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移住後の初挑戦。
正月飾りは自分でつくる!
暮らしの知恵をつないでいく|Page 3

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.052

Page 3

ついに、人生初のしめ縄づくりに挑戦!

年の瀬も押し迫ったある日、鈴木さんのご自宅にうかがういました。
ガレージにはすでに鈴木さんがしめた縄がずらり。

「そんなすぐにはうまくできないよ、うまくなるには数年かかる」
と鈴木さんにたしなめられ、
「はい、承知しています!」と答える。
師匠と弟子という若干の緊張感を持ちながら、作業スタート。

鈴木さんがしめた縄

材料のひとつ橙(だいだい)

材料のひとつ橙(だいだい)。冬になって熟しても果実が落ちず、2~3年成り続けることから「だいだい(代々)」という名前がつけられたのだそう。お正月に飾るのは、代々家が繁栄するようにという意味が込められています。下田の直売所では時期になるとひとつ80円くらいで手に入ります。

今回使用する藁はわが家のものではなく、鈴木さんが用意してくれたもの。
わが家の藁が果たして正月飾りに使えるのか? 
正月飾り用の藁と普通の藁となにか違いがあるのか? 
そうしたこともまったくわからなかったので、
今回は鈴木さんのご好意に甘えさせてもらうことに。

ちなみに、正月飾り用の藁というのは
稲が熟していない青いうちに刈ったもので、
日光に当たると茶色くなってしまうので、陰干しをしたものだそう。

きれいな青みがかった藁、まずはハカマ取りという作業をします。
ハカマというのは藁の根元をぐるりと覆っている下葉のことで、
これをきちんと取り除くことできれいな仕上がりになります。

ハカマ取り作業

毎年いろいろな神社や知り合いから正月飾りを頼まれる鈴木さん。年末はそれにかかりっきりになるのだそうです。

「やってごらん」と促されながら実際にやってみると、
これがなかなか手間のかかる作業。
実は納豆のときにもこの作業が必要だったのですが、
1本の藁づとをつくるのにかなりの本数が必要なので、
なかなか手間取りました。

きれいになった藁を束ねたら、いよいよ締め方を教えていただきます。

しめ縄づくりのあんちょこ

お手製のあんちょこ。どこに何本の藁を使うか書き込まれています。

藁を交差させる作業

右にねじったふたつの藁を左回りに交差していく。緩まないよう手で押さえながらしっかりとねじる。これがなかなか難しい。

右足で固定しながら締めていくのが鈴木さんのやり方。
これは鈴木さんご自身があみ出した方法だそうで、
力のない女性でも締めやすいのだそう。

「はい、やってごらん」ということで人生初めて藁を締めてみました。
「そうそう、ほいでここでぐーっと巻いて、
そうして押さえて、ひとつ、ふたつ、みっつ」
鈴木さんのかけ声でリズムを取りながら締め始める。

「ぐっと、もっとぐっと!」と言われリキむ。
「どれ、見せて。あー、うまくできてる。
初めてでこんなにできないよなかなか、
こんなに締まらないんだよ最初は、上手だね~」
と顔を覗き込まれてうれしくなってしまったのでした。

横になって休憩中

「作業の合間にこうして横になるの、そうすると腰が曲がらないでしょ」

次の工程、しめ縄に飾りをつけていきます。
鈴木さんがつくる正月飾りには、
ゆずり葉、橙、裏白、へいそくが配されています。
その材料を揃えるのもひと苦労なのだそう。

裏白は自ら山に入って取ってくるということで、
ご自宅の裏山を見せていただくとなかなか険しい。
ちなみに鈴木さん、実は昭和10年生まれのなんと83歳!

裏白(うらじろ)

山で採ってきた緑の葉、裏白(うらじろ)。葉の裏が白いので「裏がない」、潔白を表すのだそうです。奥に見える紅白の和紙がへいそくです。

完成した正月飾りを持って記念撮影

正月飾りが完成すると「ちょっとお茶しにいこうか」と誘われ
近所のジョナサンへ。
フライドポテトをつまみにビールを飲みながら、あれこれと雑談を。

鈴木さんは老人会の会長もやってらして、
毎日かかさないウォーキングに加え、社交ダンスなどなどかなり活動的です。
元気の秘訣をうかがうと「色気、食欲、好奇心!」だそう。

近所のジョナサンで一杯