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じいちゃんが残してくれた柿の木

小豆島日記
vol.136

posted:2015.12.14   from:香川県小豆郡土庄町  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  海と山の美しい自然に恵まれた、瀬戸内海で2番目に大きな島、小豆島。
この島での暮らしを選び、家族とともに移住した三村ひかりが綴る、日々の出来事、地域やアートのこと。

writer profile

Hikari Mimura

三村ひかり

みむら・ひかり●愛知県生まれ。2012年瀬戸内海の小豆島へ家族で移住。島の中でもコアな場所、地元の結束力が強く、昔ながらの伝統が残り続けている「肥土山(ひとやま)」という里山の集落で暮らす。移住後に夫と共同で「HOMEMAKERS」を立ちあげ、畑で野菜や果樹を育てながら、築120年の農村民家(自宅)を改装したカフェを週2日営業中。
http://homemakers.jp/

島で育てられてきた果樹を残し、活用する

冬になると毎日のように食べる“みかん”。
いまうちには、大きいダンボール3箱分くらいのみかんがあります。
どれもご近所さんからのいただきもので、作る人によって大きさや味が違い、
その違いを楽しみながらありがたくおいしく食べてます。

たくさんいただいたみかんをカフェのお客さんや友人におすそわけ。

畑作業の休憩にみかん。(撮影:太田有紀)

水分の多いみかんはお茶の代わりになります。おやつにも。

小豆島では柑橘の栽培がさかんです。
ずっと昔からいろんな種類の柑橘が育てられてきました。
仕事として作っている人、自分の家で食べるために作っている人、さまざまです。

うちの近所にもあちこちにみかん畑があります。
みかんのほかにも、ゴツゴツとして酸味の強い“ダイダイ”、
ゴツゴツしてるんだけど厚い皮をむくとなんともジューシーで
おいしい実が入っている“スイートスプリング”、それからスダチや柚子も。
最近、ライムを育てている人にも出会い、わけていただきました。
柑橘だけじゃなくて、柿や栗、梅も。
本当に食材豊かだなと思います。

島で育てられたタヒチライム。うちも育ててみたいと思いました。

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島のダイダイを使ったぽん酢

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果樹というのは、植えてすぐに収穫できるものではありません。
それこそ「桃栗三年 柿八年」ということわざがあるくらいで、
種をまいてから収穫まで数年かかります。
私たちも小豆島に来てからレモンの苗木を何本か植えましたが、
まだ木が小さくてちゃんとした実を収穫できてません。
いま食べているみかんやレモンは、じいちゃんやばあちゃん、
地域の人たちが何十年も前から育ててきてくれたものなんです。
そういう昔からある果樹というのは、農村にとって
大きな財産なんじゃないかなと思います。

家の裏には大きな柿の木があります。じいちゃんが残してくれた木。

玄関のすぐ目の前には、お隣さんちの柿の木。

全国のスーパーに流通させるほどの量、同じ品質のものを収穫することはできないけど、
自分たちが食べる以上の量を収穫できる。
それが1種類じゃなくて、みかんだったりレモンだったり柿だったり。
小さな商いの材料としては充分。

私たちはそんな資源を活用して、〈シトラスジンジャーシロップ〉や
〈ダイダイぽん酢〉をつくりました。
実際つくるとなると、収穫をどうするか、加工をどこでするかなど大変ですが(笑)。
それでもつくって売ってちゃんと儲けられれば、
果樹を手入れでき、景観を保つことができます。
さらには新しく果樹を植え育てるという仕事も生みだせます。
そんなに簡単な話ではないですが、そうイメージしながら動いています。

島で昔から育てられてきたダイダイを使ったぽん酢をつくりました。

ぽん酢が売れれば、ダイダイを育てることがひとつの仕事として成り立つ。

いま気になってるのは、みかんと柿。
どうやったら腐らせてしまわずに生かせるのか、
みかんや柿のある風景を残し続けられるのか。
農村での暮らしはネタがつきませんね。

information


map

HOMEMAKERS 

住所:香川県小豆郡土庄町肥土山甲466-1

営業時間:金曜、土曜のみ 11:00~17:00(L.O. 16:00)

http://homemakers.jp/

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