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伊豆の朝採り野菜が手に入る、
それだけじゃない直売所の魅力とは|Page 4

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.018

Page 4

つくる人と買う人、お互いの顔が見える直売所

この旬の里の成り立ちについて、あらためてお店の方にうかがってみました。
この店が立ち上げられたのは、いまから20年前のこと。
南伊豆や下田市の農家さん4人が発起人となり、
この下田市河内という場所で直売所を始めることとなりました。

旬の里を立ち上げた当時の写真。当時はただの掘っ建て小屋で、トイレも水場もなかったのだそう。20年前、ここから始まったのです。

賀茂地区(下田市、東伊豆町、河津町、南伊豆町、松崎町、西伊豆町)にある700軒の農家さんが、この旬の里に農産物を出荷しています。年齢は幅広く、20代から90代までいらっしゃるのだそう。

そのきっかけはというと、当時から地元生産者さんが抱えていた
市場へ農作物を出荷することへの疑問。

「いくら自分が手塩にかけて丁寧につくったものでも、
市場に出荷するのではその思いを伝えることができないんですよね」

せっかく手間ひまかけてつくったものなのだから、
自分たちで値段をつけて売りたい。
そうした思いから、この旬の里が立ち上げられたのでした。

「生産者にとって農作物をつくることは生き甲斐でもあり、
喜びでもあるんですよね。だから、それを続けられたらいいですよね」

旬の里では、年間を通して30種類以上の柑橘類を扱っています。一年中何かしらの柑橘が並んでいるのも、旬の里の特徴なのだそう。

以前この連載で紹介させていただいた、外浦の海水を薪で焚き上げた村山英夫さんが作る塩も販売されています。

旬の里で出会った生産者さんが話していました。
「市場に出荷するのだと買う側がどんな人か見えないんだけど、
このお店だとお客さんの顔が見えるんだよね」

「つくり手が見えて安心して食べられるっていいでしょ。
やっぱり人間は食べるもので生きてるんですから」

下田で暮らすようになって、野菜を手にしたときの感覚が
少しずつ変わってきたように思います。
買う側がつくり手を想像して、
つくり手は買う側のことを想像しながらつくる。
直売所のその密な関係は、心にも体にもよいのかもしれません。

農作物中心の直売所ではありますが、やはり海に囲まれた下田、海産物の加工品も充実しています。ひじきやばら海苔、この「まいまい」という珍しい海藻も。

水のきれいな伊豆の名産は生わさび。我が家でもそのおいしさにはまり、炊きたてのごはんにちょいとのせて、醤油をほんの少し。やみつきになります。

information

map

朝獲り農産物直売所 旬の里

住所:静岡県下田市河内281-9

TEL:0558-27-1488

営業時間:8:30頃~16:30頃

Web:http://syunnosato.com/top.htm

文 津留崎徹花