼの土を細かく砕き、
表面の土をやわらかくして田面を均一にする「代掻き」があります。
これらの作業は南伊豆米店さんに重機で行ってもらいました。
昔は(昭和30年~40年頃でも)人力や馬・牛を使って
やっていたそうですが、いまは機械があるのでありがたい。
そして、代掻きの合間に夫が柄振(エブリ)という道具を使って
土を均一にならす作業をしました。
これは昨年はやらなかった新たな試みです。
というのも、昨年この田んぼをお借りして実際にお米をつくってみると、
田んぼの中でかなりの高低差があることに気づいたのです。
そのため、ぬかるむところと干上がるところの差が出てしまい、
田植えの段階でもその後の水位の調整にも苦労しました。
そこで、今年は田植え前にできる限り平らにしてみようと、
夫が念入りに作業してくれました。
効果がどれほどあるのかわかりませんが、
とにかくやってみようということで。
そうしていよいよ田植えというハレの舞台を迎えたのです。