colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧

連載

アイデアも製造も、
現場から生まれるものづくり。
ユカイ工学後編

貝印 × colocal
「つくる」Journal!
vol.004|Page 1

posted:2015.5.19  from:東京都新宿区  genre:ものづくり

〈 この連載・企画は… 〉  歴史と伝統のあるものづくり企業こそ、革新=イノベーションが必要な時代。
日本各地で行われている「ものづくり」もそうした変革期を迎えています。
そこで、今シーズンのテーマは、さまざまなイノベーションと出合い、コラボを追求する「つくる」Journal!
ものづくり・しくみづくり・ひとづくり・食づくり、場づくりetc、
貝印 × コロカル × earthradioチームが、フレキシブルにテーマを取り上げていきます。

writer's profile

Tomohiro Okusa
大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

photographer

Suzu(Fresco)

スズ●フォトグラファー/プロデューサー。2007年、サンフランシスコから東京に拠点を移す。写真、サウンド、グラフィック、と表現の場を選ばず、また国内外でプロジェクトごとにさまざまなチームを組むスタイルで、幅広く活動中。音楽アルバムの総合プロデュースや、Sony BRAVIAの新製品のビジュアルなどを手がけメディアも多岐に渡る。
http://fresco-style.com/blog//

前編【ロボットを使ったコミュニケーションが家族団らんを取り戻す。ユカイ工学 前編】はこちら

ロボットを使った子どもとのコミュニケーション。

ユカイ工学は、ロボットと暮らす未来を目指している。
最新の製品は〈BOCCO〉というロボット。
センサーとセットで販売され、センサーはドアなどに取り付ける。
すると子どもが帰ってきたときにセンサーが感知し、
自分が持っているスマートフォンなどに通知がくる設定になっている。
子どもが帰ってきたことがわかると、リビングなどに置いておいたBOCCO本体に、
スマホからメッセージを送ることができる。
スマホでテキストを打って送ると、BOCCOでは音声となって流れる。
もちろんスマホに直接音声を吹き込んで、ボイスメールを送ることも可能だ。
BOCCOのスイッチを押すと音声が流れてくる。
自分で声を吹き込んだ場合は、人間のあたたかい声が流れてくる。
子どもが学校から帰ってきたら、「おかえり〜、おやつは冷蔵庫にあるよ」と送り、
それを聞いた子どもはおやつを食べながら、
「ただいま〜、友だちの家に遊びに行ってくるね」と報告できる。
通話ではないが、リアルタイムなやりとりだ。

ユカイ工学のCEOである青木俊介さんが、
BOCCOをつくろうと思ったきっかけを教えてくれた。

「うちもそうですが、共働きの家庭が多いと思います。
そうすると、家で子どもが何をやっているか、知りたいですよね。
携帯電話はあまり持たせたくないし、カメラを設置するということはできますが、
それでは管理しすぎてしまいます。
ネットワークがこれだけ普及しているのに、
その部分がスポッと抜け落ちてしまっていると思うんです。
大人同士をつなぐツールはSNSなどたくさんあります。
でも、友だちがどこでランチしているかより、
自分の子どもがいつ帰ってきたかのほうが知りたいですよね」

モノのインターネットと呼ばれるIOT(Internet of Things)技術が発達して、
センサーをネットワークにつなげることが簡単になった。

「最近はスマートハウス化が進んで、
たくさんのコントロールパネルが家の壁に付いています。
これからもどんどん増えていく方向だと思いますが、
しかしメーカーはバラバラでデザイン的な統一感もない。
これ以上、家のなかに液晶パネルを増やしたくないし、
ルータのような機械的なものもなるべく増やしたくないですよね」

テレビやエアコンにオーディオ、すでにリモコンがたくさんある。
それに加えて壁の操作パネルも増えていったら、
便利になっているようで、それらに振り回される日常になってしまいそうだ。

「スマホのアプリでまとめて操作ということもできます。
しかし数百万という数のアプリがあるなかで、
ひとりが使うアプリは平均10個以下という統計もあります。
そんななかで、さらにスマホに集約させるようなことはしたくない。
そのような時代ではなくなってくると思います。
その代わりにロボットを使うことができないかなと思ったんです」

無機質なボックスやルータとは異なるロボットであれば、
デザインの幅も広がり、親しみやすい筐体にすることも可能だ。

「僕からは『首がゆれるようにしてほしい』、『鼻をボリュームにしたい』、
『ロボットに見えるように』などの指示をしています。
ロボット技術は寄せ集めといえます。
自動改札機もロボットといえばロボット。
子どもを認識して、子ども料金で通す判断を自分でしているわけですから。
しかしあれはロボットとして認識されてはいませんよね。
ぼくたちはロボットというからには、キャラクター性が重要だと思っています」

機能性の高さを目指すと、ムダを排除して無機質になりがちだが、
ユカイ工学では、あくまで人間の生活に馴染むような
やさしいデザインや設計を心がけているのだ。
それこそユカイ工学の考えるロボットの役割かもしれない。

ユカイ工学のCEO、青木俊介さん。さまざまな工作機械も並ぶ事務所にて。

Tags  この記事のタグ

Recommend