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連載

〈真鶴みんなの家〉で起きたこと。
アーティストと地元の若者による
ものづくりワークショップ

真鶴半島イトナミ美術館
作品No.006|Page 2

posted:2017.1.10  from:神奈川県足柄下郡真鶴町  genre:活性化と創生 / アート・デザイン・建築

sponsored by 真鶴町

〈 この連載・企画は… 〉  神奈川県の西、相模湾に浮かぶ真鶴半島。
ここにあるのが〈真鶴半島イトナミ美術館〉。といっても、かたちある美術館ではありません。
真鶴の人たちが大切にしているものや、地元の人と移住者がともに紡いでいく「ストーリー」、
真鶴でこだわりのものづくりをする「町民アーティスト」、それらをすべて「作品」と捉え、
真鶴半島をまるごと美術館に見立て発信していきます。真鶴半島イトナミ美術館へ、ようこそ。

writer profile

Hiromi Kajiyama

梶山ひろみ

かじやま・ひろみ●熊本県出身。ウェブや雑誌のほか、『しごととわたし』や家族と一年誌『家族』での編集・執筆も。お気に入りの熊本土産は、808 COFFEE STOPのコーヒー豆、Ange Michikoのクッキー、大小さまざまな木葉猿。阿蘇ロックも気になる日々。

credit

撮影:みんなの家プロジェクトチーム

Page 2

レシピを介して人だまりをつくる

イベントの合間には、フードデザイナーの蓮池陽子さんによる
「まなづるレシピ」の試食会も開催。
「焼き鯖の棒寿司」「しかに」「まご茶漬け」といった魚料理に加え、
マーマレードジャム、マーマレードの炊飯器ケーキなど、
誰もが真鶴の食文化を実践できるように、
真鶴でとれる食材を使ったレシピを住民からヒアリングし、文字に起こした。

あえて郷土料理と限定しなかったのは、レシピはあくまでもツールだから。
「移住者や核家族の中には、魚という文化から離れてしまって、
どう調理したらいいのかわからないという状態の方が多いと思います。
レシピというかたちにまとめはしましたが、教えあったり、自分でつくってみたり、
それまでの過程やその後のことのほうが大切だと思っています。
レシピを介して人だまりが生まれますよね」

地元のお魚屋さんやお母さんたちに真鶴の食についてヒアリングした蓮池さん。

鮮度が落ちるのが早く、市場には出回らないというソウダガツオを使った煮物〈しかに〉。しかにの由来には諸説あるが、「光っている」が「しかっている」になまったものだという説も。

真鶴産の柑橘を使ったマーマレードケーキも発表会でふるまわれた。

次の機会では、「主婦の皆さんに協力してもらって、もっとレシピを集めたい」
と意気込む蓮池さん。季節が変わると、とれる食材も変わるため、
「季節ごとに訪れてワークショップができたら」とアイデアが尽きない。

外からの力でまちの新たな魅力に気づく

ワークショップには、真鶴の未来の担い手として地元の4人の若者が参加し、
朝8時30分にスタートするミーティングから、夜の片づけまで、
アーティストたちとともに過ごした。
“泊まれる出版社”として出版業をしながらゲストハウスを営む
〈真鶴出版〉の川口瞬さんと來住(きし)友美さんは、
プロジェクトを引っ張ってくれたのはアーティストたちだったと振り返る。

「みなさんとにかく人間力がすごくて。
私たちのこと『はい、行くよ!』と引っ張ってくれました。
このプロジェクトをどう着地させるべきなのかということについても
よく話し合ったのですが、大人数だからこそ前に進もうとする力がすごかったです。
個人的には、夕食の時間に遊びに来てくださった
東京在住の地域づくりに興味のある方々と出会えたことが大きかったですね。
自分たちがこれから発信していくうえでいい勉強になりました」(來住さん)

來住さんと蓮池さん。

寝食をともにしたプロジェクトメンバー。大所帯!

もちろん食卓には真鶴のおいしい魚。

來住さんに声をかけられて参加することになった寺西聡子さんは、
人と海のつながりをテーマに活動するNPO〈ディスカバーブルー〉事務局長だ。
4年前から自宅のある鎌倉から真鶴の〈町立遠藤貝類博物館〉に通っている。
期間中は少しでも一緒に時間を過ごせるようにと、
くらしかる真鶴から出勤し、宿泊していた。

「お弁当をつくってもらって、『いってらっしゃ~い』『おかえり~』って。
こうして真鶴での暮らしを体験できたのは初めてで、
実際に住むのも楽しいんだろうなって」

時間によっては、来場者が多すぎて対応ができないこともあったという。
「人とつながる場所としていろんな方が来てくれたのはうれしかったです」

川口さんは、まちを意識的に歩くことで
よりその魅力に気づけたことが収穫だったと話す。

「地図づくりのためにまちを歩くと、いままで気づかなかったことに気づけるんです。
真鶴では、景勝地として三ツ石やお林を見どころとして打ち出してきましたが、
僕らは背戸道と呼ばれる細い路地をはじめとする日本の風景を
おもしろいと思っているので、そういう場所を新たに見つけられてよかったです」

くらしかるの壁に、新しい真鶴の地図を描いた。

たまたま真鶴に社会科見学に来た、鎌倉の小学生たちに地図を説明する川口さん。

真鶴で生まれ、いまも真鶴に暮らし、真鶴のアートイベント〈真鶴まちなーれ〉では
広報も務めている大学生の遠藤日向さんは、真鶴まちなーれでの経験も重ね、
外から人を招くことの重要性を確信した。

「外からアーティストを呼び、まちに違和感を与えてもらうことは
本当に大切だと思いました。
外の人だからこそ気づく、真鶴のいいところと改めるべきところは、
地元の人間からすると新鮮だし、勉強になります。
中の人間だけで何かをやろうとすると、人間関係でもなんでも
日々の延長になりがちで、いつも同じ人たちになってしまいます。
でも外の方は、ゼロからコミュニティを築いていくため、
より多くの人たちを巻き込むことができるのが強み。
そういうところを僕も身につけられたらと思いました」

〈みんなの家プロジェクト〉は、3月4日(土)に報告会が開催される。
今回まいた種がどう育ち、どんな花や実をつけるのか。
「はじめまして」ではなく、
「ただいま」「おかえり」から始まっていくつながりに期待が高まる。

information

map

くらしかる真鶴

住所:神奈川県足柄下郡真鶴町真鶴453-5

https://www.facebook.com/kurashikarumanazuru/

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