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伊豆の朝採り野菜が手に入る、
それだけじゃない直売所の魅力とは

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.018

下田のお気に入りの直売所〈旬の里〉

田で暮らし始めて、およそ4か月。

いろんなことが少しずつ落ち着き始め、日常となりつつあります。
夫は新しい仕事が見つかり、先月から働き始めました。
平日は看板をつくり、ときどき民宿や飲食店のお手伝いをするなどして、
下田の生活を柔軟に楽しんでいます。

娘も新しい保育園に慣れ始め、
お互いの家を行き来できるような友だちもできました。

7月に入ると気温が一気に上がり、いよいよ夏本番という雰囲気です。
週末は家族3人で近所の海に出かけ、海水浴を楽しんでいます。
娘の肌はもうすでに小麦色、この勢いでひと夏越えたら
どうなってしまうのか……、と少々心配です。

最近購入したゴムボートではしゃぐ父娘。我が家から徒歩圏内にある外浦海岸は波が穏やかで、子連れでも安心して遊ぶことができます。

そうした日々のなかで
私が楽しみにしているのが、直売所にいくことです。
下田にはいくつかの農産物直売所が点在していて、
採れたての野菜や果物をとても安く買うことができます。

近所の方にお野菜や果物をいただいたり、
自分たちでも少しずつ菜園を始めていますが、
直売所でつやつやの野菜を目の前に
「晩ごはん何にしようかな~」と考える時間も、やはり楽しいものです。

ついうれしくなってしまい、あれもこれも手を出したくなるのですが、
ここはぐっとがまん。

せっかくその日に採れたものが近所で手に入るのだから、
その日に食べられる分だけ買うようにしています。
友人や家族が下田に遊びにくるときも、買い出しをするのは当日の朝。
せっかくだったら、その日に採れたものを食べてほしい。

先日遊びに来てくれた友人に、ごくごくシンプルな味つけで振る舞うと
「野菜おいしいね~」と喜んでくれました。
脱線しますが、自分のつくった料理を誰かにおいしいと食べてもらえること。
これは、私にとって特別に幸せな時間です。
いつか民宿か飲食店をやってみたいと、
下田の食材を前にあらためて感じています。

我が家の菜園、トマトも少しずつ大きくなってきました。赤く色づいたトマトを見つけるたびに、娘は喜んで摘みにいきます。

直売所で購入した朝採れのとうもろこしやトマト。水分をたっぷり含んでいて、それはそれは甘くておいしいのです。

調べてみたところ、下田には4軒の農産物直売所があるようです。
生産者さんが農産物を直接持ち込むかたちで運営されているのは、
〈季ごころ〉〈旬の里〉〈きまぐれ売店〉の3軒。

季ごころは、以前この連載でご紹介した、
海水を薪で炊き上げて塩造りをしている村山さんと出会ったお店です。

そのほかに、JAの直売所
〈伊豆太陽農協直営店 JA直売センター〉があります。

隣の南伊豆町には大きな直売所〈湯の花〉があります。
休日には駐車場が満車になる人気店です。

いろんな直売所を渡り歩いたのち、最近よく通うようになったのは
〈旬の里〉というお店です。

大型店に比べると小振りなので、肩の力を抜いてふらっと寄れます。
農産物の種類も大型店だと多すぎて迷ってしまうし、
小さい店だと少なくて少し物足りない。
旬の里の規模が、私には心地よく感じられます。

下田駅から7、8分ほど北に向かった下田市河内という地域にあります。

この時期、夏野菜のきゅうりやなす、トマトがたくさん並びます。

地元の方にもとても人気のあるお店で、開店直後にレジ前はこの行列。

買い物をする以外にも、私が直売所で楽しみにしていることがあります。
それは、従業員の方にいろいろ教えてもらえること。
地元出身の従業員の方々はみなさん農産物に詳しく、
都会育ちの私には頼れる存在です。

6月のある日、いつものように旬の里へ行ってみると、
店中に甘い香りが漂っていました。
その香りの主はというと、ずらりと棚を埋め尽くした梅。

我が家でも、数年前から梅干しを漬けています。
昨年までは東京の自然食品店で購入していましたが、
今年はせっかく下田に住んでいるのだから地元の梅で仕込んでみたい。
そうして心待ちにしていた梅が、いよいよ出回り始めたのです。

けれど、この時期棚に並んでいるのは青い梅ばかり。
梅干しに適しているのはもっと熟した黄色い梅なのですが、
翌週になっても完熟した梅がなかなかお目見えしません。
不安になってお店の方に聞いてみると、

「この青梅買って、2、3日転がしとけばいいのよ」

え! 知らなかった。
いままでは完熟の状態になったものを購入していて、
そんなことすら知らなかったのです。

では、青い梅を買ってみよう。
農薬不使用のものはありますか? とうかがうと、

「それもこれも使ってないと思うよ。
この辺で農薬使ってるって……、聞いたことないけど?」

ここでは、梅に関しては無農薬という表示は特別掲げられていないのです。
しかも南高梅1キロ300円前後と、
私が購入していた東京の自然食品店と比べると3分の1の値段です。

「もともとここに住んでる人たちは梅の木が自宅にあるでしょ。
みんな自分のとこで使った余りをこうして出荷したりするのね」

そうなのか。

都会で梅干しを漬けている人は少ないけれど、
この辺の人にとっては当たり前なんですよね。

「うーん、そうね、みんなやるよね。
だって、梅の木があるから仕方ないんだよね、採らないと」

まだ数回しか漬けたことのない私は、
お母さんたちにどうしたってかなわない。

「できた梅酢にはね、生姜を漬けておくといいよ。
紅生姜になっておいしく食べられるから」
そう、まだまだひよっこの私は
これからいろんなことを覚えていけばいいんだ。

青梅を自宅で追熟させました。玄関を開けるとふわっと甘い香りが漂ってきて、とても幸せな気持ちになります。