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連載

ちちぶメープルプロジェクト vol.8
日本初のシュガーハウスオープン!

Local Action
vol.076

posted:2016.4.27  from:埼玉県秩父市  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  埼玉県秩父市。山々に囲まれ、自然豊かなこの地で、
メープルシロップをつくる取り組みが行われています。
その秩父の森で生まれたメープルシロップを味わえる〈シュガーハウス〉ができるまでを
秩父にUターンした井原愛子さんが綴る短期連載です。

writer profile

Aiko Ihara

井原愛子

いはら・あいこ●埼玉県秩父市生まれ。2014年外資系企業を辞めて、秩父にUターン。秩父の森づくりを行うNPOやメープル関係団体の活動に参加しながら、自然とそこに関わる人々にたくさんの刺激を受け、勉強の日々。2015年に自然の恵みを生かした商品開発やエコツアーの企画などを行う〈TAP&SAP〉を立ち上げた。現在、シュガーハウスオープンを目指して、秩父の地域プロデューサーとして日々奔走している。
http://tapandsap.jp

credit

協力:NPO法人秩父百年の森 http://www.faguscrenata.com/

森の循環を発信する〈MAPLE BASE〉誕生!

前回に引き続き、開店準備の様子をお伝えします。
とうとう、シュガーハウスの店名が決まりました!
秩父から森の循環を発信する拠点=〈MAPLE BASE(メープルベース)〉と言います。
日本初のシュガーハウスということで、準備をしてきましたが、
そもそも日本人にとって馴染みのないシュガーハウスという施設は
多くの知らない人に説明するのがとても大変。
「シュガー」と聞くと、どうしても白い砂糖をイメージしてしまうので、
「太る」とか「健康によくない」といった印象を持たれてしまいます。
加えて、カナダとはメープルシロップをつくっている背景や目的、
規模もまったく違います。
秩父ならではのシュガーハウスのあり方を模索していった結果、
たどり着いたのが〈MAPLE BASE〉なのでした。

MAPLE BASEのロゴ。秩父から森の循環始まります!

ただ国産のメープルシロップをつくるというもの珍しさだけではなく、
地域に永続的に根づいていけるように、
地域の人と地域外の人が関わり続けられるような仕組みづくり、
その拠点となるベースを目指していきます。
このコラムでずっと発信してきましたが、

木と関わり続けるのは本当に長い年月と労力が必要です。
メープルの活動を通じて、本当に未来につながる
理想の森づくりが行えるのかどうか、実際誰もわかりません。
でも、いま始めないと何も変えられない! 
と若干フライング気味に走り始めたこのプロジェクト。
この熱い気持ちを「カタチ」にしてくれたのが、
岩手で循環型プロジェクトを行っている〈ファーメンステーション〉です。

岩手県奥州市の、のどかな田園風景のなかで広がる循環の輪。さまざまな刺激とインスピレーションをもらっています。

ファーメンステーションは、岩手県の奥州で休耕田で米を栽培し、
エタノールを製造しています。
そのようすは以前コロカルでも紹介されていますが
そこでできたエタノールを化粧品の原材料やアロマの材料にしたり、
製造過程で出てくる米もろみ粕をにわとりの飼料にしたりと、
無駄なく地域内で資源を循環させています。
いわば、循環のエキスパートであるファーメンステーションに協力いただき、
「循環の見える化」を図りました。

この循環の輪が広がることで、森は変われるはず……!

カエデの花壇が完成!

秩父には、日本にある28種類のカエデのうち21種類が生えています。
いままで聞くことはあっても、実際にすべて見たことはありませんでした。
これまでカエデの活動を通して、たくさんの方にお会いすることができましたが、
もともと建築設計をやられていた加藤佳英さんと
元農林振興センター職員の斎藤透さんとの出会いは、それを可能にしてくれました。
加藤さんは、自宅でイロハモミジの苗を1万株以上育てていて、
市や県の公共施設などに寄贈しているのです。

加藤さんの自宅はイロハモミジに囲まれた「モミジ御殿」。紅葉のシーズンは圧巻の美しさ!

