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連載

こぼれるような鮮やかさ!
米と雪の国、秋田の
〈なすの飯ずし〉レシピ

日本列島カンタン郷土食
vol.007

posted:2014.9.5   from:秋田県  genre:食・グルメ

〈 この連載・企画は… 〉  地域ごとにさまざまな郷土料理がありますが、なかなか食べないし、伝えられていない。
コロカルはそれをちょっと心配してました。そんなときに郷土料理を後世に伝える全集が編集部で話題になり。
これを教科書に、いろんな人ともつながって、郷土料理を身近にする連載をしよう!ということに。
料理人・後藤しおりさんがアレンジした、家庭でおいしくカンタンに作れる郷土料理を、都道府県別に紹介していきます!

profile

Shiori Goto
後藤しおり

ごとう・しおり●実家は福島県で寿司屋を営む。ブータン料理店、野菜料理店などを経て、2012年7月に独立。世田谷を拠点にケータリング、ロケ弁、出張料理人として活動。不定期でアトリエでイベントなども行う。
http://gotoshiori.com/

photographer profile

Tetsuka Yamaguchi
山口徹花

やまぐち・てつか●フォトグラファー。東京生まれ。『anan』『Hanako』など女性誌を中心に活躍。週末は自然豊かな暮らしを求めて、郊外の古民家を探訪中。コロカルで『美味しいアルバム』も連載中。

writer profile

Akiko Saito
齋藤あきこ

さいとう・あきこ●宮城県生まれ。コロカル編集部編集担当。好きな郷土料理は宮城県亘理町のはらこめし。
https://twitter.com/akiko_saito

郷土食を日本の隅々から掘り起こし、記録した名著
『日本の食生活全集』全50巻(農文協)から
料理人・後藤しおりさんが現代の家庭でもおいしく
カンタンに作れるよう再現したレシピを
お届けしている本連載。ぜひ一緒に作ってみましょう!

秋田の発酵文化が生み出す、彫りの深い風味。

今回ご紹介するのは、『日本の食生活全集5 聞き書 秋田の食事』
に掲載されている秋田県の食事から。こぼれるような紺色のナスと、
黄色の菊の花が彩り鮮やかな「なすの飯ずし」です。

見た目はかなりのインパクト。
噛みしめると、お米の甘みとジューシーなナス、そこに菊の花の
苦味がアクセントになって、味わったことのないおいしさが溢れ出ます!

このメニューが生まれた秋田県は「米と雪の国」と呼ばれるところ。
豊富に採れる米と、雪による湿り気によって、
独自の発酵文化がもたらされたところ。
半年間雪に埋もれる生活によって、素材の貯蔵技術が高度に発達しました。

数年前に全国的に大ブームになった「米こうじ」は、
秋田においては江戸時代から作られていて、
秋田ではお馴染みのものなんですよ。

そんな秋田をテーマにしたレシピを作るとなったら、発酵食は外せません。
郷土食の連載を始めたときから、しおりさんはずっと
「発酵食を作りたい」と熱望していました。
そして、「聞き書 秋田の食事」のカラーページで見つけた
この料理から目が離せなくなってしまったんです。

紺碧のナスに乗ったお米、鮮やかな黄色の花、そして赤い唐辛子。この華やかな発酵食を作ってみたい!

そもそも発酵食は手間がかかるもの。普通であれば、
飯ずしは2ヶ月から3ヶ月もの間発酵させなければなりません。
でもそのタイムスパンは現代の家庭では非現実的。
そこでしおりさんは短期間でも手軽に作れるメニューを開発しました。

「発酵食は、日本人の知恵が沢山つまった保存方法だと思います。
その時期にたくさんとれる旬のものを、一年中楽しめるように、
手間暇かけてつくりあげる。
そんなところに惹かれたんです」(しおりさん)

それでは作ってみましょう。

Page 2

★秋田 なすの飯ずし

材料

小茄子 … 13個

菊の花(黄) … 2個

もち米 … 0.5合(洗って、一晩水に浸しておきます)

みょうばん … 大さじ1

赤唐辛子 … 2分の1本

【 砂糖 … 25g 塩 … 15g 】

【 砂糖 … 40g 塩 … 少々 】

1. 小茄子はヘタをとります。

2. ボウルに入れた水に放っておきます。こうしてm切り口から出るアクを取り除くのです。

3. 水を捨ててミョウバンを入れます。

4. ボウルを動かしながらまんべんなくナスにミョウバンをまとわせてください。

5. Aの砂糖、塩を入れて、同じくボウルを動かしながらまとわせていきます。

6. お次はもち米を炊きます。お米と同量のお水を入れてください。

7. 分量のもち米が炊き上がったら、Bの砂糖、塩を入れてしっかり混ぜ、そのまま冷ましておきましょう。

8. 茄子から色が出て、青い汁が出てきたら、もち米を投入。

9. なすと混ぜあわせます。ここでみりんまたは蜂蜜を少々入れると旨味が増します。

10. つづいて赤唐辛子、菊の花びらをガクから外して投入しましょう。

11. 手でしっかりと混ぜます。あまり力を入れず、花が潰れないように。

12. 混ぜあわせた材料を容器に入れます。お好みで、お米と同じ分量の米麹を入れるとより発酵が進みます。

「砂糖の量を多く感じるかもしれません。
これは保存のため。出来上がりには、もち米の旨味と合わさって
ちょうど良い甘さになっていますよ」(しおりさん)

材料を入れる容器には、そのままだと雑菌が繁殖するので
アルコール消毒をほどこしてください。今回は保存に、
漬物などで使われる陶器の壺を使用しました。
1,000円くらいで購入できます。
ひとつあると、実はいろいろ便利なんですよ。

13. 上に2kgほどの重石をし、冷暗所に1日以上置きます。

「このまま2ヶ月〜3ヶ月置き、発酵させると
より一層おいしくいただけます。餅米の甘みと旨みも加わり、
長く漬ければ漬けるほど美味しさが増します。
私も発酵させていて、ぐんぐん美味しくなっています!」
(しおりさん)

はい、完成! ぜひご家庭でもお試しください。

書籍情報

日本の食生活全集5 聞き書 秋田の食事

著者:秋田の食事編集委員会編 
出版:農山漁村文化協会(農文協)

日本の食生活全集とは:おばあさんからの聞き書きで、各県の風土と暮らしから生まれた食生活の英知、消え去ろうとする日本の食の源を記録し、各地域の固有の食文化を集大成する書籍。四季の食事に加えて、救荒食、病人食、妊婦食、通過儀礼の食、冠婚葬祭の食事等を記録している。

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