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連載

ぜひ訪ねたい!
北海道最高峰〈旭岳〉の
壮大なスケールの絶景と花畑

my weekend@HOKKAIDO
大雪山と、北の暮らしを旅する
vol.004

posted:2017.9.1  from:北海道上川郡東川町  genre:旅行

〈 この連載・企画は… 〉  “北海道の屋根”と言われ、日本最大の〈大雪山国立公園〉を有する大雪山。
深く美しい大自然のなかで、コテージや温泉宿に滞在しながら、北の暮らしを旅します。

photographer profile

Asako Yoshikawa

吉川麻子

フォトグラファー。北海道苫小牧市生まれ。札幌市在住。2006年からのスタジオ勤務を経て2011年より独立し、フリーランスとなる。主にポートレイト、衣食住、それらに関わる風景など幅広く撮影。おいしいものといい音楽があると笑顔になります。
気のいい犬1匹と現在二人暮らし。

writer profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/

北海道最高峰からの眺めは格別

〈旭岳〉の標高1600メートルにあるロープウェイ姿見駅を出ると、
間近に迫る雄大な山の姿が目に飛び込んできます。

北海道のほぼ中央に広がる、国内最大の広さを誇る国立公園の大雪山国立公園。
標高2000メートルを超える大雪山系の山々の中でも最高峰の旭岳は、
その厳しい気候と緯度の高さから、
本州では3000メートル級の高山帯でしか見られない高山植物が豊富。
短い夏の期間には可憐な花々が一面に咲きほこり、
“天空のお花畑”と称えられる風景が待っています。

7月上旬でも残雪が見られる旭岳は、ちょうど新緑の時期。高山植物の時期は登山客が全国から訪れる。日本で唯一森林限界(森林として生育できる限界の場所)を越えるロープウェイからのパノラマの眺めも堪能したい。

麓のまち、東川町から車で約40分。
標高1100メートルの〈山麓駅〉から旭岳ロープウェイに乗れば、
5合目の〈姿見駅〉まで片道10分とあっという間。
姿見駅到着と同時に、高山植物や注意事項について常駐のガイドさんから
簡単なレクチャーが行われるので、初体験の方は参加してみて。

きれいな歌声で出迎えてくれた野鳥〈ノゴマ〉。喉が赤く愛らしい姿。

今回同行してくれるのは、旭岳のみならず大雪山全体に詳しいガイドで
ネイチャーフォトグラファーとしても活躍する、大塚友記憲さん。

夏の旭岳の楽しみ方、高山植物や絶景ポイントなどを教えてもらいながら、
1周1.7キロ、1時間ほどの〈姿見散策コース〉をベースに、
旭岳の雄姿はもちろん、希少な高山植物に出会える旅へと出発です。

2017年は例年に比べて夏の訪れが遅く、7月上旬でも大きな雪渓が。強風の吹く旭岳の天気は急変することも多く、下界とは気温差が10度を超えるため、脱ぎ着できる防水の上着は必須。雪の残る場所も多いので、登山靴か長靴で出かけましょう。

旭岳を望む第1展望台。これほどクリアな姿はまれだとか。冬はパウダースノーに包まれる旭岳には、世界初の人工雪を製作した中谷宇吉郎氏が雪の結晶観察や研究のため訪れている。

残雪のなかに咲く、可憐な花々

日本一遅い雪解けと日本一早い紅葉が訪れると言われる旭岳の夏は短く、
6月中旬から8月上旬のシーズンには、散策路沿いだけでも
20種類もの高山植物が花をつけ、短い夏を惜しむかのように、
美しい絨毯のごとく咲き誇ります。

お花を探すのはもちろん、あちこちから聞こえる鳥の声に耳を澄ましながら、
極上のおいしい空気を胸いっぱいに吸い込みましょう。

あちこちで群れて咲くチングルマが。あと1週間もすれば一面のお花畑シーズンが始まります。

最初に出会えたのが、落葉小低木のチングルマ。
その後は次々と、コメバザクラ、ヒメイソツツジ、
ツツジの仲間というエゾノツガザクラの群落も見つけることができました。
地面にへばりつくように咲く健気な姿は、
つい立ち止まって写真に収めたくなる愛らしさです。

第3展望台すぐそばの鏡池。すぐ左には摺鉢池があり、ふたつ合わせて夫婦池と呼ばれる。この辺りでは運が良ければエゾシマリスに出会えることも。

ハイマツが生い茂り、このマツをねぐらに日本ではここだけに生息する
希少な野鳥〈ギンザンマシコ〉を待つカメラマンがずらりと並ぶ
第3展望台を通りすぎ、夫婦池の間を抜けて第4展望台へと向かいます。
大塚さん曰く、旭岳の過酷な環境に育つ高山植物は成長が遅く、
特にこのハイマツは、年間で9ミリしか育たないそう。

