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連載

絹の道から塩の道へ。
佐々木愛の豊橋への旅
あいちトリエンナーレ通信 vol.6

ローカルアートレポート
vol.070|Page 1

posted:2016.9.27  from:愛知県豊橋市  genre:アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  各地で開催される展覧会やアートイベントから、
地域と結びついた作品や作家にスポットを当て、その活動をレポート。

writer profile

Ai Sasaki

佐々木愛

ささき・あい●1976年大阪府生まれ。アーティスト。土地固有の神話や物語などに着想を得て、動植物を色鮮やかに描き出すドローイングや油画などで知られる。ロイヤルアイシングという砂糖細工技法による壁画制作を各地で展開。

『内在の風景-Immanent Landscape』ウェストスペース/メルボルン

3年に1度開催され、現在開催中の国際芸術祭〈あいちトリエンナーレ2016〉。
3度目となる今回は、名古屋市、岡崎市、豊橋市で開催されています。
参加アーティストや広報チームが、その作品や地域の魅力を紹介していくリレー連載です。

はじめに

はじめまして、佐々木愛です。
あいちトリエンナーレでは豊橋会場で壁画作品を展示しています。
これから2回に分けて、作品のこと、滞在制作のこと、
豊橋会場のことなどを書いていこうと思います。
まずは自己紹介を兼ねて、私のこれまでの作品や制作について少し。

私は「物語や神話など人の“記憶”からインスピレーションを得た世界と、
現実の世界の交わる情景」をテーマに、
壁画や絵画、版画など、平面作品を制作しています。
なかでも、トリエンナーレでも発表している砂糖(ロイヤルアイシング)を使った
壁画作品は、ここ10年ほど積極的に発表してきました。

『残された物語』ロイヤルアイシング 2012年/開港都市にいがた水と土の芸術祭(撮影:山本糾)

『four songs』キャンバスに油彩 2014年/ベルナールビュフェ美術館(撮影:山本糾)

壁画作品はその場所ごとに制作するので、
そのほとんどが展示場所に滞在して制作します。
作品サイズは10メートルを超えるものが多く、
1か月から3か月ほどの滞在になることもしばしばあります。
作品を展示する土地をテーマに制作するために、
いつも滞在先を訪ねるところから制作が始まります。
そして、古いお話や伝統文様、固有の植物など、
その土地にまつわるさまざまなものを少しずつ集めて、
自分と土地との距離を徐々に縮めながら、
私なりの新しい物語を見つけていき、新しい風景を描きます。

砂糖を使用した壁画作品は、限定された期間のみ展示し、
会期終了後には取り壊され、鑑賞者の記憶にのみ残されます。
これまでも国内では青森、京都、新潟、静岡、長野、福井など、
海外では、韓国、ニュージーランド、オーストラリアなどで滞在制作を行いました。

『まどろみ』キャンバスに油彩 2013年

『mist』銅版画 2010年

始まり、ひとつ目の旅

2016年3月、豊橋で。打ち合わせのあと、まちを散策。アスファルトの隙間に花!

日頃制作している作品と、芸術祭で展示することに向けて制作する作品とでは、
始まり方が少し違います。依頼を受けて制作する際には、
まず依頼主(キュレーター)と会って、話すところから始まります。
そして、芸術祭全体のテーマや土地の歴史、まちのこと、
私の過去の作品のことなどを話しつつ、作品の方向性を考え、
それに合った展示場所を探します。

通常、展示会場候補となる場所がいくつかリストアップされており、
作家はその中から選ぶのですが、時には展示場所から探すこともあります。
美術館やギャラリーで発表することとは違う、芸術祭ならではのおもしろいところです。

開催地訪問初日は、「どんな作品にしようかな? 
展示場所はどこがいいかな?」とぼんやり考えつつ
まちの名所や歴史的建造物、人の暮らしが見える商店街などを歩きます。
このときはまだ作品の方向性も決まっていないので、
「おや?」と興味を惹く“何か“に出会うことをうっすらと期待しつつ、
特に何も決めずにいろいろな場所を見て回ります。
その後、私個人の作品のテーマを決め、そのためにリサーチし、
作品制作のスケジュールを立て、それに必要な道具、人、予算などを決めていきます。

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