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連載

灘五郷のお酒をめぐる旅。
歴史ある神戸の酒造〈櫻正宗〉と
3杯でほろ酔い〈三杯屋〉

CLASS KOBE - CLASSな神戸の物語 -
vol.031

posted:2016.5.17  from:兵庫県神戸市東灘区  genre:食・グルメ / 暮らしと移住

〈 この連載・企画は… 〉  旅するように暮らす、暮らすように旅する。それができるのが神戸の魅力。
ブックレット『CLASS KOBE』で紹介した場所、そして、オリジナル記事も加えた、
神戸の暮らしを訪ねたくなるコロカルの神戸案内です。

text & illustration

kao.ri hirao

平尾 香

ひらお・かおり●イラストレーター。神戸生まれ、独自の個性を発揮した作風で、世界的ベストセラー「アルケミスト」を始めとする書籍のカバーや、雑誌の挿絵、広告などで活躍。個展も多数開催。現在は、逗子の小山にアトリエを構え、本人の取材やエッセイなど活躍の幅は広い。著書本に「たちのみ散歩」(情報センター出版局)「ソバのみ散歩」(エイ出版社)
www.kao-hirao.com
www.facebook.com/Kao.0408.hirao

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神戸出身で、コロカルで『たびのみ散歩』
連載中のイラストレーター平尾香さん。
お酒好きな平尾さんが、日本酒の産地である神戸灘五郷をめぐる旅を
2回にわたりお届けします。

神戸、酒造めぐりの旅へ

酒蔵めぐりのたびのみ散歩は、灘五郷とよばれる神戸の東側。
たくさんの酒造メーカーが日本酒をつくっているのです。
神戸生まれの神戸育ちの私ですが、最近もっぱら日本酒好き、
地元の酒蔵めぐりにワクワク。

降り立った阪神魚崎駅から六甲山を見上げると、
山頂あたりに3月というのに雪が積もって寒い空。
神戸は山と海に挟まれたまち。六甲山から吹き降ろす北風、
阪神タイガースの応援歌としても有名な六甲おろしが、
お酒の発酵を促す麹のをつくるのになくてはならない風なのです。

海へと流れる住吉川の河川敷を流れに沿って歩きます。
川の水は、マンションが立ち並び、国道が横切る
まちの中を流れているとは思えないほど澄んでいて、水量も豊富です。
六甲山からの急流は、その昔、日本酒の原料のお米を精米する水車に
好都合だったのです。

そして、山田錦を生んだ兵庫の豊かな土地でつくられるお米、
六甲山の花崗岩を通ったミネラル分の多い地下水と
日本酒の原材料の調達にも恵まれていました。
運送面でも海が近く、江戸へ運ばれた灘のお酒はたちまち大評判。
多くの好条件がお酒づくりを支えていたのですね。

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国道43号線と阪神高速の南側が、酒蔵のまちなみ。
蔵風の落ち着いた建物に瓦屋根の塀、杉玉を掲げた入り口、
松並木の道、色とりどりの酒瓶ケースが積み上げられた駐車場など。
寒造りの繁忙期、ダクトから白い湯気がたちこめ、ほんのりお酒の香りも漂っています。

その昔、木造の酒蔵がいくつも連なって建ち、水車が回り、
白い帆をあげた船が海に浮かんでいたと想像をめぐらせながら歩いていると、
六甲おろしの風で体も冷えてきました。
そろそろ本格的にお酒が飲める〈櫻正宗〉の記念館〈櫻宴〉へ。
木造蔵があった場所に震災後建てられた、
ダイニング、展示スペース、ショップなどが集合した複合施設です。
館内は、木造蔵の古材などがふんだんに使われて落ち着いた雰囲気。
古い酒づくりの道具やレトロなポスター、ロゴの入った粋な酒器などの展示も楽しい。

櫻正宗は、創業1717年と歴史ある酒蔵。
正宗とつく名前の日本酒は全国に多数あるけれど、
その名前を一番最初につけたのは、ここ櫻正宗の6代目当主の太左衛門氏。
仏教経典から正宗という音読みが「セイシュ」に近く縁起もいいので名づけたところ、
人気にあやかる同業者が続出し、正宗は清酒の代名詞となり広まったそう。
リンを多く含む酒造に適した宮水の発見。原料の米をさらに精米してつくる
高精白米仕込みという吟醸酒のおいしいお酒をつくり、
櫻正宗の酵母が最もすぐれた酵母として、1号酵母の名前で全国に領布されたり。
櫻正宗のストーリーは、酒席のネタに尽きないのです。

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櫻正宗のお酒が飲める三杯屋へ

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はい、こんなお話をうかがったのは、櫻宴にある〈三杯屋〉のカウンター。
日本酒を愛してやまない杜氏さんたちが日本酒のためにつくったお店は、
2015年に惜しまれつつ閉店した横浜野毛の、
お酒は3杯までの〈武蔵屋〉が名前の由来だそう。
武蔵屋で使い続けられていたヤカンやお燗器なども役目を終えて、
こちらに飾られています。
閉店前の武蔵屋へ行ったことのある私は、ヤカンからコップに注がれた日本酒が
櫻正宗だったことをここで知ってうれしくなりました。

さて、櫻正宗の25銘柄のメニューから3杯までとなると、何を飲むか迷います。
まずは純米酒、ちょこっとずつ楽しめる日本酒に合うアテもリーズナブルに充実。
お燗の温度もおすすめをいただきます。
社員自ら稲刈りをした米で100年前と同じ手法でつくった
生もと純米原酒は、なんとも深い味がしておいしいこと。
赤ワインのような清酒もさわやかで飲みよい風味。
同じメーカーでもさまざまな味わいが楽しめますが、3杯3種が程よい酔い口。

スタンプカードにスタンプを押してもらって
全25種類制覇でおちょこがもらえるうれしい特典。
遠方から通われるファンが多いのも納得。
毎週金曜日には、元杜氏さんがカウンターの中に立つので、
日本酒の楽しいお話が聞けるとか。日本酒好きが集う店ならでは、
カウンターの距離だからこその会話も弾んで3杯を満喫。
蔵元直送のホロ酔いは、六甲おろしの夜風も心地良く~。

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information

map

櫻宴 櫻正宗記念館

住所:兵庫県神戸市東灘区魚崎南町4-3-18

TEL:078-436-3030

営業時間:

三杯屋 17:00~22:00(L.O. 21:00)

カフェ 10:00~19:00(L.O. 18:00)

ショップ 櫻蔵 10:00~19::00

酒蔵ダイニング 櫻宴 11:30~15:00(L.O. 14:00)、17:00~22:00(L.O. 21:00)

定休日:火曜

Web:櫻宴 ~櫻正宗記念館~

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