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宮川朝市

Local Action
vol.015

posted:2013.2.18   from:岐阜県高山市  genre:旅行 / 食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  ひとつのまちの、ささやかな動きかもしれないけれど、創造性や楽しさに富んだ、
注目したい試みがあります。コロカルが見つけた、新しいローカルアクションのかたち。

writer's profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

高山の食文化を知りたいなら宮川朝市へ!

高山市の早朝、少し高い鍛冶橋から川の下流方向を眺めると、
白い布の屋根がずらっと並ぶ。
川沿いに生える緑と水の清涼感、
さらに天気も良ければ空の青さと相まって、
見事に統一されたその白が美しい。

この高山の宮川朝市は、日本三大朝市に数えられる。
飛騨高山の観光人気が高まるなかで、
訪れる観光客がふえ、常に活気溢れる人気スポットだ。

もともと文政2年(1820年)頃、
高山別院を中心に桑市として栄えてきたが、
養蚕業の衰退により、花や野菜が売られるようになっていった。
その後、場所を転々とし、戦後、現在の鍛冶橋下流に移転。
これが現在の宮川朝市の始まりである。
宮川市場協同組合が発足した昭和37年から数えても、
すでに50年以上の歴史を誇る。

土つきの飛騨ねぎは、朝採れの証拠。

朝市の通りに足をふみいれると、
思いのほか農産物を販売している店舗が多いことに気がつく。
野菜、果物、花などから、餅、漬物などの加工食品まで。
観光客が多いからといって、お土産物ばかりが並んでいるわけではない。

この朝市に参加しているのは、ほとんどが高山に住んでいる農家なのだ。
「基本的には、自分たちの手でつくったものを売ってもらっています」
と教えてくれたのは、「宮川朝市協同組合」理事長の玉田忠夫さん。

「宮川朝市協同組合」理事長の玉田忠夫さん(左)と、朝市の一番手前で、手づくりのチャンチャンコや甚平を販売している「島尻」さん(右)

農家が自分たちで育てたものや、
それをもとに加工したものを、直接販売している。
ここにくればその季節に食べられるもの、
つまり高山の旬を感じることができるのだ。
朝採れたばかりの野菜はみずみずしく、土がついてたっておいしそう。
雪国である高山の冬場は野菜の数は減ってしまうが、
その分、加工食品や保存野菜が豊富にラインナップ。
雪国特有の冬の食文化もかいま見ることができる。
どれも手づくりのあたたかみがある簡素なパッケージばかりで
食材の良さが際立っている。

農家が自分たちで育てたものや、
それをもとに加工したものを、直接販売している。
ここにくればその季節に食べられるもの、
つまり高山の旬を感じることができるのだ。
朝採れたばかりの野菜はみずみずしく、土がついてたっておいしそう。
雪国である高山の冬場は野菜の数は減ってしまうが、
その分、加工食品や保存野菜が豊富にラインナップ。
雪国特有の冬の食文化もかいま見ることができる。
どれも手づくりのあたたかみがある簡素なパッケージばかりで
食材の良さが際立っている。

はちみつももちろん高山産。

飛騨高山の伝統野菜が復活。

以前は仲買人などの仕入れにも使われていたし、
高山市民が毎日の食材を揃える台所でもあった。
それこそ、朝ごはんのみそ汁の具を買うようなご近所感覚。
そんな宮川朝市もだんだんと観光化が進んでいった。
するといくつかの問題も発生するようになる。
駐車違反の問題や、近隣の施設との客の取り合いなど、
「朝市廃止」の議論が持ち上がることもしばしばあった。

漬物の名産地である高山だけあって、たくさんの種類の漬物が売られている。

50年間この朝市に出店し続けているというひとも20人ほどいるし、
2代目3代目と代替わりして続けているひともたくさんいる。
それでも30年前には120以上あった店舗が、
現在では半分の60店舗程度に減ってしまった。

しかしそれでも50年以上も続けてこられたのは、
地元住民が今でも利用し、
かつてと同じスタンスを保ち続けているからではないだろうか。
組合を中心に、まちをきれにすることを心がけ、
白いテントに統一して景観を保つなどの努力は怠らない。
出店者自体が“地元の朝市”であることを大切にしているように思う。
「組合のひとががんばってくれている」と出店者は声を揃える。

りんごの皮を剥き、試食してもらいながらコミュニケーションをとる諏訪忠義さん。

こうした歴史を伝えてきた宮川朝市にも、
以前には売られていたのに、最近は姿を消してしまった食材がある。
これらを復活させようという試みが最近始まった。
17品目を指定し、飛騨高山伝統食材の計画栽培を行った。
春はあさつき、折菜、のびる、あずき菜。
夏は縞ささげ、なし瓜、小茄子、国府茄子、ほう葉。
秋は赤かぶ、長人参、一斗芋、なつめ。
冬は飛騨ねぎ、あぶらえ(えごま)、はところし(青豆)、白菜霧漬け。
高山の食文化を守っていく役割も、朝市は担っているのだ。

いくら観光客が増えようとも、
宮川朝市に出店しているのは、あくまで地元、高山のひとたちだ。
朝市に出かけると、その土地の風土や人柄などがわかってくるような気がする。
朝7時ごろから12時ごろまで開いているが、
まだ観光客が少ない早めの時間帯に、
散歩がてら行ってみることをおすすめしたい。
引き締まった空気のなかで、
おじいちゃんおばあちゃんの散歩道となっている宮川朝市から、
高山の生活の光景を見ることができるだろう。

花とうもろこしと有機ニンニク。

map

宮川朝市

住所 岐阜県高山市下三之町宮川沿い
営業時間 7:00〜12:00
http://www.asaichi.net/

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