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連載

健康落語が
弘道館にやってきた!
水戸 養命酒薬用ハーブ園 vol.2

Local Action
vol.098|Page 2

posted:2016.12.27  from:茨城県水戸市  genre:活性化と創生 / エンタメ・お楽しみ

養命酒製造株式会社

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。

writer profile

Chizuru Asahina

朝比奈千鶴

あさひな・ちづる●トラベルライター/編集者。富山県出身。エココミュニティや宗教施設、過疎地域などで国籍・文化を超えて人びとが集まって暮らすことに興味を持ち、人の住む標高で営まれる暮らしや心の在り方などに着目した旅行記事を書くことが多い。現在は、エコツーリズムや里山などの取材を中心に国内外のフィールドで活動中。

photographer profile

Yayoi Arimoto

在本彌生

ありもと・やよい●フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。

http://yayoiarimoto.jp

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水戸学の精神の弘道館で、ワークショップを行う意味

「実は、弘道館で寄席を開くのは初めてです。
こんなに大きな笑いが起こったのも、もちろん初めて。
そういった意味では、斉昭公が掲げた
“一張一弛(いっちょういっし)”の思想にとてもかなっていますね」
というのは、弘道館学芸員の小圷(こあくつ)のり子さん。

斉昭公には、人間が生きるにはバランスが重要だという思想がありました。
一張一弛とは、緊張とリラックスの意味で、
時には厳しく、時には寛容に生きるべきという考えです。
その考えに基づき、徳川斉昭公は
文武修業の場としての弘道館、
余暇を楽しむための偕楽園のふたつを水戸に開きました。
徳川慶喜公の江戸開城に大きな影響を与えたという“水戸学”は
この弘道館で育まれたのです。

玄関にある像には徳川斉昭公(右)と江戸幕府最後の征夷大将軍、徳川慶喜公(左)の親子の像が。慶喜公は5歳から11歳まで弘道館で教育を受けました。

水戸学の始まりは、斉昭公から遡って二代藩主の水戸光圀公。
黄門さまが始めた史書『大日本史』編纂を中心とした動きが前期水戸学。
斉昭公が開いた弘道館からは、後期水戸学とされています。
後期水戸学からは、尊王攘夷の思想が生まれ
その思想は幕末の志士たちにも大きな影響を与えました。
弘道館の教育内容は、学問や武術のほか、
医学、天文学、歌学などバラエティーに富み、
いまでいう総合大学のようでもあったそうです。

とりわけ、斉昭公は医学に力を入れました。
「斉昭公は、家臣が病気になると、
薬の処方を手紙で送ってあげるほど医学の知識がありました。
光圀公も日本最古の家庭療法の本と言われる
『救民妙薬(きゅうみんみょうやく)』を
農村にまで配っているくらいですから
領民の健康に対する思いは強かったと思います」
小圷さんは、かつて医学館のあった方向を指し、
薬草園があったことを教えてくれました。

「弘道館は医学の素地がある場所ですから、そういう意味では、
水戸市植物公園と一緒に行う協働事業の源となるような場所です。
市民の方が弘道館に集まるような企画がしたいと思っていたので
今回、健康落語イベントを開催できたのは本当によかったです」
というのは、養命酒製造株式会社の担当、山本 梢さん。

真ん中に小圷のり子さんを挟んで、左から養命酒製造株式会社マーケティング部の渡来 正さん、山本 梢さん。「養命酒製造も400年前に創製された薬酒の製法を今に伝える会社なので、歴史的には相通じるものがあります」と渡来さん。水戸市との協働事業のためのチームを組み、足繁く水戸に通っています。

玄関の天井の焼け焦げた跡は水戸市民の弘道館への愛の証。太平洋戦争の水戸空襲の際、人々は自分たちの家が焼けてしまったような状況でも、井戸水でバケツリレーをして弘道館を守ったというエピソードが残っています。

重要文化財の弘道館では、保存面を重視して
これまで、市民の方が集まるイベントはあまり行ってこなかったが、
市民の手で守った弘道館という藩校にまた人が集まるようにしたい、と
小圷さんは言います。

「震災復旧で蘇った弘道館の空気感を体験していただきたくて、
ここ数年はイベントに力を入れてきました。
普段はちょっとかための歴史のイベントが多いので、
一張一弛の精神にかなった本日の落語の席には、
きっと斉昭公も喜んでいることと思います」

水戸市植物公園と弘道館は、同じ水戸藩ゆかりの小石川後楽園と一緒に、
光圀公と斉昭公が奨励した薬草栽培にまつわる歴史を紐解き、
この秋に〈光圀と斉昭をめぐる薬草〉という
江戸と水戸を薬草で結ぶイベントを開催したばかり。
歴史を振り返りながら伝統をつないでいく取り組みは
生涯学習に励む市民のみなさんの興味のあるところです。

そして、来年4月にオープンする、水戸 養命酒薬用ハーブ園にも
その精神は紡がれていきます。

水戸市植物公園の喫茶〈フィオレンテ〉では、土日限定で薬膳メニューを提供しています。12月は写真の根菜たっぷり冬カレーや白玉入り黒豆ごま汁粉のほか、赤ワインみそソースのハンバーグなど。薬膳料理の基本に沿って考えられたランチは、体にうれしい素材がたっぷりです。弘道館の見学と合わせてどうぞ。

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