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思いもしなかった心地よさ。
移住した伊豆下田、
小さなまちでの小さな暮らし|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.019

Page 2

理想の暮らしへの小さな一歩

度かこの連載でも書いていますが
「移住したら住む家のオフグリッド化を」と考えていました。

オフグリッドとはソーラーパネルなどで家庭で使用する電気をまかない、
電力会社の送電線から切れた状態のことです。
持続可能な社会のため化石燃料や原子力に頼らない暮らしを志向する人が
オフグリッドを実現しています。
僕も自分でできることは何かないかとオフグリッド化を考えていました。

ところが、この下田に移住して4か月ほどたったいま、
家のオフグリッド化に向けて何も動き出せていない状況です。

というのも、オフグリッド化には少なからずお金がかります。
(規模や蓄電池のランクにもよりますが
最低150万円ほどといわれています。参考記事

賃貸のいまの家をいつまで借りているのか? 借りられるのか? 
情けない話ですが、先が見えないなかで、そこまでの費用をかけて
オフグリッド化をする決心がつかずにいるのです。

できることはやろうとなるべく電気を使わない暮らしを心がけています。ありがたいことに家は風遠しがよく、エアコンなしで過ごせています。

このようにオフグリッド化はまったく進んでいない状況ですが、
ここ下田で暮らし始めて当初思っていなかったほど
化石燃料に頼らずにいることがあります。

それは、車に頼りすぎずに暮らしていることです。

田舎暮らしといえば大人は1台ずつ車を持ち、どこに行くにも車で、
というイメージがあります。
でも、環境の面・家計の面からも、モノをなるべく持たずに
シンプルに暮らしたいとの考えからも、なんとか避けたいと思っていました。
そして、始まったわが家の田舎暮らしでは、車は1台、
日々の生活ではいわゆる田舎暮らしのイメージほどには車に頼っていません。

下田は人口2万人と少しという小さなまち、
そして観光地でもあり港町でもあります。
そのため、役所や商店といった日々の暮らしに必要な施設だけでなく、
海水浴場や温泉、大きな公園、道の駅、魚市場や
さまざまな飲食店などもあるのです。

わが家はそんなまちの中心地から、ぎりぎり自転車圏内という立地。
そんな立地だからこそ車に頼りすぎずに暮らせていますし、
また、その暮らしがとても心地よく楽しいのかもしれません。

田舎暮らしの新しいカタチとして、あえてこのような条件を
狙ってもよいのでは? とオススメしたいくらいです。

駅まで道のりには高低差があります。後ろに娘を乗せて行き来することを考えて電動アシスト自転車を買いました。こんな坂もすいすい登れます! 高かったでしょう? とよく言われますが、もう1台車を買う、維持することを考えたら全然安いです。

もっと規模の大きいまちや観光地では中心地から近いと家賃も高く、庭や畑のある物件はなさそうです。もっと規模の小さいまちではちょっとした買い物や用事が町内ですまないということもありそうです。車に頼らずに暮らすにはちょうどいい規模なのかもしれません。

まず、わが家から徒歩圏内には海水浴場や日帰り温泉、
公園や野菜の直売所があります。

東京で一緒に暮らしていた義姉家族が遊びに来ました。子どもたちは歩いて海まで、僕は自転車に浮き輪やらテントやらを積んで同行。この時期、海水浴場の駐車場は早い時間に混み出しますが、徒歩なら時間を気にせずに行けます。

海を臨む広場へ。夕暮れの中、子どもはスイカ割りと花火を楽しみ、大人はビール! 徒歩万歳!

多くの施設、商店や飲食店、そして看板づくりの職場がある
下田駅周辺までは2キロと少しあり、日常的に歩くのには少し遠いです。
そこで自転車が活躍しています。

平日は娘の保育園のバス停まで自転車を引っ張りながらふたりで歩き、
娘を見送ったあとは職場まで自転車に乗って行きます。
バス停まで歩いて5分。バス停から職場まで自転車で5分。

海沿いの道、潮風を浴びながらの自転車通勤。渋滞も満員電車もありません。