colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧

連載

会津・漆の芸術祭2012
カキコ隊レポート Part1

ローカルアートレポート
vol.027

posted:2012.10.26  from:福島県会津若松市・喜多方市  genre:アート・デザイン・建築

〈 この連載・企画は… 〉  各地で開催される展覧会やアートイベントから、
地域と結びついた作品や作家にスポットを当て、その活動をレポート。

writer's profile

Michiko Hori

堀 美千子

ほり・みちこ●福島県喜多方市に生まれ、小中学校時代を会津若松市で過ごす。2008年より、再び会津若松市在住。2011年より「会津・漆の芸術祭」ボランティア、カキコ隊に参加。普段は、建築士事務所で事務をしたり、アクセサリーやiPhoneケースをつくったり、日比野克彦さんが中心となっている東日本大震災復興支援プロジェクト「HEART MARK VEIWING」をお手伝いしたり。

会津若松市と喜多方市で開催されている「会津・漆の芸術祭」。
会津に古くから伝わる素材である漆を使って、
福島県内外の作家や職人、学生たちがさまざまな作品を展示。
3回目となるこの芸術祭を、ボランティアスタッフ“カキコ隊”のひとりが、
全3回にわたりレポートします。

触れて、体験して、身近に感じる芸術祭。

10月6日から始まり11月23日までの期間で開催されている「会津・漆の芸術祭2012」。
お手伝いする我々ボランティアには、「カキコ隊」という愛称がつけられています。
これは、漆の木から漆液を掻く職人さん「掻き子」にちなんでいて、
日々、会津の、漆の芸術祭の、アートの樹液をせっせと掻き集めております。
さて、そんなカキコ隊の一員である私が、
漆の芸術祭という幹から掻きとってお届けしたいエッセンスは
「触れて、体験して、身近に感じる漆」について、です。

会期中、私たちカキコ隊がおもに活動しているのは、二丸屋山口商店七日町店。
来場者のご案内をしたり、シールラリーの景品をお渡ししたりしています。
この会場に展示されているのは、会津漆器技術後継者訓練校修了生有志のみなさんの作品。
訓練の一環として、通常、会津塗では使わないような手法や、
ちょっとユニークなデザインにチャレンジした作品を数多くご覧いただくことができます。
漆塗りというと、特別な日のためにあつらえられた
ちょっとかしこまった器を思い描く人も多いのではないかと思いますが、
ここに展示されている作品では、「こんな使い方ができるんだ」
「こんな表現があるんだ」と漆の意外な表情、カジュアルな一面を
発見していただけるのではないかと思います。

二丸屋山口商店七日町店展示室。木地に漆を塗った作品だけでなく、ガラス、陶器、卵殻、布、ひょうたんなど、さまざまな材料が使われています。

触って遊べるてんとう虫のおもちゃ箱は、来場した子どもたちに大人気。

会津では、このように訓練校などを通じて後継者育成も行われているのですが、
そこにつながる裾野の広がりとして、今年度はうれしい市民参加作品が2点。
会津工業高校チームによる「いのちのとりたち」(展示会場:中町グランドホテル)と、
会津学鳳中高美術部による「つなぐ+つながる(陶胎漆ボタン)」
(展示会場:あんてぃーくCafé中の蔵)。
どちらも初めての漆体験。これをきっかけに、
会津の若者たちが地域に根づく漆文化に興味を持って、
担い手あるいは語り手となってくれることに期待です。
そして、学鳳中高作品は、来場者の皆さんにさまざまなかたちに切り取られた和紙を、
漆で彩られた木製や陶製のボタンにとめていただく参加型作品でもあります。

会津工業高校チーム「いのちのとりたち」。塗料は代替漆のカシューを使用。

会津学鳳中高美術部「つなぐ+つながる(陶胎漆ボタン)」。土台はコーヒーで染められたキャンバス。陶、木、漆、キャンバス、和紙とそれぞれの手触りも楽しめます。

このような参加型作品は、ほかにもまだまだ。
会津・漆の芸術祭は、カキコ隊のようなボランティアとしての参加、
中学生高校生のような作品展示での参加、そして、来場者の皆様にも参加いただいて、
初めて完成する芸術祭なのです。

そこでご紹介したいのは、会津若松市のメインストリート、中央通りからもすぐ目に入る
b Prese蔵舗前の作品2点。まずは、ウルシオールによる「あしあと」。
漆が何層にも塗り重ねられたパネルを紙やすりで研ぐと、漆の色層が現れるというもの。
ぜひオリジナルなあしあとを、漆の芸術祭に残していってください。

ウルシオール「あしあと」。いつでも体験いただけるよう、パネルも道具も店舗の外に用意されています。お気軽にどうぞ。

そして、会津漆器協同組合青年部によるウォールアート「天空の刻」。
駐車場の板塀に黒い漆を塗り、会津も関わりのある小説・映画『天地明察』を
イメージした蒔絵が施されています。
ここで体験いただけるのはスタンプを使った蒔絵。
通常の漆器づくりの中でも使われている手法で、
漆の芸術祭のオープニングセレモニーでは、テープカットの代わりに
来賓の方々にスタンプを押していただきました。
この作品は、みなさんのスタンプした金の星、銀の星によって、
漆の黒い空に天の川が描き出される予定です。
そして、こちらの体験は、現役の職人として活躍している
青年部のメンバーがお手伝いしますので、漆に関するあれやこれや、
漆器制作に関わる現場の声を直接聞く機会にもなるかと思います。
ぜひぜひ積極的に声をかけてみてくださいね。

会津漆器協同組合青年部 漆のウォールアート「天空の刻」。今回は青年部会長の小沼さんに教えていただきながら体験。毎週日曜日(10月28日を除く)および11月23日(金・祝)の10:00~17:00に体験できます。

さて、最後にカキコ隊の活動をもうひとつご紹介。
3年目の漆の芸術祭、今年はもう一段階深く参加しようと、
会場内に「カキコ隊情報スペース」を作りました。
カキコ隊からのお勧めなどとともに、協賛イベントなどのチラシも設置してありますので、
漆の芸術祭に関する情報がまとめて収集できる場所のひとつでもあります。
会津若松市内、七日町通りの太郎焼総本舗2階にありますので、
作品鑑賞のまち歩きに疲れたら、ちょっとひと休みついでにのぞいてみてください。
そして、漆の芸術祭や会津についての感想など、書き残していただけたら幸いです。

太郎焼総本舗2階。奥がカキコ隊情報スペース。手前の展示作品は千葉奈穂子さんの「2011年、東北の記憶を千年先まで残すために(サイアノタイプ写真)」。

information

map

会津・漆の芸術祭2012

2012年10月6日(土)〜11月23日(金・祝)
会津若松市・喜多方市の店舗内や空き店舗、空き蔵などで展示
http://www.aizu-artfest.gr.fks.ed.jp

Recommend