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連載

益子なのに〈ビルマ汁〉?
戦後の家庭料理が地元グルメに

NIPPON 47 Beer Spots&Scene!
全国、心地いいビールスポット
vol.047

posted:2016.10.11  from:栃木県芳賀郡益子町  genre:食・グルメ

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〈 この連載・企画は… 〉  その土地ならではの風土や気質、食文化など、地域の魅力を生かし
地元の人たちと一緒につくった特別なビール〈47都道府県の一番搾り〉。
コロカルでは、そのビールをおいしく飲める47都道府県のスポットをリサーチしました。
ビールを片手に、しあわせな時間! さあ、ビールのある旅はいかがですか?

writer profile

Tomohiro Okusa

大草朋宏

おおくさ・ともひろ●エディター/ライター。東京生まれ、千葉育ち。自転車ですぐ東京都内に入れる立地に育ったため、青春時代の千葉で培われたものといえば、落花生への愛情でもなく、パワーライスクルーからの影響でもなく、都内への強く激しいコンプレックスのみ。いまだにそれがすべての原動力。

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撮影:田中潔

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Supported by KIRIN

47都道府県、各地のビールスポットを訪ねます。
栃木でコロカルが向かったのは、益子焼で全国的にも有名な益子町。

忘れられないビルマの味を再現

益子焼で有名な栃木県の益子町で、ここ数年で一気に人気が出てきた
地元のグルメがあります。
その名を、ビルマ汁! なぜ益子でビルマ?
若い世代はビルマという言葉にすらピンとこないかもしれません、
現在の国名はミャンマーですから。
とはいえ、最近になって無理矢理つくられた料理ではなく、
何十年も前から、“ある家庭”に伝わっていたものなのです。

さかのぼること70年以上、当時のビルマに出征していた飯塚潤一さん。
終戦して帰国後、ビルマで食べた料理が忘れられず、
日本でその味を再現しようとしました。それがビルマ汁です。
かつては飯塚家の家庭料理として食卓の定番でした。
親戚や近所の人には「おいしい」と知られていたものの、基本的には家庭料理。
それが数年前から益子の名物として徐々に広まってきたのです。

「昔は近所の農家から、トマトやナスを食べ切れないほどもらって、
どうやって食べようかと思えば、ビルマ汁にしたのよ。月に何回かはビルマ汁でしたね」
と言うのは、飯塚潤一さんの義娘の飯塚フミさん。

「そのうち、農家の人も『ビルマ汁つくってください』と
野菜を持ってくるようになった」
と言うのは、飯塚潤一さんの長男である飯塚洋さん。

珍しいものはなく、どこにでもある食材。

現在、益子町では17店舗がビルマ汁を提供しています。
各店舗ごとに味つけはアレンジされていますが、やはりオリジナルの味が気になります。
ということで、さっそく、フミさんにつくり方を教えてもらいました。

簡単な家庭料理。だからこそ継続は力なり!

まずは材料を用意。
豚バラのほか、なす、いんげん、じゃがいも、人参、玉ねぎ、鷹の爪が基本。
そしてビルマ汁にとって最重要なのがトマトです。

なすは皮をタテに筋状に剥きます。

トマト以外、すべての食材を入れて火にかけます。

水が入った鍋に、トマト以外の切った具材を入れ、塩を適量とサラダ油をひと回し。
フタをして煮込みます。煮立ったらアクをとり、だしを入れます。
野菜に火が通ったら、トマトを入れます。
フミさんは大胆に手でちぎってイン。だから完熟がベター。

「なんかおいしそうでしょ(笑)」
はい、ワイルドであり家庭っぽく素朴でもあり、
トマトエキスも出て、よりおいしくなりそうです。
味つけにカレー粉を少々。味を見ながら塩で調整しましょう。

アクを丁寧にすくう。

トマトは豪快に! 味の決め手です!

「70年前の日本には、トマトを煮るという感覚はなかったでしょう」(洋さん)

「最近の野菜は甘くておいしいんだけど、逆に私が教わった頃の味じゃないの。
だから塩は昔より少し多めに入れています」(フミさん)

農業が発達して野菜がおいしくなったけど、昔からの料理は味が変わってしまう。
でもフミさんは、毎年必ずビルマ汁をつくっているので、
毎年ちゃんと味つけを覚えています。それが奏効し、塩加減はバッチリ。

いい感じにグツグツしてきました。

こうして完成。さっそく、いただきます! 

