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里山を悩ませる「負の連鎖」とは?
「ミツバチの楽園」づくりで
土地を再生させながら考えたこと|Page 2

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.028

Page 2

〈高橋養蜂〉が夢見る「ミツバチの楽園」

けましておめでとうございます。
この年越しは多くの人と逆方向の帰省をして
妻と僕の実家のある東京で過ごしました。
久々に東京に戻ると下田での暮らしを客観的に見ることができます。

思い返してみると昨年は移住先探しの旅から始まりました。
その旅を経て、下田に家が決まり、昨年4月に移住。
当初は仕事もなく、友人もいなかったのですが、
いまでは仕事にも友人にも恵まれ充実した日々を送っています。
とにかく変化の1年でした。

そして続く今年はどんな年になるのか?
「移住のリアル」をモットーに、移住したからこそ感じたこと、
わかったことをお伝えしていこうと思います。
本年もよろしくお願いいたします。

アロエの花をご存知ですか? 下田近辺はまちのあちこちにアロエがあり、この時期一斉にきれいな花を咲かせます。アロエはわが家の庭にもあり、虫刺されのときに重宝しています。

今回はvol.21で紹介した〈高橋養蜂〉の養蜂家・
高橋鉄兵さんと取り組んでいる「ミツバチの楽園」についての話です。

昨年の夏に鉄兵さんと知り合い、僕は彼の養蜂に対する真摯な思いに
すっかり惚れ込みました。
彼も移住したばかりの僕に興味をもってくれて意気投合。
そして、彼の夢「ミツバチの楽園」づくりに加わることになったのです。

養蜂家・高橋鉄兵さんとの出会いは僕の下田での暮らしを大きく変えました。

では、その楽園の住人ともいえるミツバチについて少し説明を。
ミツバチは、花の蜜を集めてはちみつをつくるだけでなく、
果物や野菜の果実を実らせるための受粉を行っています。

「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、
7割はハチが受粉を媒介している」と

国連環境計画(UNEP)アヒム・シュタイナー事務局長が報告しています。

生態系においても、我々人間の胃袋を支える農業においても
大切な役割を果たすミツバチ。
昨今、そんなミツバチが激減してしまったのです。
原因として農薬の可能性も疑われています。
農業にとって大切なミツバチが、これまた農業にとって必要とされている
農薬により激減したとすれば、すごい自己矛盾です。

そこで、鉄兵さんは農薬の心配なくミツバチが安心して飛び回れる
「ミツバチの楽園」をつくることを考えたといいます。
そして、昨年まさに「楽園」にふさわしいような
すばらしいロケーションの土地に出会ったのです。
そこは下田湾を望む里山の中に切り開かれ、
みかんやキウイが植えてある果樹園です。

写真ではわかりにくいですが、山並みの先に下田湾が見えます。昼時には海面が太陽に照らされて反射して光り、目の錯覚なのか海面が上にあるようにも見えます。なんとも神秘的な景色。

鉄兵さんは、その土地を「ミツバチの楽園」にすべく昨秋に借り始めました。
そして僕は秋から、週に何度かは鉄兵さんとともに
そこを再生させるため、開拓ともいえるような作業をしているのです。