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移住が決まった伊豆・下田で、
移住先探しの旅を考える

暮らしを考える旅 わが家の移住について
vol.015

「働く」ことを、立ち止まって考える

年あまり続けてきた移住先探しの旅を経て、
伊豆半島の南端、下田に移住することなりました。

妻とは旅に出る前に、移住したい、でもどこに? 
という話を随分としました。
実はそのときに、暖かそうだし、ふたりの実家のある東京からも近いし
ということで伊豆は候補にあがっていました。

でも、もっと知らない土地を見たい、いろいろな土地を巡って
移住先を決めようと旅に出ることを決めたのです。
そして、半年あまり旅をして、結果、
当初候補にあがっていた伊豆に決まりました。

考えてみれば随分とまわり道をしたことになります。

でも、この旅をして本当によかったといま、あらためて思うのです。
まわり道をしたからこそ見えてくるものがあったように感じます。
旅をせずに移住していたら、この先の暮らしに対する考え方は
いまとは随分と違うものになっていたのかもしれません。

まず、この旅では、訪ねた土地の魅力を感じ、
そこに暮らす魅力的な人々と出会いました。

そして、何より、この旅でしか得られなかったことがあります。

妻と娘と多くの時間をともにすごし、より絆が深まったこと。
そこで、「働く」ことを立ち止まって考える時間をもてたこと。

会社員をしていた頃、仕事はやり甲斐があり充実していましたが、
忙しく、なかなかまとまった休みもとれずにいました。
家族とすごす時間より仕事仲間とすごす時間のほうが多かったくらいです。
保育園に通っていた娘はどんどんといろんなことが
できるようになっていきます。
知らない間に成長していく、そんな感覚でした。

何のために働いているのか?
生活するため? お金を稼ぐため?
やり甲斐があるから?
お金は必要だけど無駄に使っているものを削れば
そこまで稼ぐ必要はないのでは?

そんな思いもあり移住することを決めて会社員をやめました。
そして旅に出たのです。

旅に出てからはいままでにないくらいに妻と娘と密にすごしました。

あと1年で小学生という娘の成長を間近で感じる喜びは
これまでしてきたどんな仕事でも感じられないものです。

妻ともこれからの暮らしのこと、娘のこと、人生のこと、
たくさん話をしました。

この旅ですごした時間はわが家にとって何より貴重なものになりました。

そして、実は、僕はこの移住先探しの旅をしていた
半年あまり、仕事をしていません。
(退社後の求職中ということで失業保険をもらっている期間はありました)
何をして稼ごうかと妄想はしていますが、
具体的に移住してからの仕事のあてがあるわけではありません。

そんな状態ですので金銭面で少なからず不安はあります。

地方でも、東京に比べて少ないとはいえ日々の暮らしにはお金がかかります。
自治体の財政は地方のほうが厳しく、
保険料や水道料金などは東京のほうが安いくらいです。

ただ、下田は東京に近いということで
フリーのフォトグラファーの妻は東京の仕事を続けます。
夫婦ふたりして収入のあてがないわけではありませんが、
僕がいつまでも無収入というわけにはいきません。

でも、そんな仕事をしない期間をもったからこそ
働くことの意味を立ち止まって考えることができたのです。

東京で会社員をしていたときは働くこと、より多い収入を目指すことが
当たり前すぎて、その意味を深く考えることはありませんでした。
それを深く考えるには、きっと忙しすぎたのでしょう。

連載vol.2で紹介した陶芸家、寺園証太さんとそのご家族。工房兼住まいや登り窯はセルフビルド。長女の奏でるピアノを聴きながら父は器をつくり、母は家事をこなす。とても丁寧に。次女の出産はこの空間で家族だけでしたと。