トマトの色が効いていて、見た目にはたしかにアジアンな雰囲気。
ちょっと辛そう。でも食べてみると、それほどクドくありません。
やはりだしが和風だからでしょうか。

「ビルマでは、ナマズとかコイを素揚げしてだしにしているみたい。
だから日本のかつお節とか昆布などの魚介系だしが合うのだと思う。
コンソメとか使うと洋風になっちゃうのよね」(フミさん)

ビルマ汁用の益子焼の器に盛りつけ。

ご飯との相性もバツグン。
洋さんいわく「ご飯を浸して食べるのが好きなんだよ」。
教わった通り浸してみると、たしかに、おいしい。
ご飯を噛むほどに、口のなかでジュワーっとスープの甘みと酸味が広がります。

鷹の爪も入っているので汗だくになりながら、
ついついガツガツ食べてしまうおいしさです。
ご飯も、ビルマ汁もおかわりしてしまいました!

「私が一番好きなの、実はうどんなの」とフミさん。
今度はうどんバージョンもお願いします!

食事としても成り立つし、具をチビチビやりながら、
ビールと一緒に楽しむのもおいしい。
もちろん煮込みだけあって、時間が経ったら味が落ちつくし、
翌日になっても味がしみておいしいそうです。

いまでは益子町の小中学校で給食に出たり、県庁の食堂でもメニューになりました。
県内の高校に講習で呼ばれることも。
イベントなどで大量につくるときにお手伝いしてくれる〈田町なでしこ会〉も発足。

「5年前は誰も知らなかったですよ。
でも、近所の飲食店もやめないで続けてくれていて、
最近ではビルマ汁目当ての観光客も来るようになってうれしいですね。
なにより、おいしいから広まっているんだと思います」(洋さん)

母親そして奥さんの代と、最も長く、最もたくさん食べてきたであろう洋さんの
「なにより、おいしいから」という言葉が、すべてを語っているように思います。

右から飯塚洋さん、飯塚フミさん、田町なでしこ会会長の村田祐子さん。

益子焼もビルマ汁に協力!

基本的なレシピは同じでも、近所の飲食店では豚骨ベースだったり、
エビ油を使ったり。はたまたパスタにしたり。
そのなかで冷凍パックを提供しているお肉屋さんが〈肉の田口〉です。

「飯塚さんと、おばあちゃん同士が友だちだったんです」という田口公和さん。
おばあちゃんから伝わるビルマ汁を冷凍にして販売しています。

「ビルマ汁が給食などに出るようになって、子どもたちが学校で食べます。
すると家に帰ってそれを食べたいと母親にお願いするようなんです。
でも、若いお母さんたちはビルマ汁のつくり方を知らない。
そこでまずは冷凍などで試してみるようです」
ビルマ汁を知るきっかけにもなるし、観光客にとってはおみやげにもなります。

冷凍でお持ち帰りにぴったり。

〈肉の田口〉の3代目、田口公和さん。

さらに近所の〈添谷製陶〉さんでは、ビルマ汁用の器もつくっています。
そう、益子焼です。

3代目の添谷修一さんは、5年ほど前からビルマ汁用の器をつくり始め、
現在では5種類ほど発売しているそうです。

「飯塚さんやなでしこ会とも話し合って、形や大きさ、使い勝手など
ブラッシュアップしています。具だくさんだから大きめの器ですね」

茶色は益子の伝統的な柿釉によるもの。

汁までおいしくて残したくないビルマ汁だけに、
「縁をややそらして口当たりをよく」しているようです。
さすがビルマ汁をよく知っているだけあります。
ビルマ汁専用の益子焼でいただけるなんて、とても贅沢ではないでしょうか。

添谷修一さんと、田町なでしこ会にも参加している奥様の初美さん。

益子のランドマーク。

益子といえば圧倒的に益子焼が有名ですが、窯元探訪に訪れたら、
ぜひビルマ汁も試してみてください。
もしかしたら、次回の目的はビルマ汁探訪に変わっているかもしれませんよ!

今回飲んだのは、
地元の人と一緒につくった
〈キリン一番搾り 栃木づくり〉

「いつもの仲間や日常を大切にする」と言われる栃木の人。そんな地元の人と地元のことを語り合ってつくられたのが、この〈キリン一番搾り 栃木づくり〉です。パッケージのイメージカラーは、紅色。さて、その味わいは……。

キリン一番搾り 栃木づくりってどんなビール? →

取手工場製造

※本商品は取手工場での製造ですが、栃木のお客様と共に栃木ならではの味わいをつくりあげたため、「栃木づくり」としています。

問合せ/キリンビール お客様相談室 TEL 0120-111-560(9:00~17:00土日祝除く) 
ストップ!未成年者飲酒・飲酒運転。のんだあとはリサイクル。

information

益子のビルマ汁(益子町商工会議所)

http://www.mashiko-burma.com/

*ビルマ汁は各店舗とも夏季限定。