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連載

能登島に島流し?
つながりを生む体験ツアー
〈うれし!たのし!島流し!〉

Local Action
vol.099|Page 3

posted:2017.1.6  from:石川県七尾市  genre:旅行

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。

editor profile

Ichico Enomoto

榎本市子

えのもと・いちこ●エディター/ライター。コロカル編集部員。東京都国分寺市出身。テレビ誌編集を経て、映画、美術、カルチャーを中心に編集・執筆。出張や旅行ではその土地のおいしいものを食べるのが何よりも楽しみ。

photographer profile

Tada

ただ

写真家。池田晶紀が主宰する写真事務所〈ゆかい〉に所属。神奈川県横須賀市出身。典型的な郊外居住者として、基地のまちの潮風を浴びてすこやかに育つ。最近は自宅にサウナをつくるべく、DIYに奮闘中。いて座のA型。
http://yukaistudio.com/

credit

写真提供:うれし!たのし!島流し!事務局(ツアー写真)

Page 3

島流しツアーから、島の未来をつくることへ

島流しツアーがきっかけで発足した観光協会青年部は、そのためだけの組織ではなく、
それ以上の活動も必要なのではないかと考えるようになったという。
そのなかで出てきたキーワードが「つながり」「ひきつぎ」「なりわい」。

石坂さんはこう話す。
「島のために何が大事なのか考えたときに、
人と人との“つながり”をきちんとつくっていくということ。
能登島に住んでいる人同士はもちろん、首都圏の人たちともつながっていく。
島流しツアーがまさにそうですね。

そして“ひきつぎ”。いまある能登島の暮らしは僕たちがつくり上げたものではなくて、
先祖が代々つなげてきてくれたおかげで、いまの僕たちがある。
田んぼがあって漁師がいて、それを次に引き継いでいくかどうかは僕ら次第です。
きちんと残してつなげていくことを考えていきたいと思っています」

そしてもちろん、仕事も重要だ。
「どんなにかっこいいことを言っても、食べていけないと。
いいことをするだけじゃなくて“なりわい”としてお金を生むしくみを
どうやってつくっていけるかも課題です。
漁師が漁師として、農家が農家として稼げるしくみを考えないと、
つながることも引き継ぐこともできません。島の酒プロジェクトには
この3つのキーワードが集約されていると思います」

島の酒プロジェクトは農家に利益をもたらすだけでなく、
農家のモチベーションにもつながるのではないかと石坂さんは考えている。
「米づくりは大変でやめてしまう農家さんも多いけれど、
お金じゃないところでやりがいがあると、
もうちょっとがんばってみようかなと思ってくれるのでは」

自分たちのつくった米から自分たちの島の酒ができたら、それはうれしいに違いない。
能登島はもともと半農半漁の島。それだけ資源が豊富ということだが、
小さななりわいをいくつか持っている人も多い。
石坂さん自身、民宿を営みながら漁師をしている。
「競争相手が減っているいまこそ、漁業も農業もチャンスだと思うんですけどね」

能登島の家は黒い瓦屋根が特徴的。海の向こう、右手に見えるのが石坂さんが暮らす祖母ヶ浦という集落のあたり。

小山さんも、地域おこし協力隊としての任期が終了する2年後に向けて、
自分の仕事をつくり、少しずつ実ってきている。
「ツアーの収入や協議会の事務の仕事のほかに、
季節ごとに人手が足りなくなる一次産業もあります。
そういういくつかの仕事を組み合わせてなんとか暮らしています。
でも支出が少ないから、収入が少なくてもなんとかなると思っています」
と明るく笑う小山さん。

いろいろな課題は抱えながらも、石坂さんも楽しんでやっているのが伝わってくる。
「大変だけどおもしろいですよ。農家でも漁師でも、
目標があったり楽しみがあるほうが続けていけると思います。
島流しツアーや青年部の活動も、もっと広がっていけば
もっといい島になると思っていますし、
もっとたくさんの人に能登島を知ってもらいたい。
農業も漁業も観光も人も、全部つながっているんですよ」

豊かな資源を見つめ直し、人とのつながりを生んで、次世代につなげていく。
「島流し」というユニークなツアーの背景には、
島の未来を真剣に考える青年たちの姿があった。

information

うれし!たのし!島流し! 
都会を忘れる強制田舎暮らし

2017年1月15日(日)に、「うれし!たのし!島流し!」東京出張編としてイベントが開催されます。詳細はこちら

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