colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧

連載

「発酵」でつながる滋賀の酒と食!
ワイナリー×日本酒蔵元による
醸造家座談会

Local Action
vol.103|Page 3

posted:2017.3.9  from:滋賀県  genre:ものづくり / 食・グルメ

PR 滋賀県

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。

writer profile

Tatsuro Negishi

根岸達朗

ねぎし・たつろう●フリーライター。発酵おじさん。東京・稲城市で子育てしながら、毎日ぬか床ひっくり返してます。
Twitter:@onceagain74
https://twitter.com/onceagain74
Facebook:https://www.facebook.com/tatsuro.negishi
Mail:negishi.tatsuro@gmail.com

credit

撮影:川瀬一絵(ゆかい)

Page 3

日本酒づくりは日本人の繊細な知恵の結晶

北尾: いやあ、でもほんとにブドウがよくないと話にならないんですよ。
あとで砂糖を加えるとか、酸を足すとか、そういうことをやってしまうと、
結局味のバランスが崩れてしまうので。

中井: なるほどねえ。火入れはするの?
日本酒だと、搾ったあとのお酒にいらん菌が発生したりするのを避けるために、
加熱殺菌するんやけど。

北尾: やりますね。ワインも瓶詰めした後に再発酵することがあるので、
それを防ぐために湯煎します。

山本: 酵母は糖を餌にアルコールと二酸化炭素を発生させますが、
そのままにしておくとどんどん糖を食い尽くしていく。
だからある段階で、酵母の動きを止めさせる必要があるんですよね。
それが湯煎です。
ワインの場合はそうやって、酵母が糖を食い尽くす前に止めるので、
そこに甘みが残るんです」

中井: そうか。ほっといたら、なんぼでも辛くなっていくわけやね。
日本酒の場合は、麹が米のデンプンを糖化しながら、
酵母がそれを並行して食べていく。
糖化とアルコール発酵が同時に起こっていくんやね。
だから、アルコール度数も高いんやけど。

山本: 日本酒のつくり方って、本当にすごいですよね。
菌を上手にコントロールしてきた日本人の繊細な知恵といいますか。
そういえば中井さん、お酒の仕込み中って、
絶対に食べちゃいけない食べ物がありましたよね。

中井: ああ、納豆やね。麹菌が納豆菌に負けちゃうから。
せやから、僕らは冬場は一切、納豆食べないんですよ。
ワインはその点ええよね。麹が必要じゃないからなあ。

山田: そうですね。配慮することがあるとすれば、
自分が風邪を引かないようにすることとかでしょうか(笑)。
畑作業も多いので、体力は必要だなあと。

中井: 大事なことやね。

文化としてのワインと日本酒のこれから

中井: それでいうと、うちも自分らで田植えをするんよね。
でも、普段は農家さんが見てくれてるから、
常に畑と向き合っている皆さんとは違うよね。
もちろん、最近はお米をつくる人が少なくなってるから、
僕らもこれからずっと酒づくりを続けていくなら、
いつかは嫌でも自分たちで米をつくらなあかん時代は来ると思ってて。

山田: 一次産業の衰退は、どんなかたちでも影響を与えてくると思いますね。
ブドウでも、今は農家が減っているのに、ワイナリーが増えている状況で。
ワインの消費量が増えても、
ブドウが足りなければ単価を上げなくてはいけなくなってきて、
そうなると結局、お客さんが喜べないかたちになってしまいますから。

中井: そうやねえ。実際、ワインって日本酒に比べると、
ちょっと高い感じもするよね。
たとえばワインで3000円だと、そこそこの印象があるけど、
日本酒の四合瓶で3000円っていったら、めちゃくちゃ高級やから。

山本: レストランだと、どちらが高級という感覚はないですね。
大吟醸もワインも、いいものはいいという考え方で優劣なくおすすめしますし、
飲んでくださる方もあまりそこは気にされていないようにも感じます。

北尾: 昔は日本のワインっていうだけで
試飲すらしてもらえないこともありましたよね。
昔に比べれば、先入観なく飲んでいただけることが増えてきたと思います。

山田: ただ、中井さんのおっしゃるように、
まだまだ価格帯の振れ幅は大きいと思いますね。
そこは日本酒のようにちゃんとした市場が確立されたときに、
やっと文化として根付いたと言えるんじゃないかと。
そうなっていくためにも、自分たちとしてはまず、
国内の人に向けて、普段の食事のなかにあるワインの楽しみを伝えていきたくて。

中井: うん、ええことやね。結局、日本酒もワインもお酒っていう、
普段の生活に根付いた発酵文化のひとつやから、
そこはどっちがどうとかやなくて、
つながってできることも考えていきたいよね。
今日みたいにワインと日本酒を飲みながら、
みんなで地元の発酵グルメを楽しむ会とかやってもいいし。

そしてつながる滋賀の「食」と「酒」

北尾: おもしろいですね。最近はワイナリーも横のつながりが大事で、
意見交換もやっているんです。
ジャンルを超えて、日本酒とワインの世界がつながったら
お互いに学べるところもあるでしょうね。

山本: うちも滋賀の食文化を発信する近江牛の専門店なので、
ぜひ『食』の分野でコラボさせてください。
滋賀は皆さんのように一生懸命お酒をつくられている地元の酒蔵さんや
ワイナリーさんがいるので、そのつながりをもっともっと太くしていきたいなと。

山田: 広がりますね。さらにいえば、
僕は発酵文化が豊かな土地だからこそ考えていけることもあると思っています。
たとえば、ワインの仕込みに漬物石のような重石を使ってみるとか。
そうすると、発酵中の液にブドウの果皮が
ずっと接触しながら発酵していくことになりますよね。
実はこれってふなずしのイメージなんですよ。

山本: おお。なるほど、おもしろいですね。
そういえば、ヒトミワイナリーさんは、
滋賀の信楽焼の茶壺でワインを仕込んだりもされていました。
文化的なストーリーを感じるお酒づくり、すばらしいと思います。

中井: ええね。こうやって仲良くなれたことやし、
次につながること、いろいろと考えていきたいよね。
まずは、今日みたいな会を開いて、
お客さん呼んでみんなに楽しんでもらうことやな。
同じ発酵させてつくるお酒やし、仲良くやっていこう。

文化的な背景が異なる日本酒とワインのつくり手が、
同じ「発酵」によって醸される「滋賀の酒」のつくり手として、
ひとつにつながりあった今回の座談会。
まるでその場が「発酵」しているかのような、
終止和やかなムードが印象的だった。
滋賀の酒づくりは、お互いの境界を越えて、
これからますますおもしろくなっていくのかもしれない。
ご参加いただいた4名のみなさま、ありがとうございました!

information

map

浪乃音酒造

住所:滋賀県大津市本堅田1-7-16

TEL:077-573-0002

http://www.naminooto.jp/top/jp/

information

map

琵琶湖ワイナリー

住所:滋賀県栗東市荒張字浅柄野1507-1

TEL:077-558-1406

http://www.ohta-shuzou.co.jp/

information

map

ヒトミワイナリー

住所:滋賀県東近江市上町2083

TEL:0748-27-1707

http://www.nigoriwine.jp/

information

map

松喜屋

住所:滋賀県大津市唐橋町14-17

TEL:077-534-1211(代表)/077-534-2901(レストラン)

https://www.matsukiya.net/

Tags  この記事のタグ

Recommend