colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧

連載

小布施 Part1
「まちとしょテラソ」と
館長・花井裕一郎さんのこと

山崎亮 ローカルデザイン・スタディ
vol.002

posted:2012.2.7  from:長野県上高井郡小布施町  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  コミュニティデザイナー・山崎亮が地方の暮らしを豊かにする「場」と「ひと」を訪ね、
ローカルデザインのリアルを考えます。

writer's profile

Maki Takahashi
高橋マキ

たかはし・まき●京都在住。書店に並ぶあらゆる雑誌で京都特集記事の執筆、時にコーディネイトやスタイリングを担当。古い町家でむかしながらの日本および京都の暮らしを実践しつつ、「まちを編集する」という観点から、まちとひとをゆるやかに安心につなぐことをライフワークにしている。NPO法人京都カラスマ大学学長。著書に『ミソジの京都』『読んで歩く「とっておき」京都』。
http://makitakahashi.seesaa.net/

credit

撮影:嶋本麻利沙(THYMON)

プロローグ的な前回に続き、今回からは4回にわたり、
小布施の図書館「まちとしょテラソ」で館長を務める
花井裕一郎さんと山崎さんとの対談をお届けします。

まちとしょテラソはこうして生まれた。

山崎

ようやく来ることができました。なんとも気持ちのいい空間ですね!

花井

ありがとうございます。
建築のプロである山崎さんにそう言ってもらえるなんて、とても光栄です。

山崎

設計はたしか、建築家の古谷誠章(STUDIO NASCA代表、
早稲田大学理工学部教授)さんでしたよね。
小布施町とはとくに縁故のない方だと思うのですが、
どのような経緯で古谷さんが手がけることになったのですか?

花井

プロポーザル方式(企画、提案型)のコンペで、
166名の候補者のなかからファイナリストに選ばれたのが
NASCAの古谷さんだったんです。

山崎

その審査は誰が?

花井

建築家、図書館関係者、町民2名で審査を務めました。

山崎

お。町のひとも入ってるんですね。

花井

そうなんです。実はそれより以前に
旧図書館建て替えプロジェクトがスタートしていて、
一緒に新図書館(仮称)をつくりたいひと!って町民に募集がかかったんです。
そうしたらなんと50人も集まっちゃって(笑)。
町民による新図書館建設運営委員会が生まれたんです。
かくいう僕もそのひとりだったわけですけどね。

建築デザインは、古谷誠章(STUDIO NASCA代表)。

夕方、学校帰りの子どもたちが集う、ほんの少し賑やかな時間。

なんだ、こりゃ? まちとひとに心奪われた。

山崎

花井さんは、そのときにはもう小布施町の住民だったんですか?

花井

はい。ちょうど10年前、40歳のときに小布施に移住しました。

山崎

なぜ、小布施町だったんですか?

花井

フリーの映像演出家として、取材で訪れたのが最初のきっかけでした。
小布施の町おこしの立役者と称されるセーラ・マリ・カミングス
(株式会社桝一市村酒造場取締役、株式会社小布施堂取締役)を
取材しに来たんですが、セーラさんだけでなく、
彼女のまわりのひとたちの「熱さ」に触れて、「なんだ、こりゃ?」と
すっかり心を奪われてしまったんです(笑)。

山崎

そんな人間の熱さこそが、花井さんの感じていらっしゃる
「オブセリズム=目に見えないけれど、そこにあるエネルギー」の
源みたいなものなんでしょうか。

花井

その通りですね。

山崎

あ、窓の外、陽が落ちてきました……。

花井

ね! この時間もなかなかいいでしょ? 
夜は8時まで開いているのも、うちの自慢なんです。

山崎

テラソ、というネーミングもそこから?

花井

設計段階から、建物自体が暗闇を照らすあんどんのように……
という考えがあり、「照らそう」から「テラソ」が生まれました。
また、「TERRA」にはラテン語で地球、大地の意、「SOW」には種を蒔く、
という意味も込められています。

山崎

うーん、いい名前だ!

花井

山崎さんの著書『コミュニティデザイン』のなかにも書かれていましたが、
「また来たい」と思ってもらえる町、そして図書館でありたいんです。
だから「わくわく」と「おもてなし」をテーマに、
この図書館を“演出”するのが僕の使命だと思っています。

(……to be continued!)

木の枝のような大きな柱が屋根を支える有機的なデザイン。

夜のまちとしょテラソ。まるで、子供たちの未来を照らす行灯のよう。(写真提供:まちとしょテラソ)

information

map

まちとしょテラソ

「学びの場」「子育ての場」「交流の場」「情報発信の場」という4つの柱による「交流と創造を楽しむ、文化の拠点」という理念のもとで建築された小布施町立図書館。「本を貸し出す業務」だけにとどまらず、この場で未来を担うこどもたちが世界を感じ、飛び立っていくための支援や、なにかを創り出すひとの支援を通じ、町内外のひとびとの生涯学習の拠点としての「図書館」を目指している。
住所 長野県上高井郡小布施町小布施1491-2 TEL 026-247-2747
開館時間 9:00 〜 20:00 火曜休館 http://machitoshoterrasow.com/

profile

YUICHIRO HANAI
花井裕一郎

1962年福岡県筑豊生まれ。テレビディレクターからスタート。2000年、東京から小布施町に拠点を移し、本来の人間の姿、生き方を模索し創作。2009年より、小布施町立図書館・まちとしょテラソ館長。図書館を交流の場、ワクワクする情報を提供する場として演出している。

profile

RYO YAMAZAKI
山崎 亮

1973年愛知県生まれ。大阪府立大学大学院地域生態工学専攻修了後、SEN環境計画室勤務を経て2005年〈studio-L〉設立。地域の課題を地域の住民が解決するためのコミュニティデザインに携わる。まちづくりワークショップ、住民参加型の総合計画づくり、建築やランドスケープのデザイン、パークマネジメントなど。〈ホヅプロ工房〉でSDレビュー、〈マルヤガーデンズ〉でグッドデザイン賞受賞。著書に『コミュニティデザイン』。

Feature  注目情報&特集記事「日本のクリエイティブ」

Tags  この記事のタグ

Recommend