「一年中風が強いので、冬は雪が降ってもほとんどが吹き飛ばされます。
雪がないと氷点下20度の世界なので、植物は枯れてしまう。
積雪より上には植物は育たないという過酷な環境なんです」

エゾノツガザクラ。

大塚さんに教えてもらった、散策路沿いに見かける穴は地熱の噴き出し口。穴の付近はほかの場所より早く雪解けが始まります。

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次に待っていた風景は……

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散策路のあちこちに雪渓が横たわります。雪解け水でできた小さな川ができている箇所もあるので足元に気をつけて。

まだ雪深い姿見の池。風のない晴れた日は逆さの旭岳が映りこむ名所。

大自然ゆえ、知らなければいけないこと

撮影スポットとしても人気の、ここ姿見の池を見下ろす姿見展望台は
旭岳山頂への登山道の入り口でもあります。
ここから山頂へは約2時間の道のり。足場が悪く天候の変化も激しいため、
準備のうえで登山を楽しんで。

北海道内でも最高峰となる旭岳は約250年前に現在の形になった
比較的新しい山。現在も大きな音で火山ガスを吹き出す地獄谷は、
最後の爆発的な噴火によりでき、3000メートルの高さがあったと言われています。

姿見展望台に立つ、1962年に起きた北海道最大の山岳遭難事故の鎮魂と登山客の安全祈願のため、遭難者の遺族によって設置された〈愛の鐘〉。登山がはらむ危険を今に伝えます。

残雪を背景に、エゾノツガザクラのお花畑が広がる斜面を発見!

国立公園に指定されているここ旭岳では、草花一本を摘むことも、
石ひとつを動かすことも厳禁。繊細な高山植物は一度荒れてしまうと、
元に戻るまでに長い年月を必要とします。
散策路に沿ってロープが張られ、人の歩く場所が限られているのはそのため。
訪れるときは、貴重な花々や風景が維持されてゆくよう、触れずに記憶にとどめて。

いたる所から上がる噴気の激しい音は生きた火山の証。

展望台を抜けて、ゆっくり進みながら6合目を目指すと、風が強くなってきました。遠くに大雪山系の山々が見えます。

旭岳の特徴と言えるのが、なだらかに広がる山の斜面。登っていくと、
大雪山系へつながる山々の峰をはじめ、振り返ればふもとの湖や点在する花々、
裾野のまちまで遠く見渡すことができるので、爽快感もたっぷり。

登るにつれ緑は姿を消し、ガレと呼ばれる険しい岩場に。足元に気をつけながら進みます。

6合目からの風景。暑さのためガスがかかっているものの、東川や、遠く旭川のまちまで見える絶景を眺めながらひと休み。

頼れるガイドかつ凄腕のカメラマンである大塚友記憲さん。天候や参加者の力量に応じた旭岳のおすすめコースを案内してくれます。

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大塚さんは、なぜ東川へ来たの?

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千葉県出身の大塚さんが東川で暮らし、山へ登る理由は、
日本離れした絶景が気軽に見られることが大きかったと語ります。

「大雪山の紅葉を初めて見たときすごく感動しました。冬もほかでは
絶対に見られないような美しい景色が多く、飽きることがありませんね」

現在は山麓駅そばに新しく建設中の旭岳ビジターセンターの運営にも携わっています。

風に吹かれながらも咲き誇っていた、日本では北海道でのみ見られるエゾコザクラ。

登山を楽しむなら、夏の天気のいい日でも防寒・防水対策はもちろん、
必要ならストックなどの登山用品も準備して、水分や軽食も忘れずに。
姿見駅では雪の残る期間、長靴の貸出し(300円)も行っています。

旧ビジターセンターの裏側には気軽に立ち寄れる散策路があり、
見晴台から旭岳を望めるスポットも。また、その向かいにある
ホテルベアモンテ横が入り口の全長7.5キロの遊歩道が整備されていて、
原生林の中にある沼や湿原を眺めながら夏は高山植物の花にも出会えるので、
天気が良くないときはこちらの散策もおすすめ。

美しい花々と風景が待つ夏の旭岳で、大自然のエネルギーを体感してみて。

information

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大雪山旭岳ロープウェイ 

住所:上川郡東川町旭岳温泉

TEL:0166−68−9111

営業時間:※季節によって変動あり、詳しくはHPでご確認ください。

駐車場:無料・有料いずれもあり

Web:http://wakasaresort.com/asahidakeropeway/

information

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東川エコツーリズム推進協議会

住所:上川郡東川町旭岳温泉(旭岳ビジターセンター内)

TEL:0166-97-2153(9:00〜17:00)

Mail:higashikawapu@gmail.com

大塚さんにガイドをお申し込みの場合は上記までご連絡ください。

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