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特別編
「国宝みうらじゅん いやげ物展 in TOKYO」

みうらじゅんのニッポン民俗学研究所
vol.024

posted:2014.1.24   from:東京都  genre:エンタメ・お楽しみ

〈 この連載・企画は… 〉  独自の視点で日本各地のユニークな文化を研究してきたみうらじゅんが、
読者にフィールドワークを課しながら集成していく新たなプロジェクト。

profile

Jun Miura

みうらじゅん

みうら・じゅん●1958年、京都府生まれ。イラストレーターなど。代表作に『アイデン&ティティ』など。“マイブーム”の生みの親であり、「とんまつり」や安斎肇とのユニット「勝手に観光協会」など、日本各地の知られざる魅力を独自の視点で広める活動も多い。『マイ仏教』(新潮新書)、リリー・フランキーとの対談本『どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか』(扶桑社)、いとうせいこうとの共著『見仏記 ぶらり旅篇』(角川書店)、『キャラ立ち民俗学』(角川書店)など著書多数。

貴重なコレクションを大公開!

今回の「ニッポン民俗学研究所」は特別バージョン。
東京で開催中の「国宝みうらじゅん いやげ物展 in TOKYO」のレポートです。

みなさんにいつも投稿してもらっていますが、さすがみうら所長、年季が違います。
25年かけて集めた膨大なコレクションの中から、約2000点を展示。
これでまだ一部だというのですから、はっきり言って意味がわかりません。
無駄にもほどがあります。でもこれだけの物量を目の当たりにすると、
もはやみうら所長への尊敬の念しかわいてきません。

天狗の世界

「テングー」なるキャラクターをも生み出した、みうら所長の天狗コレクション。
全国各地で見られる天狗ですが、みうら所長の地元、
京都の鞍馬天狗はもともと鼻が高くないそう。
「東北に行くにしたがって鼻が高くなる」という
みやげ物屋のおばちゃんの説を確かめるべく、
各地で天狗を収集するようになったとか。

写真中央の髭の生えているものは群馬県の迦葉山(かしょうざん)の天狗の面。
みうら所長が初めて友人に頼んで
ネットオークションで落としてもらったものだそうです。
「天狗の面を飲み屋に持っていったところ、
折れちゃったことがあって。
『天狗の鼻を折る』って言葉で聞いたことはあるけど、
実際に見たらこんなに無様なんだって思ったね」

すべては五穀豊穣、男根崇拝につながるというみうら所長。
たしかに、このいやげ物展にもそういう意味合いのものが多々見られます。

海女フィギュア

以前から海女グッズを集めていたみうら所長。
昨年はここぞとばかり「海女がくる!」と思ったそうですが、
ちょっとみうら所長の期待していたブームとは違ったようです。
それでもちゃんと、新しい「あまちゃん」グッズも手に入れています。
「とりあえず買わないと。もう自分の好き嫌いとは関係ないですから。
宮藤官九郎さんには“海女もの”のビデオを何本か送ったんですけど、
参考になりません、と言われました」

甘えた坊主

みうら所長が最初にこの「甘えた坊主」に出会ったのは、四国への仏像旅行のとき。
そこには「一休」と書いてあったそうですが、
その後も各地で見られ「雪舟」と書いてあることも。
ところがなんと、そのルーツは日本ではなかったようです。
「中国に行ってわかりましたが、ルーツは中国。
一休でも雪舟でもありませんでした。
僕はこれを“甘えた坊主”と呼んでますが、ほお紅をして
ブルーのアイラインが入っていたりして、何かセクシーなんですよ」

たくさんの「甘えた坊主」が回っています。

そのほかにもさまざまなコレクションが展示されています。

各地に見られるさまざまな「フィギュ和」。なまはげも相当な迫力です。

謎に満ちた物体でも「ひょうたん君」というとかわいく思えてきます。

観光地に必ずある絵ハガキ「カスハガ」。展覧会に行くと入場者プレゼントとしてもらえます。

「ウェブマガジンで連載しているのに僕はパソコンが使えないし、
インターネットができないから、ほぼ全部自分で集めたもの。
インターネットって何でも買えるようだけど、
こういうものはネットオークションにも出てないでしょう。
だって、おやじの小言が書いてある湯のみなんて、誰も欲しくないわけだから。
店の隅にホコリをかぶって置いてあるだけ。
でもこれらも、いまや絶滅危惧種、または絶滅種ですね」

自ら「犠牲となって」絶滅寸前のいやげ物を収集したというみうら所長。
そんな貴重なコレクションを、ぜひ会場でご覧ください!

展覧会のためにつくったという等身大「海女フィギュア」と一緒に。

information

国宝みうらじゅん いやげ物展 in TOKYO

2014年1月17日〜2月3日
会場 パルコミュージアム(渋谷パルコ パート1・3F)
http://www.parco-art.com/web/museum/exhibition.php?id=619

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