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物件の状況は想像以上によかったです。
特に、連載3回目の移住地に求める条件で書いたように、
米と野菜を自給したい、水は沢の水か井戸の水を
と考えている自分にとっては理想的ともいえる環境です。
そして、いずれはエネルギーの自給もできたらと考えています。
熱源としての薪も手に入りやすいし、日当たりもいいので
太陽光パネルの設置もしやすい。その点でも申し分ないのです。
金額的にも、もしも長く借りるとするなら、買うとするなら、
という話を家主さんとさせていただいたのですが現実的な金額でした。
賃貸でもいいと言っていただいているのはとてもありがたいです。
ただし、すべてが満点というわけではありません。
(そんな物件はないと思いますが……)
もっとも気になる点としては、立地条件です。
美杉という広いまちの中心から遠く離れた
太郎生という地域にあるその物件は、娘の保育園や
小、中学校への通園、通学を考えるとかなり難があります。
現在、美杉には保育園、小学校、中学校がそれぞれひとつずつしかなく、
保育園と中学校は沓沢家の住む八知にあり、
小学校はまた別の奥津という地域にあるのです。
とても歩いて行ける距離ではないので、
市がスクールバスを出してくれているようなのですが、
そのスクールバスのバス停までも車で送り迎えをしなければなりません。
そしてスクールバスのバス停からも30分以上はかかるというのです。
また、寒さに弱いわが家としては条件のひとつに温暖なところと
挙げていましたが、この地域は温暖な三重にあって積雪の多い地域です。
特にその物件は太郎生の中心地より標高でも50メート以上も
標高が上がっているので、その不安はさらに募ります。
寒さに弱い、雪に不慣れなわが家がそんな土地で生活できるのでしょうか……。
太郎生に住む方々にお話しをうかがうと、
ここの冬は厳しいよ~、四駆、スタッドレスタイヤは必須だよ~と。
幸か不幸かこれから3か月といえば最も寒い時期。
太郎生の寒さが、雪がどんなものかを体験するにはもってこいかもしれません。
そして、隣の住居との距離も気になるところです。
近隣とはある程度離れている立地を希望していますが、
こちらの物件は隣の住居と一部接しているくらいの位置関係。
ただ、その隣の方ともご挨拶させていただいたのですが、
とても親切な方でした。田舎暮らし初心者のわが家にとっては、
近くに何かと相談できる方がいると心強い気もします。
でも、将来的には移住先で民宿かゲストハウスをやりたいとも
漠然と思っています。それを考えると、隣と接しているような
つくりは難しいのかもしれません。
そんな気になる点はいくつかはありますが、とりあえずの仮住まいです。
実際に暮らしてみてどう感じるかを試せるというのは本当にありがたいです。
そして、すぐに快適に暮らせるように家具や食器、寝具を置いていくので
自由に使ってくださいとのこと。なんとありがたい話なのでしょうか……。
無事に物件確認、家主さんとの顔合わせを済ませ、鍵を受け取りました。
そして、いよいよ娘とふたりの仮住まいでの暮らしが始まりました。
といっても、それから1週間ほどで東京で用事があるので
帰らなければなりません。
1週間程度、娘とふたりで暮らしてみようという感じです。