兵庫県南あわじ市・洲本市
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料理人・竹中さんの七福神めぐり。
淡路島には、七福神信仰がある。
島の中には大黒様、恵比酒(えびす)様など
七福神それぞれを祀った神社があり、
島全体が七福神の乗った宝船にも例えられている。
それらを参拝して回ると
福を呼び込むといういわれがあり、
淡路島観光の目玉のひとつにもなっている。
南海荘の竹中さんも日々、七福神めぐりを欠かさない。
ところが、竹中さんの七福神はといえば
宝船に乗った神様ではなく、
生産者や販売者など食べものに関わる人たち。
ブログに書くネタを探すように
あいた時間を見つけては、カメラを持って
自分が扱う素材に関係する人に会いに出かける。
気になった味に出会えば
生産者を訪ね、その味を作り上げる背景を聞く。
目利きの仲買人とはがっちりと信頼関係を結ぶ。
扱う素材の育った環境を知る手間は惜しまない。
そうやって彼らと顔をあわせていくうちに
もっといいものが作り出せるのではないか、と
欲が出てくるようになる。
民宿の裏庭の土で器を作ってみたいと陶芸家に頼み、
料理に使いたい野菜やハーブを農家にリクエストするなど
新しいものを頼むこともこの頃は多くなった。
調理する竹中さんにとって素材に関わる人たちは
宝船に乗った七福神そのものなのだ。
国生み神話の息づく島の
いにしえからの自然の恩恵を
たっぷりに享受する南海荘でのひととき。
手のひらからこぼれ落ちそうなくらい
きらきらの淡路のたからは、
竹中さんの手によってここに集められている。