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連載

〈讃岐の舎づくり倶楽部〉
伐ったヒノキを余すことなく使い、
暮らしを豊かにする家具に変身。

木のある暮らし
ーLife with Woodー
vol.043|Page 1

posted:2015.1.28  from:香川県三豊市  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  日本の面積のうち、約7割が森林。そのうちの4割は、林業家が育てたスギやヒノキなどの森です。
とはいえ、木材輸入の増加にともない、林業や木工業、日本の伝統工芸がサスティナブルでなくなっているのも事実。
いま日本の「木を使う」時かもしれません。日本の森から、実はさまざまなグッドデザインが生まれています。
Life with Wood。コロカルが考える、日本の森と、木のある暮らし。

text & photograph

Akiko Yamashita
山下亜希子

やました・あきこ●香川県高松市在住。広告営業から転身して旅情報誌の制作に携わり、四国内をあっちこっち。ここ数年は瀬戸内の島を旅して本をつくる日々を過ごしています。ウェブマガジン『四国大陸』メンバー。雑誌『せとうち暮らし』で島の移住体験記を連載中。

讃岐の舎づくり倶楽部からつながる香川の森のはなし

日本で一番面積の小さな香川県。
古くからマツを中心に生育していたが、
昭和40年代後半に起きたマツクイムシによる被害がきっかけで、
ヒノキを中心とした植林が行われるようになった。
他県に比べて土地がやせていることもあり、香川県の人工林の多くはヒノキ林。
植林としては全国的に後発のため、
古くからスギやヒノキを植林してきた他県と比べると、
全体的に人工林の樹齢が20年ほど若い。
建材として使える大きさに満たないものが多いため、
平成23年の外材への依存率は日本一。
ここ数年で、ようやく柱がとれるくらいの大きさに育ちつつあり、
県内の家や家具として活躍する場を静かに待っている。

若いヒノキが育つ香川の森。

使われない県産ヒノキに命を吹き込む

県内に広がる森林の90%を若いヒノキ林が占める香川県。
まだ若い森が多く、木造住宅の建材は、
県外や外国からの輸入に頼らざるを得ないのが現状だ。
土地がやせているために、ヒノキの生育が遅いのも特徴。
そのぶん、ゆっくりと年輪を重ねながら育つので、目の詰まった良質のヒノキが多い。
この特性はすぐに建材に使えなくとも、もっと身近な家具などに活用する余地はある。

伐採され、大黒柱などを取ったあとに残ったヒノキの上部。

一方で、間伐材の問題がある。
人工林の木々にまんべんなく雨や日光を行き渡らせるためには、
密集した立木を間引く間伐は欠かせない。
間伐された木は、家具などの材木として活用できる。
しかし、現実には間伐材そのものの需要が少ないため、
間伐作業の経費が出ないことからそのまま放置される場合が多い。
こうして山が荒れ果て、健康な木々が育たなくなる。
経済成長とエコの狭間で、間伐材は経済を生み出さない材木とされてきた。

なかでも、小径木間伐材と呼ばれる直径14センチ未満のものは、
若いヒノキ林が多い香川県内にひときわ多い。
この大きさが微妙なもので、最少サイズの柱すらとることができないという
少々やっかいな材木だ。そんな、どこにも使われない小径木間伐材を有効活用して、
県産ヒノキの家具を生み出しているのが、「讃岐の舎(いえ)づくり倶楽部」だ。

小径木間伐材を最大限に使うには、
一本の丸太から45×85ミリの断面の角材を取ることになる。
必然的に、つくれるものはその限られたサイズ内に収まるものとなる。
どっしりと構えた〈HINOKKI-CHAIR〉は、その大きさを最大限に利用した。
余分な加工は施さず、45×85ミリの木材を組み合わせてできたチェアだ。
座ると、もともとの小径木間伐材のサイズ感がイメージできる。
手すりも座面も背もたれも、小径木間伐材の厚みを
そのまま生かしているので重厚感がある。
積み上げた木材の境界線に凹形を掘るなど最小限のデザインを施した。

小径木間伐材の年輪の向きを交互に組み合わせることで反りを最小限に抑えたHINOKKI-CHAIR。

国産スギの端材を有効利用したバードハウス〈BEHAハウス〉。煙草の乾燥小屋の形を模した越屋根がかわいらしい。

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