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連載

インタビュー:
リバースプロジェクト
伊勢谷友介さん×村松 一さん

木のある暮らし
ーLife with Woodー
vol.064

posted:2015.4.7  from:全国  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  日本の面積のうち、約7割が森林。そのうちの4割は、林業家が育てたスギやヒノキなどの森です。
とはいえ、木材輸入の増加にともない、林業や木工業、日本の伝統工芸がサスティナブルでなくなっているのも事実。
いま日本の「木を使う」時かもしれません。日本の森から、実はさまざまなグッドデザインが生まれています。
Life with Wood。コロカルが考える、日本の森と、木のある暮らし。

editor's profile

Yu Ebihara

海老原 悠

えびはら・ゆう●エディター/ライター。生まれも育ちも埼玉県。地域でユニークな活動をしている人や、暮らしを楽しんでいる人に会いに行ってきます。人との出会いと美味しいものにいざなわれ、西へ東へ全国行脚。

credit

撮影:千葉 諭

「リバースヴィレッジ」構想で見えてくる、
リバースプロジェクト流・林業との向き合い方。

「人類が地球に生き残るためにはどうするべきか?」という命題のもとで、
衣食住に加えて、教育・芸術・支援といった
社会生活を営むうえで必要とされる分野での活動を、
クリエイティブな視点から考察・実行している、リバースプロジェクト。
代表の伊勢谷友介さんと、建築デザインを担当する村松 一さんに、
これから着手する“林業×リバースプロジェクト”の構想について伺った。

「材料として木を使ったプロジェクトは今までもいくつか手がけてきましたが、
日本の林業自体については、
僕たちもまだアプローチできていない分野ではありました」と村松さん。
国産材を使ったリバースプロジェクトの事例としては、
山口の萩市で、伸びすぎた竹を伐採して
花器やラウンジチェアなどのプロダクトをつくった
〈TAKE create Hagi(タケ・クリエイト・ハギ)〉や、
2013年には宮城県の東松島市で、市内の木工店と協力して
間伐材で木質ペレットをつくり、そのペレットを燃料にしてお湯を温める
〈足湯CAR〉を贈呈した例がある。
もちろん、風呂釜も木製だ。

村松さんは、宮城県名取市の「アタラタ」の施設の設計なども手がけた建築家。

足湯CARの様子。おとなも子どももじんわり温かい足湯に夢中!

〈TAKE create Hagi(タケ・クリエイト・ハギ)〉で発売された竹のベンチ。

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「手の入っていない森や林をどうしようかということは、
僕たちが今までやってきた木のプロダクトづくりと単位が違うと思うんです。
単位とは、経る時間のこと。
PR的な側面でのインパクトは与えることはできるけれど、
それは短期的であって、林業自体は50年100年という
長期的なスパンで考えていかなければならないという違いがありますよね。
少なくとも10年くらいの期間で森を変えられるような事業をやらないと、
なかなか根本的な問題解決にはならないように思えます」(村松さん)

そこで今、伊勢谷さんと村松さんが構想しているのが、
リバースプロジェクトの多岐にわたる活動の中でも、
彼らが注目している地域である、富山県南砺市での事業。
コロカルでも、リバースプロジェクトが南砺市と描いた
エコビレッジ構想」について取材をしたが、
これが早くも次の展開を見せているのだという。

「今、南砺市で計画しているのが、
木質のバイオマスで200人の生活に届くエネルギーを賄ってみよう
という“生態系づくり”です」(伊勢谷さん)

どういうことなのか。

「ここから先、数十年のエネルギーや食料の問題を考えたときに、
地方に生活できる拠点を準備して展開したい。
その村のことを〈リバースヴィレッジ〉と呼び、
スタートを富山県南砺市から切ろうと思っています」(村松さん)

「プロダクトづくりは利益優先になってしまいがち。
だからそこに手をかけるのではなく、
エネルギーや生態系の循環のシステムを
僕たちがデザインすることが必要だと感じています。
エネルギー問題が無視できないところまで迫っている今、
ものごとをエネルギーに還元するというかたちは、
時代の流れや世界の傾向から言ってもこれから絶対にやってくると思います」
(伊勢谷さん)

南砺市・田中幹夫市長との対談。NANTO CITY×REBIRTH PROJECT #006より。

南砺市で2014年5月に行われた、市民参加型のエコビレッジ実現に向けてのワークショップ。

南砺市エコビレッジ構想の全体像。さまざまな事業から形成される。

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具体的には、南砺市の移住者を対象に半林半X、半農半Xを実践し、
半林・半クリエーターや、半農・半パートタイムなど、
個人に合わせた生活スタイルを提案する。
半林や半農なのは、移住してきて早々に100%林業従事者になるのは
難しいであろうという村松さんの考えからだ。
この動きは来年完成するペレット工場によって加速する。
住民は、木を切り出してペレット工場に持って行けば地域通貨が貰える仕組みだ。
その地域通貨で生活用品を買えるようになって
地域のコミュニティでまわるような経済の循環の仕組みを、
リバースヴィレッジはすでにつくり始めているのだという。
そして、エネルギーや生態系を循環させていくかたちを一般に見えるようにして、
独立した生態系で暮らしている例を示すようにしていくのだという。

「今僕らがやらなければならないのは、
生活のサンプルをどうやってつくるかということです。
どういう循環システムがあるのかを僕たちがデザインして
見せていくことが必要だと感じています。
それがサンプルになるから誰かがマネできるものになる。
僕たちとしては、マネするひとがたくさん出てくるような
簡単な事例をたくさんつくることが大事なことだと思っています」(伊勢谷さん)

伊勢谷さんは今の時期の天敵・花粉症をフックにして山を保全するユニークな企画も頭の中にあるのだとか。「花粉症の大きな原因となっているのが、手入れされていないスギ山。日本全国のスギ山を見える化して、所有者がわかっていないスギ山に手を入れられるような仕組みをつくりたい。それをクラウドファンディングで出資者を募るなんてどうでしょう?」

すでに、2014年度にエコビレッジへの市民の参加を後押しするワークショップも開催されて、
リバースプロジェクトと南砺市の田中幹夫市長との
リバースヴィレッジ実現に向けた具体的な話し合いも進んでいるのだという。
多くの半林・半Xの事例が南砺市から生まれ、
そしてそれをサンプルとして、全国に広がっていくことを
リバースプロジェクトは望んでいるのだ。

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