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未来を創るニッポンの現場
「岡山 美作」編 Part4
上山から日本の未来を考える。

KAI presents EARTH RADIO
vol.012 StoryC-03

posted:2012.7.27  from:岡山県美作市上山地区  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  俳優・伊勢谷友介さんと放送作家・谷崎テトラさんが、
“未来を作る日本の現場”を求めて、さまざまな土地を巡ります。
コロカルでは、この「EARTH RADIO」を“読む”ための、連動連載をお届けします。

editor's profile

Tomohiro Okusa
大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力

credit

撮影(メイン・プロフィール):
Suzu(fresco)

棚田から考える、さまざまなことの未来。

伊勢谷友介さんと谷崎テトラさんによるウェブラジオプログラム
「KAI presents EARTH RADIO」。
岡山県美作市上山地区の棚田再生プロジェクトに、
東 大史さんは総務省の「地域おこし協力隊」として参加している。
この制度は最大3年間という期限があり、東さんは現在2年目を迎えている。

「今年は上山をどんどんメジャーにしていこうという戦略の年。
来年になったらたくさんのひとが来て、
そちこちで若者がなにかしているような場所がつくれたら
ミッション終了ですね」

それには、やはり仕事の問題。
働き口があってそれが魅力的に見えれば、若者は来る。

「大学生のアルバイトとしても、同じ時給1000円で、
コンビニと、この田舎でアルバイトでは、
どちらがいい? という選択肢を提供したいんです。
また、いま働いている企業で不完全燃焼に感じているひともいると思うけど、
こういう田舎で日々自然とともに働いていると、
それがちっぽけなことだと思うようになるかもしれない。
農業でも林業でも、これだけ稼げるんだということを見せられれば、
それを専業にしてみようと目指す若者が生まれると思うんです」

東さんは3年間の「地域おこし協力隊」を修了後、
もちろん個人的に上山に残ることは可能だ。
ただし、それは本質的な解決になっていないと思っている。

「ぼくのところにも、“養子にならないか、婿にならないか”という話が
たくさん来るんですよ。血縁や土地を提供するのは、
地元のひとの沈痛な叫びだと思うのでぞんざいにはできませんけど、
やはりもっとも健全なのは、この地域で生まれ育った若者が戻ってくること。
“あそこの息子が戻ってきて何か始めたから、いっちょ手伝ってやるか”
というのが、一番すんなりしたかたちのはずです。
だから仕事や教育など、
地元のひとたちが戻ってきやすい場所をつくることがぼくたちの役割」

東さんの話をきいていると、
地域が持つポテンシャルの大きさを感じる。
だからこそ、地域が元気になることの大切さも。

「職業、エネルギー、教育、福祉、医療など、
生活に必要な要素がどの場所でも提供される。
それが一番安定した社会のかたちだと思うんですよね。
高度成長期前の日本は、
自分たちの地域のことは、だいたい自分たちでまかなえました。
それが専業でやることで効率化を図り、分業していった。
でも高度成長期は終わったので、いまの水準に合わせて、
ひとりの人間が、さまざまな役割を担って、いろいろな仕事をする。
そんなひとが増えていけば
日本は面白くなると思いますね」

東さんが描く“日本を環境立国に”という想いもまた、地域がポイントとなる。

「“コレは海外で売れるかな?”という視点を忘れずに、
常にグローバルを意識して仕事をしているつもりです。
日本はすごい国であるということを海外に伝えていかないと、
どんどん埋没してしまいます。
ぼくは環境をキーワードとして技術を伝えていきたいです。
日本が持っている昔ながらの知恵や技術をひとつずつすくい上げていって、
輸出できるかたちにする。
それができる場所は、実はローカルなんだろうなと思っています」

中山間地域の棚田を、地元の知恵とともに再生することは、
まさにその具体的なかたち。
日本のサステナビリティの呼び起こしであり、アピールなのだ。

「棚田の再生には、大きな機械が入らないので、
日本がもともと持っていた伝統的な農業技術を生かさなければなりません。
棚田に限らず、そういった技術をちゃんと伝えていけば、
持続可能な農業というものを日本からを海外にも広めていくことができるはずです。
東南アジアなどのこれから発展していく国には、
そうした社会をつくっていきたいという欲求があると思うので、
そういう国に対して未来に“売れる”ものになると思います」

環境立国として日本がこれからの世界に伝えられるものが、
この棚田にある昔ながらの知恵と技術につまっている。
それが東さんの、上山ビジョン。

棚田の手前には、山羊や牛が放牧されている。

上山千枚田の棚田のお米でできた、もっちりして素朴なおにぎり。

profile

TAISHI AZUMA
東 大史

「日本を環境立国として、世界のお手本にする」ことを目標として、日本のローカルに眠るさまざまな知恵や技術を現代の産業水準に合わせてルネッサンスし、海外の継続的な発展のために寄与していくことをライフワークとしている。現在は岡山県北部美作地域において地域活性化事業に従事しており、棚田再生を象徴とした農業振興、地域での生活基盤自給を目指した林業、雇用増加を志向する地域ビジネスの立案などを仕掛ける。
http://ueyama.shu-raku.jp/
https://www.facebook.com/taishibrian

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