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連載

北海道に山を購入して2度目の春!
自分たちの山で山菜採り

うちへおいでよ!
みんなでつくるエコビレッジ
vol.042

posted:2017.5.14  from:北海道岩見沢市  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  北海道にエコビレッジをつくりたい。そこにずっと住んでもいいし、ときどき遊びに来てもいい。
野菜を育ててみんなで食べ、あんまりお金を使わずに暮らす。そんな「新しい家族のカタチ」を探ります。

writer profile

Michiko Kurushima

來嶋路子

くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長となる。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務というかたちで仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う〈ミチクル編集工房〉をつくる。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。
http://michikuru.com/

北海道に移住して気づいた、春という季節の喜び

真っ白いこぶしの花が終わりを迎え、各地で桜が開花する頃になると、
北海道に色鮮やかな季節がやってくる。
桜と一緒に梅も桃も花をつけ、庭には水仙、チューリップ、桜草などが咲き乱れ、
茶色一色だった大地が一気に緑におおわれる。

植物の営みをこれほど美しいと感じるのは、
半年にもおよぶ重苦しい冬の季節があるからかも。
都会では感じることのなかった、心の底から解放されるような喜びがあり、
春は本当にうれしい気持ちでいっぱいになる。

そんななかで4月の末は、仕事で東京に1週間ほど滞在した。
「ああ、北海道の春を満喫したいのになあ」
残念な気持ちとともに、わたしには実はとても気がかりなことがあった。
それは昨年2月、北海道にエコビレッジをつくりたいという
自分の目標に近づくために購入した山のことだ。

購入の経緯はこの連載でも何度か書いたように、
買った山というのは木が伐採されたあとの荒れ地だったのだが、
植物図鑑を片手に、週末「山活!」と称して、友人たちと山遊びをしているうちに、
「あれ、これはウド?」「あそこにはワラビやタラの木もある?」と、
いろいろな植物が生えているのがわかるようになっていったのだった。

北海道は今年は例年になく春が早く、ときには20度を超す陽気も。
「ああ、このままでは山菜の旬が終わってしまうんじゃ……」
気を揉みながら東京滞在の日々を過ごしていたが、
ようやくゴールデンウィークに入り、待望の「山活!」を行うことができた。

木が伐採されていてはげ山のようになっている。木を運搬するためにブルドーザーが通った道は、土がむき出しになっていて砂漠のよう。

春の訪れを教えてくれるのは植物だけではない。虫たちが活動を始めるとカエルも冬眠から目覚める。

山菜の中でも一番気になっていたのはタラの芽。
道南の地域では、すでに2週間ほど前からタラの芽が採れると聞いていたので、
半ばあきらめかけていたのだが……。
探してみると、あった! しかも、まだまだ芽は小さく、
あと1週間くらいは待たないといけないような感じがして、ひと安心。

タラの芽は、木が伐採された跡地によく育つ山菜らしい。何本もの芽を見つけることができた。

山野草がそこかしこに! 山の営みを実感

ひと安心したものの、それではいま採れる山菜ってなんだろう?
そんなわたしの疑問に答えてくれる、心強い助っ人が「山活!」に参加してくれた。
山を共同購入した農家の林さんのお母さんだ。

植物のことが大好きな様子のお母さんは、山道を歩きながら
「ほら、ボンナがあるわよ!」と指差した。
まったく聞いたことのない名前「ボンナ」。
調べてみると、正確にはヨブスマソウというもので、
北国の山菜としてはポピュラーなものらしい。

「こうやって葉っぱをとって、茎を食べるのよ。
ゆでて真水にさらして、水が茶色くなったら取り換えてみてね」

ヨブスマソウはキク科の多年草。キク科ということもあり、シュンギクのような味がするという。

そのほかお母さんが見つけてくれたのが、根曲がり竹。笹の仲間で、北海道でタケノコといえばこれのこと。まだ新芽は出ておらず、楽しめるのは6月になってから。

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荒れ地かと思いきや、いろいろな草花が!

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購入した山の広さは8ヘクタール。かなり広くて、
道路に面したところから奥まで分け入ると20分くらいは歩くことになる。
荒れ地ではあるが、山を少し下った北側の斜面は、湿度があるからか、
山野草をいくつも見つけることができた。

今回の「山活!」には、植物に詳しくハーブティーのブレンドを行っている
〈白銀荘〉の柴田翔太さんも参加してくれ、いろいろな花を見つけてくれた。

常に笹のあいだを見つめて歩いていた翔太さんは、笹を苅ることで山野草を復活させる取り組みを長年続けている北海道医療大学のプロジェクトをわたしたちに教えてくれた人だ。

北海道医療大学での取り組みを知った夫は、山で遊ぶ私たちとは別行動で笹を苅ることに専念。「山活!」ならぬ「笹活!」と言って、張り切っている。

「笹の奥に福寿草が咲いていますよ」
確かに、笹の間から黄色い可憐な花が見えていた。
ほかにもよくよく目を凝らすと、北海道の代表的な山野草の
エゾエンゴサクやエンレイソウなども。
荒れ地と決めつけてしまっていた自分が恥ずかしくなるくらい、
さまざまな草花を見つけることができた。

じっくり観察すれば、豊かな自然がそこには息づいていることを実感できた
春の「山活!」だった。

山に咲いていた福寿草。

青い花がエゾエンゴサク、えんじ色の花がエンレイソウ。

「山活!」が本づくりに発展。思いがけない展開に自分も驚く

いまはまだ山を歩いているだけで、ここにエコビレッジをつくる計画は、
まだまだ現実味を帯びていないが、今年は、この「山活!」を通じて、
新しい活動にチャレンジしてみたいと思っている。
4月に、小さな本『山を買う』をつくってみたわけだが、
今後も山や自然の営みをテーマにした本のシリーズを
出していきたいという野望があるのだ。

北海道に移住して6年目。これまで自給自足的な暮らしに憧れて
畑仕事などもちょこちょこと手を出してきたが、
作物を育てるのはイマイチ苦手だということがわかり、
ならば自分の得意なことを生かして暮らしをたてていくことは
できないだろうかと思ったのが、小さな本づくりのきっかけだ。

A6サイズ、24ページ、500円という小さな本。〈ミチクルブックス〉と名づけ、自分のFacebookで細々と販売中。本を出したことで「山活!」に興味を持ってくれる人が増えてきたこともうれしい。

まだまだ暗中模索のなかではあるが、いま第2冊目となる本を計画中。
次なる本は、長年、編集の仕事でお世話になっている
造本作家の駒形克己さんにアドバイスをいただきながらつくっているもので、
荒れ地に伸びる植物がテーマの絵本になると思う。

エコビレッジをつくろうと思い立ち、それが山の購入へと発展し、
やがて本づくりへとつながって……。
自分でもまったく思いがけない展開となっているが、
出版社に務めていたころと比較にならないくらい、
フットワーク軽く行動を起こせるのが、いまとても楽しいと思っている(春だしね)。

ボンナで胡麻和えとチャーハンをつくってみた。山菜独特の風味があって春の味!

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