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兵庫県南あわじ市・洲本市

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4 Living in a Treasure Island. たからの島に住むということ。 なぜ、淡路島がいいんですか?

何もないと思っていたら、たくさんある島だった。

観味のメンバーは一度島から出て、戻ってきた人が多い。
陶芸家、シェフ、フードクリエイター、建築家、
ソムリエ、農家、アーティスト、デザイナー、瓦師……
さまざまな職業の人がいて、年齢は30~40代前半が中心だ。
それぞれが仕事や遊びの表現の場として
淡路島に住んでいることを最大限に生かしている人たちばかり。
「本当に美しいものはなんだろう」
「おいしいものを追求していこう」
そんなことを突き詰めながら、互いに刺激し合い、
互助精神をもって日々、美しいモノ、コトを
生み出そうとしている仲間たち。
外に若い人が歩いているのを車からは
見かけないような静かな島で
ものづくりの魂が響きあう環境は
人が人を介して、いつの間にか出来上がってきた。

「炎と戯る~大地の恵みをいただく」

これは南海荘の竹中さんが仕事のモチベーションを
上げるひとつのきっかけとなったイベントで、
料理人からガスと電気を奪ったらどうなるんだろう? という
美観味のチャレンジ精神をイベント化したものだ。
同じ美観味メンバーであるエイジング(特殊塗装)の
前田達也さんと陶芸家の西村さんがしつらえたキッチンに
寿司職人や料理人、フードクリエイター、シェフが集う。
島の生産者が持参した特選素材を前に
屋外のオープンキッチンで調理風景を
お客さんに見せるなんてことは、料理人の厳しい世界の常識では
まずないと言っていいだろう。

当日はピザ窯や炭火、かまどを使い、薪に火をくべて
玄米バゲットやピザ、淡路牛のベトナム風炭火焼などを焼いた。
「南淡路のハモ、炭火焼スープ仕立て フェンネルの香り」を
竹中さんは作り、ほかの料理人もひとり1品ずつ担当して
バランスのいいコース料理になるような料理を
50名の参加者に提供した。

なんだかとても楽しそうな美観味のイベント。
中心人物になっているのは樂久登窯の西村さん。
彼はこの大き過ぎないサイズが
開かれたグループとして重要なのだといい、
島のなかにはもう把握できないほど
おのおのの興味にあわせて
いろいろなグループが出来ているのだそう。
彼自身も美観味、淡路はたらくカタチ研究島のほか、
各地域で巣箱を置き、養蜂を通して
さまざまな知識や哲学を学ぶ
ハチミツクラブなどにも参加している。

メンバーのひとり、南海荘のリニューアルや
樂久登窯の改装のほか島内で注目されている
建築物をてがける平松克啓さんは
イベントを開催する際にディレクションも行う。
彼は、「リコミンカ」という古民家を再生する活動を行っており、
今ここにある資源を使いながら創造的に
暮らすライフスタイルを提案している。
「淡路島にはこれといって特徴のある観光スポットや
絶景スポットなどはないなと思って暮らしていたのだけど、
よく島を眺めてみると派手さはないが、
レベルの高いものがたくさんあることに気づきました。
高校時代は自転車で動ける範囲しか見られなかったけど
仕事をするようになって移動する範囲に加え視野も広がって、
この島がとても面白い場所であるなとわかってきたところです」
日々、島内のさまざまなものづくりの人たちとつながって
古くて新しい空間を作り上げている平松さん。
彼の言葉に、みなが淡路島に住む理由が詰まっていた。

美観味(さんみ)http://www.sanmi2010.com/