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連載

未来を創るニッポンの現場
「長野 安曇野」編 Part4
世界に発信したい、日本の暮らし方。

KAI presents EARTH RADIO
vol.008 StoryB-04

posted:2012.6.29  from:長野県安曇野市  genre:活性化と創生

〈 この連載・企画は… 〉  俳優・伊勢谷友介さんと放送作家・谷崎テトラさんが、
“未来を作る日本の現場”を求めて、さまざまな土地を巡ります。
コロカルでは、この「EARTH RADIO」を“読む”ための、連動連載をお届けします。

editor's profile

Tomohiro Okusa
大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力

credit

撮影(メイン・プロフィール):
Suzu(fresco)

地球ひとつで暮らす。そんな当たり前のこと。

伊勢谷友介さんと谷崎テトラさんによるウェブラジオプログラム
「KAI presents EARTH RADIO」。
長野・安曇野シリーズ最終回となる第4回は、
臼井健二さんが「シャンティクティ」を運営することで、
宿泊客に伝えたいこと、社会に伝えたいこと。その哲学を聞いた。

「効率を重んじる社会になって、
10人の仕事を8人でできるようになったんですね。
でもその余った2人をクビにすることはできない。
だからその分、増産しなくてはいけない。
それがずっと続いていく。
資本主義はそうじゃないとやっていけないんです」

そして臼井さんから投げかけられた質問。
「世界中すべてのひとたちが私たち日本人の水準で生活すると、
地球が何個必要だと思いますか?
答えは地球2.5個です。
途上国を犠牲にしながら成り立っていることがわかります」

これはエコロジカル・フットプリントという指標で、
人間が消費する自然資源を、その生産に必要な土地の面積で示したもの。
アメリカ人の生活水準で計算すると、地球が5.6個必要となる。

「そんな無理な生活はもうやめて、
地球ひとつで暮らす生き方にシフトしないといけません。
“ワンアース・ワンラブ”という思想です。
“足るを知る”という言葉がありますね。
時代は、もっともっと上へ! と登りつめていく生き方では
なくなるのではないかなと思います。
わたしたちの生活は、もう自然の許す範囲をこえていると思うんですよ」

太陽光パネルや風力発電など、なるべく地球ひとつで生きられるように、自然エネルギーを積極的に導入。

世界に誇る日本の“わかちあう”生き方。

いま我々日本人は、2.5個の地球を必要とする生活をしている。
でも、地球はひとつ。
それを世界に知らせていくことができるのもまた、
日本人の暮らしだと、臼井さんは語る。

「西洋は、対象を変えよう、自然を変えようという生き方。
一方、日本は対象と同化しようという生き方です。
これまでは分断して“わけ”ていた時代。
これから目指すのは“あう”時代です。
“わかちあう”という言葉が、
ようやく完成の時代を迎えているのかもしれません。
そういう意味でも、
日本はこれから世界に発信できる大事なものをたくさん持っています。
今まではなんとなく西洋文明が素晴らしいと思いがちでしたが、
“融合する”という志向を持つ日本人の生き方は、世界に誇れるものです」

商品ひとつひとつにお金を払うのではなくて、
ひととひとの関係性にお金を払うという考え方も、
つながりを大切にする日本の里山文化から生まれたものだ。

「例えば、地域住民が地域の農家を支援する
コミュニティ・サポート・アグリカルチャー(CSA)という運動も、
日本の産地直送からはじまった考え方です。
農家にファンドのようなかたちでお金を出したり、飲食店として買い付けたり、
直接的な方法で地域の農家を支えます。
これは、お互いが支え合う日本人の生き方があってこそ生まれた文化です」

日本の里山文化のありかたは、
パーマカルチャーという概念を体系化したオーストラリアの
ビル・モリソンも高く評価しており、
“日本の先達に学び、再認識すべき”と述べている。

「“和をもって良し”とする日本の伝統文化を世界に発信していく時代ですよ。
パーマカルチャーといったって里山文化。日本に昔からある複合文化のこと。
それが横文字になったから新しく感じるだけで、
わたしたちには馴染み深いものです」

時代は少しずつ変わってきている。
30年以上も前から
自給自足やマクロビオティック、自然農などを取り入れてきた臼井さんには、
それを肌に感じることができる。

「昔は、マクロビオティックもなかったし、
パーマカルチャーって何? という状態。
時代の一番後ろを走っていたのに、
いつの間にか先頭を走っているような感じですね。
“ワンアース・ワンラブ”の考え方も、
すべてを実現することは難しいけど、目指していく過程が大切です。
それを表現する場として、シャンティクティや舎爐夢ヒュッテは
いろいろなひとが自由に出入りできて刺激を感受できる場でありたい。
もう少し地域に奉仕したいなとも思うし、
そういう社会的な役割ができることは幸せなことだと思っています」

日本のアチコチで活動しているひとたちに光が当たることで、
いろいろなつながりが見えてくる。
パーマカルチャーと同じで、単独で考えるより、
トータルでみるとすごくつながっていることがわかったりする。
光が与えられる場所。それは日本の、こうした場所にあるのかもしれない。

数十センチメートルごとに、たくさんの品種の野菜などが育てられている。これは藍の芽がでたところ。

屋根の上に稲刈り後の田んぼ。自分たちで食べる分を少量ずつ育てていく。

左からタラの芽、こしあぶら、山椒、下がコンフリー。天ぷらとなって夕食の卓上へ。

information

map

ゲストハウス シャンティクティ

住所 長野県北安曇郡池田町会染552-1

TEL/FAX 0261-62-0638
http://www.ultraman.gr.jp/shantikuthi/

profile

KENJI USUI
臼井健二

1949年生まれ。大学卒業後、商社に1年勤めて退社。穂高町経営の山小屋の管理人として5年間過ごす。1977年に大天井岳の山小屋の管理人をやめ、1979年舎爐夢ヒュッテを立ち上げる。長野県内有数の稼働率を誇る人気の宿となり、自然農、シュタイナ-教育、マクロビオティック、地域通貨、共同体、パーマカルチャーなど、21世紀の循環型社会に必要なキーワードを包み込んだエココミュニティとして注目を浴びている。2006年には、シャンティクティもオープンし、最小コミュニティである家族で運営。現在は拠点を移して活動中。
臼井さんインタビュー動画:http://youtu.be/1eAIUw1OSn0

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