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〈みる・とーぶ〉プロジェクトと
美流渡への移住。
春に向けて忙しい年明け!

うちへおいでよ!
みんなでつくるエコビレッジ
vol.034

posted:2017.1.12   from:北海道岩見沢市  genre:暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  北海道にエコビレッジをつくりたい。そこにずっと住んでもいいし、ときどき遊びに来てもいい。
野菜を育ててみんなで食べ、あんまりお金を使わずに暮らす。そんな「新しい家族のカタチ」を探ります。

writer profile

Michiko Kurushima

來嶋路子

くるしま・みちこ●東京都出身。1994年に美術出版社で働き始め、2001年『みづゑ』の新装刊立ち上げに携わり、編集長となる。2008年『美術手帖』副編集長。2011年に暮らしの拠点を北海道に移す。以後、書籍の編集長として美術出版社に籍をおきつつ在宅勤務というかたちで仕事を続ける。2015年にフリーランスとなり、アートやデザインの本づくりを行う〈ミチクル編集工房〉をつくる。現在、東京と北海道を行き来しながら編集の仕事をしつつ、エコビレッジをつくるという目標に向かって奔走中。ときどき畑仕事も。
http://michikuru.com/

なかなか改修が進まない古家……、今後の見通しは?

今年はいよいよ岩見沢の市街地を出て、中山間地である美流渡(みると)に移住する年。
昨年、古家の取得手続きも完了し、引っ越し目標は雪が解けたあとの5月!

……と、勢いよく書き出してみたが、実は11、12月は
古家の改修をまったく進めることができず、
目標までに移住できるかは、まだまだ予断を許さない状況だ。

改修は大工である夫が進めており、10月までは古家に足しげく通い、
内壁を壊すところまでは終わったのだが、それ以降は、東京からの来客が多かったり、
岩見沢市内でイベント開催の手伝いをしたりなど、夫の手を借りる場面も多かったため、
いったん止まってしまったのだ(結局、わたしがまいたタネが原因なのだけれど)。
一度、手が止まってしまうと糸が切れたような状態になり、
もともと夫は腰が重いタイプというのも重なって……。

岩見沢は豪雪地帯。古家の中に入るためにまず必要なのは除雪。たっぷり雪がつもると、さらに足は遠のく。

ただ、わが家族には移住を先延ばしにできない理由がある。
今年息子は小学1年生。4月からは美流渡の小学校に通う手続きを進めており、
引っ越しするまでは、現在の自宅から車で30分かけて通うこととなる。
朝8時になっても起きない息子を、登校時間までに学校に送り届けるというのは
頭の痛い問題のひとつ。

どう考えても美流渡に早く引っ越すのがベストなのだが、
わたしが改修に協力できるのは多少のお金を出すことだけで、実際に動くのは夫。
これからの段取りを細かく聞けば煙たがられるので、
内心気をもんではいるものの、見守るしかないのが現状だ。

作業の手を止めてしまう要因は家の状況にも。内壁をはがしてみると、梁が途中で切れていて、変なところに補強のための柱があったり。梁を強化する必要があるか、夫は悩み中なのだ。

同時並行で進めているイベントも、準備が佳境…!

そして、もうひとつ同じ時期に重要なイベントが控えていることも、
引っ越しが遅れそうな予感を感じさせる。
ただこれも、わたしがまいたタネだし、
この地域にきっと新しい何かが起こるきっかけとなると思っているので、
気を引き締めて取り組んでいきたいと思っている。

そのイベントとは、この連載の29回で経緯について書いた
〈みる・とーぶ〉プロジェクトだ。
このプロジェクトは、美流渡を含めた岩見沢の中山間地である
東部丘陵地域をもっとみんなに知ってもらうための取り組みで、
“東部”を“見る”という意味を込めて〈みる・とーぶ〉。

工夫を凝らした東部丘陵地域の地図をつくり、
イベントを開催して配布していこうと考えている。
第1回目のイベントはすでに日程が決まっていて、
4月に札幌市資料館で6日間、開催予定だ。

地図はいままさに制作中で、単なるスポット紹介ではなく「顔の見える地図」がテーマ。
東部丘陵地域の魅力はなんといっても人ということで、
地域の人々にひと言ずつコメントをもらい、
似顔絵を入れてマッピングしていこうというものだ。

岩見沢の地域おこし推進員(協力隊)の吉崎祐季さんと上井雄太さんが中心となって、
いま地域に回覧板を回したりしながら参加者を募っているところ。
集まっているのは、まだ10名ほどなので、そろそろこちらも積極的に動いていかないと
間に合わなさそうな感じがしている。

写真をもとに地域の人たちの似顔絵を制作中。これらを地図に落とし込んで仕上げる予定。

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手づくりリンゴ型ポーチ制作中!