秩父をモミジで赤く彩り、住民や観光客に喜んでもらいたいと、
エネルギッシュに活動している加藤さんからは、たくさん刺激をもらいました。
そして、斎藤さんは林業のプロとして活躍されていて、
秩父の21種類のカエデを調査研究しています。
木材加工品についてもさまざまな取り組みをされていて、
これからもいろいろなことを教えてもらいたいと思っています。

ふたりが丹精込めて育てた秩父産カエデの赤ちゃん。成長が楽しみです。

この強力なサポーターのおふたりの力を借りて、
敷地内の殺風景な前庭にカエデの花壇をつくりました。
「カエデで花壇?」と思うかもしれませんが、
まだまだ赤ちゃんの苗なので、花壇サイズがちょうどいいのです。

カエデの花壇の打ち合わせ中。完成は実物をご覧ください。

それぞれ葉っぱの形も違えば、生育環境も違うので、育てるのは簡単ではないですが、
MAPLE BASEのひとつの大きな目玉になるでしょう!

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カフェで使う家具はどうする…?

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家具問題に救世主、現る……!

改装しているログハウスはとても大きい建物です。
実際、工事が始まってみると、さまざまな問題が発生してきて、
想像以上に予算がオーバーしてしまう事態になりました。
カフェとしても営業するMAPLE BASEですので、
お客様が座るテーブルやイスなどは必要不可欠。
ただ、いろいろ調べてみても、気に入ったものはとても高くて手が出せません。
設計者の敷浪一哉さんに相談したところ、
「つくってしまえば?」と思わぬアドバイスをいただきました。

デザインや設計を協力してもらい、なんとか図面が完成。
テーブルのフレーム部分を鉄にして、天板を木材にすることにしました。
日ごろ、〈TAP&SAP〉で販売している第3のみつを応援してくださっている、
地元の鉄骨加工会社、清水スチールの島田佳宣社長に相談に行くことに。
図面を見せて、おそるおそる制作に協力いただけないか聞いたところ、
なんと二つ返事で引き受けてくださったのです!
しかも、無料で!
「地域のためになる活動で頑張っているのだから、応援するよ!」
と言ってくださった島田さんの好意が、本当にありがたかったです。

オーダーメイドのフレームの製造過程を説明してくれた島田社長と息子さん。TAP&SAPの活動を応援してくれる力強い味方です。

島田さんのおかげで、すばらしいフレームに仕上がりました。
社長の気持ちに応えることができるように、家具を完成させていきます。
そのために企画したのが、前回のコラムの最後で募集したワークショップなのでした。

みんなでつくるシュガーハウス!

カフェで使うテーブルとイスはすべて自分たちで組み立てることにしたけれど、
組み立てる要員がたくさん必要になってきました。
せっかくなら、地域の人や地域外の人も巻き込んで一緒につくりたい! 
ということで、Facebookページを中心に声をかけて、
3日間で総勢50名以上のボランティアが参加してくれました。
地元の中学生たちは、カエデの植林や樹液採取の体験授業でも
つながっていた子どもたちで、今回のお願いにも快く協力してくれました。

中学生たちの若いパワーがみなぎる!

そして、2月、3月に開催した和メープルエコツアーの参加者たちも
何人も参加してくれたのは本当にうれしかったです。

元職場の同僚で家具の組み立てプロフェッショナルの中津川さんとエコツアーに参加してくれた佐々木さんコンビ。どんどんテーブルが完成していきます。

イスも自分たちで組み立てていきます。

屋外での家具の組み立ては本当に気持ちよく、
床や壁に這いつくばってペンキを塗る作業は瞑想のように無心になれました。
お昼は、家族の協力で秩父の郷土料理を振る舞い、参加者にも好評でした!

この日のメニューは秩父のB級グルメとして名高い「味噌ポテト」。

「はじめまして」の人たちが、作業を終えたときには一体感を味わえて、
なおかつ自分たちが実際に手を加えることで愛着がわいてくるのを感じました。

心地よい疲労感とともに、最高の笑顔で皆さんと記念撮影!

みんなの気持ちがこもったMAPLE BASE、
いよいよ、本日からOPENです!

information

map

MAPLE BASE 

住所:埼玉県秩父郡小鹿野町長留1129-1

TEL:0494-26-6150

営業時間:11:00〜18:00(L.O 17:30)

定休日:5月いっぱいまで無休

*季節により営業時間は若干異なります。詳しくはHPをご覧ください。

https://www.facebook.com/MAPLEBASE.JP/

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