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連載

神戸の春は海からやってくる。
人々の心も躍る
〈いかなごのくぎ煮〉

CLASS KOBE - CLASSな神戸の物語 -
vol.023

posted:2016.3.23  from:兵庫県神戸市  genre:暮らしと移住 / 旅行

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〈 この連載・企画は… 〉  旅するように暮らす、暮らすように旅する。それができるのが神戸の魅力。
ブックレット『CLASS KOBE』で紹介した場所、そして、オリジナル記事も加えた、
神戸の暮らしを訪ねたくなるコロカルの神戸案内です。

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文:石川貴大(glass)
Supported by 神戸市

春の訪れを告げる、神戸の郷土食

神戸と言えば異国情緒漂うオシャレな“港町”のイメージはあっても、
“漁港”と言われてもピンとこない人が多いかもしれません。
でも実は、自然豊かな瀬戸内海に面しているだけに、
漁業が盛んなまちでもあるんです。

神戸市の西端に位置する垂水漁港は兵庫県内でも有数の漁港で、
明石海峡の強い潮流で育った、身の締まった魚介が水揚げされることで知られています。
神戸ではそんな海の幸を使った名産が多く楽しめますが、
なかでも地元の人々が特に愛して止まないのが“いかなご”です。

垂水漁港のいかなごの水揚げ量は全国でもトップクラス。

東京や千葉では〈コオナゴカマス〉と呼ばれるなどカマスに似た魚で、
体は細長く槍形、色は背部が青褐色で腹部は銀白色。
成長すると約25センチにもなりますが、最もおいしいと言われるのは
体長3センチ前後の新子(生後3~4か月の稚魚)です。

全国トップクラスの水揚げ量を誇る垂水漁港で漁が解禁されるのは
2月下旬から5月頃までという短い期間。
それ以降、夏場には砂に潜って夏眠するために
このような漁の期間となっているのですが、
旬の時期にはスーパーに特設コーナーが登場し、昼網の新鮮ないかなごを求めて
大勢の人々が押し寄せるほどのにぎわいをみせます。

イカナゴが飛び跳ねる音など、垂水漁港のイカナゴ漁で出る音は環境省の選定する「残したい日本の音風景100選」にも認定されています。

さて、いかなごの食べ方で神戸人のイチオシは、
農林水産省の「日本の農山漁村の郷土料理百選」に選定されている“くぎ煮”。
釜で醤油、砂糖、ショウガとともに水分がなくなるまでじっくり煮詰めた甘辛い佃煮で、
いかなごの旨みとショウガの風味が抜群。
ご飯のおともにも酒のアテにもいい、そして引く味わいの珍味です。

特に発祥地とも言われる垂水区の各家庭では、大鍋で大量に炊きあげ、
ご近所や遠方の親戚へ送ることも盛んに行われているそうで、
炊きあげる際の醤油の香りがまち中に立ちこめてくると、
「ああ、春がきたんだなぁ」と思うほど。
地元の人にとって、いかなごは春の訪れを知らせてくれる存在なのです。

とれたてのいかなごの稚魚を生のまま、醤油、砂糖、ショウガで味つけして炊きあげたいかなごのくぎ煮。

完成品を買うのもいいですが、市内のスーパーでは鍋や保存容器はもちろん、
醤油、砂糖、水飴、ショウガ、山椒など、
いかなごのくぎ煮作りに必要なものをそろえて販売しているので、
一度チャレンジしてみてはいかがでしょう。

くぎ煮のおいしさのポイントは、やはりいかなごの鮮度。漁港から近い神戸だからこそ味わえる逸品です。

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