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「家族の食べる米を自分たちでつくりたい」
と今年から始めた米づくり。
米づくりを始めたといってもに商売しようというわけではありません。
だからこそ効率よりも、農薬や機械にはなるべく頼らずに
やってみたいと考えています。
vol.45でお伝えしたとおり、稲刈りまであと少しという夏の終わり頃、
田んぼに生える雑草「ヒエ」の大量発生に悩まされました。
それも、友人たちの協力を得て手作業でほぼ撲滅。
残すところの大きな作業は稲刈り、稲架(はさ、はざ)掛け、
天日干しです(稲架は、天日干しをする際に
束ねた稲を掛ける木や竹でつくった台のこと)。
いよいよここまできたか……、胸は高鳴ります。
その頃、近隣の田んぼでは稲刈りが始まりました。
わが家の稲は遅くに植えて遅くに収穫する品種のため、
まわりの田んぼより遅れて稲刈をする段取りです。
そして、稲刈りした稲を稲架に掛けて天日干しをします。
この天日干し、米の産地では効率のいい
機械乾燥に代わってしまったこともあり、あまり行われていません。
自給用の米づくりをする兼業農家が多い地域、
機械の入りにくい中山間地ではいまでも行われているそうです。
伊豆はまさにそんな地域、わが家の田んぼ周辺では
天日干しされた稲が並び始めました。
昔ながらの田園風景、日本の原風景です。
とはいっても田んぼの担い手は少なくなっています。
僕らがこうした風景を継いでいくことに
一役買えるということにもうれしくなります。
では、この天日干しは機械乾燥と効率だけが違うのか?
それだけではないそうです。
天日で干すことでアミノ酸と糖の含量が高くなり、
稲を下にぶらさげるように干すことで、稲藁に残っている養分が
じわじわと稲に落ちていき、旨みと栄養分も増すといわれています。
感覚的な話にも思えますが、天日干しの米と機械乾燥の米を科学的に分析し、
天日干しの米の品質の良さを解析した論文などもありました。
手間暇かけた分、おいしくなるということ。
ますます新米が楽しみになってきました。
その期待に胸が膨らむ稲刈りを目前に、問題が発生。
わが田んぼの稲を干す稲架に使う竹、当初はお借りする予定だったのですが、
日程の都合から借りられないことになってしまったのです。
さてどうしたものか。
稲架の材料は田んぼをやっている人が手配するのが一般的のようです。
まわりの田んぼを見てみると、かなりの量の竹が必要になりそう。
仕事先の養蜂場敷地内の竹林の竹を
いくらでも伐って持って行っていいよ、とは言われたものの、
稲刈りまでに竹林から伐り出すって……できるのか? と少々弱腰。
そして、ネットで売ってないかと調べてみたら……売ってました。
某大手ネットショップに「軽くて丈夫なアルミ製はさ掛けセット」。
お~、さすがネット社会。
お金を出せばなんでもインターネットで手に入るのです。
便利な世の中です。
でもアルミ……田んぼの風景に合わない……、
そして田んぼの面積から考えると、なんと10万円以上。
それは……ない。