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連載

ユキノチカラの主役たち(2)
西和賀で人気の菓子店
×デザインで、
「みんなが欲しくなる」
商品ができた!

岩手県西和賀町・ユキノチカラプロジェクト
vol.009|Page 3

posted:2017.3.14  from:岩手県西和賀町  genre:食・グルメ / 活性化と創生

sponsored by 西和賀町

〈 この連載・企画は… 〉  岩手県の山間部にある西和賀町。
積雪量は県内一、人口約6,000 人の小さなまちです。
住民にとって厄介者である「雪」をブランドに掲げ、
まちをあげて動き出したプロジェクトのいまをご紹介します。

writer profile

Hiroko Mizuno

水野ひろ子

フリーライター。岩手県滝沢市在住。おもに地元・岩手の食や暮らし、人にまつわる取材や原稿執筆を行っている。また、「まちの編集室」メンバーとして、「てくり」および別冊の編集発行などに携わる。

credit

撮影:奥山淳志

Page 3

多趣味な店主、忍さんがつくる 〈金と銀のフィナンシェ〉

お菓子処たかはし×デザイナー/木村敦子

〈工藤菓子店〉と同じ湯本温泉街の一角にやはり小さな店構えの菓子店がある。

ふと入りたくなる昭和の佇まいの〈お菓子処たかはし〉。

創業55年の〈お菓子処たかはし〉の初代は、〈工藤菓子店〉と同郷の横手出身。
昭和40年代まで西和賀周辺には鉱山が多く、
湯本温泉街も炭鉱で働く人々で賑わっていたそうだ。
店には、湯田牛乳を使ったケーキや洋菓子、粘りが自慢の西わらび餅など
地元食材を生かしたお菓子が並ぶ。
観光客向けの土産品としてつくった薄焼きクッキー〈一日物語〉は同店の名物。
かつて湯本温泉に投宿した正岡子規の小説にちなんだ商品で、昔も今も人気の一品だ。

店主の忍さんは、西和賀の伝統芸能「湯本鬼剣舞」の踊り手としての顔も持つ。

この湯本温泉街で生まれ育った高橋 忍さんは、お父さんが始めた菓子屋の跡を継ぐ2代目だ。
高校時代の夢はバンドマンやバーテンダーだったが、卒業後は秋田で和洋菓子づくりを修業。
その当時、師匠から学んだ「原料の質は落とすな」の教えを大切に、
素材はいいものを吟味して選んでいる。
「小さな店だから手作業でひとつずつ」と目を思い切り細めて笑う。

そんな忍さんがつくるのが、フランスの定番焼き菓子「フィナンシェ」だ。

こんがりと焼きあがったばかりのフィナンシェ。

聞けば、30年も前から〈お菓子処たかはし〉の定番品だというが
ユキノチカラプロジェクトの一品として、地元の素材を使ったふたつの味を加えた。
西和賀町の小田島八郎さんが採取したハチミツの上品な甘さが際立つ〈金のフィナンシェ〉。

風味豊かな西和賀産ソバ粉を生地に使った〈銀のフィナンシェ〉の2種類だ。
丁寧に煮詰めた飴色の焦がしバターをたっぷり使い、低めでじっくり焼き上げるので
しっとりやわらかく仕上がるのが特徴。

フィナンシェは多い時で1日に600個もつくることがある。

ふんわり泡立てた卵白、アーモンド粉の優しい甘さとバターの幸せな香りは、
店の外にも漂ってくる。
「ソバの実を入れませんか、名前に西和賀を入れましょうなど、
その都度デザイナーさんからの提案を受け、試作品をつくって意見を聞き、
また変えていく……。というプロジェクトの流れは、つくる側としてもやりやすかった」と話す。

前半で紹介した〈サンタランドのぽんせん〉、
〈ゆきぼっこ〉、どぶろく〈ユキノチカラ〉と違って、
この3軒は、家族経営の製造小売店だ。
限られる生産量を踏まえ、新商品開発は事業者のペースを考慮しながら進める必要もあった。
同店のフィナンシェに関わるデザインを担当したデザイナー・木村敦子さんは、
「3歩進んで2歩下がる感じもあったけれど、
私たちが先走りすぎるとプロジェクトは、継続しないし、
事業者の皆さんと共に考える時間こそが重要でもあった」と振り返る。

時に立ちどまりながら、共通のフラッグを目印に
昨年3月に発表されたユキノチカラ商品は、その誕生からやっと1年を迎える。
2月に行われたユキノチカラツアーでは、
どぶろく〈ユキノチカラ〉や開発したお菓子でツアー客をもてなした。

できたてのわらび餅に「やわらかくておいしい!」と思わず声が。

地道に一歩ずつ……。徐々にその名に耳を傾ける人は増えてきたとはいえ、
販路も含めて、まだまだ試行錯誤の真っ最中だ。
先陣を切った6つの事業者は、第2弾となるプロジェクトの大切な道しるべなのである。

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