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イベントに向けて手づくりポーチも制作中

もうひとつ、イベントに来場したみなさんに、地図のすてきな渡し方ができるようにと、
同時に制作しているのがリンゴ型の手づくりポーチだ。
これは昨夏に美流渡を訪ねてくれた、アクセサリーデザイナーの
岩切エミさんのアイデアによるもので、先日、彼女から試作が届いた。

表裏4枚すべて違うハギレを使ったデザインで、
色合わせを楽しみながらつくってほしいというエミさんからのアドバイスがあった。
こちらは50個目標で、毎月2回ほど東部丘陵地域のメンバーで集まる機会をつくり、
おしゃべりしながらワイワイ制作が進んでいる。

各自、家から持ち寄った布を型紙に合わせてカット。

柄や色の組み合わせが全部違うものになるように工夫しながら、リンゴ型ポーチを制作中。

また、メンバー個人もイベントに合わせて、
東部丘陵地域にちなんだアイテムの制作を始めている。
自宅の内装を自ら手掛け、DIY女子としてウェブで連載もしている
吉崎祐季さん(連載16回)は、美流渡に多く残されている空き家の古材を利用して、
壁に掛けられるプランターをつくろうかと考えている。
上井雄太さんも、古材を利用してテーブルや写真立ての試作をつくり始めているところ。

さらにうれしいことに、このプロジェクトのメンバーとしての参加の輪も広がっている。
横浜から美流渡に移住し、昨年花屋をオープンさせた
〈Kangaroo Factory〉(連載19回)も参加に興味を示してくれ、
会場でリースづくりなどのワークショップができないかと可能性を探っている。
ちなみにわたしも、小さな本を自分で出版する予定だ(連載28回)。

プロジェクトメンバーである上井雄太さん。男性ながらリンゴ型ポーチづくりにも参加。

〈みる・とーぶ〉のロゴ・マークがいよいよ公開に!

そして、〈みる・とーぶ〉プロジェクトのお披露目のために
もうひとつ欠かせないと思っているのが、ロゴマークの制作だ。
わたしの本業のほうで15年以上おつき合いさせてもらっている
デザイン事務所〈ea(エア)〉にデザインを依頼。
これまで手描きの温かさを生かしたデザインを
数多く行ってきたeaがつくってくれたのは、東部丘陵地域にある
さまざまなモチーフをあしらったリースのようなロゴマーク。

山や川、雪など、この地域の自然景観を表すものから、
主力の農産物であるお米やリンゴ、
そしてここがもと炭鉱街として栄えた時代に通っていた
万字鉄道を表す汽車までもとり入れてくれた。
東部丘陵地域とひと口に言っても、地域それぞれに特色があることを、
見事に表現してくれたのだった。

こちらは2月にホームページなどで公開予定なので、ぜひ見てもらえたらと思っている。

ロゴマークは2月に公開予定。また、連載などでお知らせします!

第1回〈みる・とーぶ〉展は4月11日から16日まで開催予定。
息子の入学式が終わってすぐの開催(たぶん午前中に帰ってくるよね。
娘の幼稚園の入園式にぶつかりそうな予感もするけど深く考えないことにして……)。
引っ越しの準備も本格的に始めなければならない時期とも重なっているけれど、
まあ、いつも見切り発車であとからいろんな人に迷惑をかけながら、
根性とノリでなんとかやってきたから、今回も無事走りきれるはず(たぶん)。

波乱の予感がする新年、とにかくひとつずつ進めるしかないよねと思い、
仕事始めは元旦からということで、この連載の原稿をまずは仕上げることに。

北海道にエコビレッジをつくりたいと動き始めて約2年。
場所を探し、やり方を模索するなかで地域との関わりが生まれ、
出会いからまかれたタネが、いま少しずつ実になろうとしているところなので、
とにかく目の前の山が超えられるよう、春までがんばろうと思います!

リンゴ型ポーチは、東部丘陵地域のメンバーだけでなく、岩見沢の市街地や札幌の友人も参加。この日は東京からも助っ人が来てくれました。

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