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えひめで、働く、暮らす、育てる。
〈えひめ職の担い手移住フェア in 東京〉
イベントレポート

Local Action
vol.066

posted:2016.2.23   from:愛媛県  genre:暮らしと移住 / 活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。

editor’s profile

Miki Hayashi

林 みき

はやし・みき●フリーランスのライター/エディター。東京都生まれ、幼年期をアメリカで過ごす。女性向けファッション・カルチャー誌の編集を創刊から7年間手掛けた後、フリーランスに。生粋の食いしん坊のせいか、飲料メーカーや食に関連した仕事を受けることが多い。『コロカル商店』では主に甘いものを担当。

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Supported by 愛媛県

“仕事”からイメージしてみる、えひめ移住

自分らしいスタイルで働きたい、地域活性の活動に興味がある、
より良い環境で子育てをしたい、充実したセカンドライフを送りたい……など、
さまざまなかたちで地方移住への関心が近年高まりつつあります。
でも移住を決断するまで、考えたり決断しなければいけないことはたくさん。
そして多くの人が一番悩むと思われるのが
「日々の暮らしを支える“仕事”をどうするか?」ということ。

でも“仕事”をまず切り口に、移住した後の生活の魅力を考えてみるというのは、
実はイメージしやすい検討方法のひとつ。
そんなアイデアのもと、“仕事の選択からえひめ移住をイメージしてみる”をテーマに
開催されたのが〈えひめ職の担い手移住フェア in 東京〉
愛媛県の職の魅力、そこから見えてくる暮らしや環境を紹介する、
地方への移住や愛媛県へのU・J・Iターンを考えている方に向けたイベントです。

2月14日(日)・21日(日)・27日(土)の3日間に分けて、
農業、福祉、サービスなど、多彩な職種の愛媛県の企業が一堂に集結する
〈えひめ職の担い手移住フェア in 東京〉。
今回は2月14日(日)に開催されたフェアの様子をお届けします。

フェアの開会の挨拶をする、愛媛県企画振興部長の門田さん。

第1回目となるこの日のフェアに参加されたのは、20代から60代の方々。
ご夫婦で参加された方もいれば、お子さんと一緒に会場へいらした方も。
受付後は〈おせっかい人〉と呼ばれるスタッフに引き合わされ、
フェア開始までの間にどんなことに興味があるのか、どの参加企業と面談したいか、など
簡単なヒアリングが行われます。

愛媛県企画振興部長の門田泰広さんによる開会の挨拶に続いて行われたのが、
東京・有楽町にある〈ふるさと回帰支援センター〉で
愛媛県専任の移住相談員である〈えひめ移住コンシェルジュ〉の松岡朋枝さんによる
愛媛県でのライフスタイルの紹介。
温暖な気候による暮らしやすさ、住環境が充実しているので
通勤・通学時間が全国で一番短いこと、
そして全国で2番目に仕事の平均時間が短いことなどから、
仕事をしながらも自分の時間や家族との時間を持ちやすいといった、
愛媛県だからこそ送れる生活の特長を紹介。
また県内には自治体の移住担当窓口以外にも、NPOなどで移住を支援している団体があり、
移住をサポートする体制を整えているという、頼もしいひと言もありました。

愛媛県への先輩移住者である冨田さん。東京に住まれていた頃は、広告代理店に勤務されていたのだそう。

続いて行われたのが先輩移住者として、
震災をきっかけに東京から愛媛県伊予市に移住した先輩移住者の冨田敏さんによる経験談。
自然が多く、子育てがしやすいことや、地域の方々とのやりとりについて紹介。
移住後の暮らしに関するリアルな声ということもあり、
どの参加者も真剣に聞き入っているのが印象的でした。

そして冨田さんを司会に行われたのが、この日フェアに参加した企業9社の紹介。
その職種は農業や福祉にはじまり、宇和島のバス会社や老舗旅館までと実にバラエティ豊か。
また各企業における仕事の内容だけでなく地元に関する紹介も行われ、
ひとくちに愛媛県といっても沿岸部や離島など海と縁のある地域から、
ウィンタースポーツ施設が整った高原まで、地域によって環境がいかに異なるかを実感。
“仕事”だけでなく、環境という面でも幅広い選択肢があるのも
愛媛県ならではの魅力かもしれません。

フェアの参加企業の紹介は各社のPRムービーと共に。

参加者の皆さんが座られているのは、みかん畑で使用されるコンテナ。座面が広いせいか、思いのほかいい座り心地。

各社の紹介が終わった後は、参加者と企業との面談がスタート。
面談といっても採用面接のような重苦しさはなく、
“まずは話を聞いてみたい”というスタンスでも参加できることもあり、
和やかな雰囲気につつまれていた会場。
待ち時間中はケータリングコーナーでジャコ天やみかんジュースなど
愛媛県ならではの軽食を楽しめたり、〈おせっかい人〉に追加でヒアリングもしてもらえたりと、
リラックスした雰囲気の中で移住に関する情報を得られるフェアでした。

会場には、たくさんのみかんも。愛媛県ならではの、うれしいおもてなし。

会場内のキッズスペースには、愛媛県で育った木でつくられたおもちゃや、愛媛県出身アーティストのMAYA MAXXさんの絵本が。

この記事を読んで愛媛県への移住に関心を持たれた方もいるかもしれませんが、
人生における大きなライフイベントとなる移住。
移住先を決めるときのポイントや準備、移住までの流れなど、
気になることはたくさんあると思います。そこで次のページでは、
今回のフェアにも参加されている相談機関の方々にうかがった話をご紹介します。

次のページ
えひめ移住を検討する際のポイントは?

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気になったら、まずは相談。そして実際に愛媛県へ

まずお話をうかがったのは〈えひめ移住コンシェルジュ〉の松岡朋枝さん。
「愛媛県の場合なのですが、相談に来られるのはUターンよりもIターンの方が多いですね。
旅行で行って気に入ったり、雑誌で見ていいと思われたり、
お友だちが愛媛県に住まわれていたり……
そういったことをきっかけに“愛媛県がいいかも”と思われて相談にいらっしゃる方が多いです」

以前は新聞記者をされていたという〈えひめ移住コンシェルジュ〉の松岡さん。物腰がやわらかく、話をしやすい方なので、初対面でも安心していろいろなことを相談できそう。

愛媛県伊予市出身である松岡さんに愛媛県への移住の魅力を尋ねると
「もちろん気候などもあるのですが、時間の流れ方がゆったりで、イライラが少ないことですね。
あと若い人におすすめしたいのですが、
いろいろな業界のプロやトップランナーが集まる東京で目立つことは難しいじゃないですか?
でも地方へ行くと空いているポジジョンがあって、
うまくそこに入ると地元でのナンバーワン・プレーヤーになれたり、
活躍の場が広がること。愛媛県にはテレビ局もそろっているからか
“この人よくテレビに出てる!”という人がけっこういたり、
普通に知り合った人がラジオ番組のDJをしていたりと、
活躍の場がおもしろい広がり方をする部分があるんですよ」

それと移住にあたって気になるのが、地域のコミュニティとうまくなじめるかどうか。
これについては「愛媛県にはほどよい都会もあれば、
それこそ鍵を開けっ放しで出かけられるような田舎もある。
なので自分にあった“田舎度合い”を選んでもらえると思います」と松岡さん。
「でも、やっぱり実際に現地に行ってみると印象がまったく変わるので、
行ったときの空気感や人との距離感で移住先を選ぶことをおすすめしています。
できれば夏と冬、一番差がある時季に来てもらうのがいいと思いますね」

「今日は“なんとなく愛媛県のことを知りたい”という方が多かったですね」
と話してくれたのは、公益財団法人えひめ産業振興財団の山口誠さん。
「なかには若いときに愛媛県におられた、いわゆるUターンを考えられている方や、
将来の子育てのことを考えて愛媛県で暮らしたいという方もいました。
愛媛県に移住をして仕事をされている人の話や体験ツアーのご紹介をしましたが、
みなさん先々の情報収集といった感じでしたね」

公益財団法人えひめ産業振興財団でプロダクトマネージャーをされている山口さん。愛媛県のさまざまな企業とのつながりを持たれている、実に頼もしい存在。

具体的な移住プランを考えたうえで相談しないといけないものかと思いきや、
そんなことはないのだそう。
「“今日、明日にでも移住したい”という人はいませんでしたが、
こちらもあまりそういうすすめ方はしていないんですよ。
やはり仕事がないと生活ができなくなるので。
例えばご夫婦で仕事をされている方だったら、
最初はご主人だけ愛媛県に来て2〜3年暮らしてみてもらって、
先々が見えるようだったら奥さんも愛媛県に来るというかたちを提案したりしています」

えひめ産業振興財団では創業相談を担当しているという山口さんですが、
移住の相談についても「生命保険と同じ計算式を使って、
その人のライフプランを計算するんですよ。
先々を見たときにどれくらいの収入が必要になるかを話して、段階的に計画を立て、
ご家族の方も“これだったらいいよね”と思えるラインをつくるのに
3〜5年の時間をかけることをすすめています」

年単位での移住プランを一緒に考えてもらえるのは、
相談する側としては実にありがたく頼もしいこと。
でも相談される側にとっても「2年計画や3年計画で一緒にスケジュールをつくったり、
移住に何年かけられるか教えてもらえると、
さまざまな準備ができるから私たちとしてもありがたいんですよ」と、山口さん。
移住に関心をもったらまずは相談機関と話をしてみて、
移住計画を一緒に立ててみるのがポイントのようです。

とはいえ、一個人で愛媛県を訪れても、観光だけで終わってしまいそう……
と心配される方におすすめなのが移住体験ツアー。
3月19日(土)〜21日(祝・月)には、
参加者が“首都圏から愛媛県への特派員”となって県内の職・文化・人を訪ねるというスタイルの、
2泊3日の移住体験ツアー〈ヒアリング・ジャーニー〉が開催されます。

移住受け入れ先進地域である愛媛県伊予市で、
先輩移住者に受け入れ地区を案内してもらったり、
興味のある企業を訪問しながら移住後の仕事や暮らしをじっくり体験できる、このツアー。
県内のさまざまな地区を巡ったり、
観光では知ることのできない“普段のえひめ暮らし”に実際に触れる経験は、
移住のイメージや計画を具現化するきっかけとなるはず。
またプログラム参加費は指定ホテルへの宿泊費(2泊で約15,000円程度)以外は
無料というのも、うれしいところ。

住めば都というものの、生活の質をより高めるために移住を検討されている方こそ、
実際に現地を訪れて自分の肌で相性を確かめることは重要。
愛媛県への移住が気になった方は、
まずは〈えひめ職の担い手移住フェア in 東京〉へどうぞ。
そして、さらに踏み込んで愛媛県のことを知りたいと思われたら
〈ヒアリング・ジャーニー〉へぜひ参加を。
どちらのイベントも、より豊かな人生へとつながる選択を増やすきっかけとなるはずです。

information

えひめ職の担い手移住フェア

http://ehime-ijuu.jp/

https://www.facebook.com/ehimeijuu/

次回は、2016年2月27日開催

場所:東京都港区南青山6-1-3 南青山コレッツィオーネ 3F

参加費:無料

要予約。お申し込みはこちら

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