colocal コロカル マガジンハウス Local Network Magazine

連載の一覧 記事の検索・都道府県ごとの一覧

odekake

〈七福弁当 鈴木商店〉
常連客の行列が絶えない、
旭川で愛される名物弁当。

おでかけコロカル|北海道・道北編

posted:2016.11.29  from:北海道旭川市  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

minaco

札幌生まれ。主に北海道をフィールドワークとし、生産者や職人を撮影。食いしん坊で無類の猫好き。
@jojo_footic

writer's profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/

credit

supported by 北海道体験観光推進協議会

ほっこり和む家庭的な惣菜がずらり

平和通買物公園沿いに建つ七福ビルに入ってすぐの場所に、
お昼どきには行列のできる名物のお惣菜屋さんがあります。

「弁当、400円でザンギ入れて、おまかせで。ごはんなし」

「のりメンチ6個ね」「卯の花、まだある? 500グラムちょうだい」

そんなお客さんの声が飛び交う、活気あふれる旭川ならではのまちの風景のなか、
お店のたたずまいは、昭和の風情をそのままとどめています。

訪れた午前中には、ホーローバットにたっぷりのお惣菜が。営業中もつくり足していますが、夕方にはほとんど売り切れてしまうそう。

ガラスケースにずらりと40種類以上並ぶお惣菜は、
ボリュームたっぷりでどれもリーズナブル。
創業昭和37年、まちに愛され、〈七福弁当〉の愛称で知られる〈鈴木商店〉は、
市民はもちろん旅人にとっても頼れるお店です。

〈のりメンチ〉(1枚70円)。種類をたくさん食べたい人向けに、1枚を半分にカットしてもOKという、うれしいサービスも。

さまざまな人気商品を誇る七福弁当。なかでも創業以来のロングセラー商品は、
特製メンチをのりで挟んで揚げた〈のりメンチ〉。
かぶりつくと、玉ねぎの甘みが絡んだジューシーな肉感に、
香ばしいのりの風味が絶妙なバランスです。
このほかにも、北海道名物の鶏唐揚げ、
ザンギ(100グラム200円)や、きんぴらごぼう(100グラム180円)、
うの花(100グラム100円)などの定番商品が飛ぶように売れていきます。

てきぱきと立ち働くスタッフの皆さん。おまかせ弁当を3つお願いすると、それぞれおかずを変えてぎっしりと詰めてくれました。

ここ七福弁当での買い物の醍醐味は、〈おまかせ弁当〉にあります。
希望の値段、入れてほしいお惣菜、ごはんをつけるかつけないかを伝えたら、
あとは店員さんが独自に選んで詰めてくれるというスタイル。
どうしても食べたいお惣菜を先にチェックしてから、ぜひ、おまかせで頼んでみて。
「野菜多めに」「揚げ物少なめ」などの希望にも、もちろん対応してくれます。
味がしみしみの大根やナポリタンなど、どのメニューも本当においしくて、
気取らない茶色なお弁当にほっとします。

人気商品を詰めてもらったごはんつきのおまかせ弁当。これでなんと410円!かなりの量と思いきや、女性でもぺろりと完食できるおいしさ。

次のページ
地元に愛される店をなくしたくない

Page 2

娘夫婦の思いが守る、昭和のお店

現在、七福弁当を切り盛りしているのは、2代目の市中秀昇さんと奥さまの利佳子さん。
もとは利佳子さんのご両親が始めた七福弁当。
お父さんの鈴木新吾さんが引退することを決めた1997年、
秀昇さんは「まちに愛されるこのお店をなくしたくない」と札幌での前職を辞め、
七福弁当を継ぐことを決意したのだそう。

「まったくの異業種でしたが、料理をつくるのも、人と接するのも好きでしたから」
と話す秀昇さんに、利佳子さんは
「両親から頼まれたわけじゃないけど、特に相談もなく夫は継ぐと決めていましたね。
2代3代と続けてお客さんが来てくれるお店なので、
親の代で終わらせるのはもったいないと私も思っていたんです」と笑顔を見せます。

二人三脚で店を守る市中さんご夫婦。営業中も、仕込みやつくる作業を並行。秀昇さんは営業日、毎朝5時には店で仕込みを始めるそう。「うの花は妻が担当ですが、すごい人気で、大鍋で大量につくるのに足りなくなるんです」

以来19年。継ぐにあたって先代から手取り足取り教わったという
もとのレシピを大切にしながらも、自分たちがおいしいと思える味を追求し、
時代に合わせた味づくりに力を入れてきました。
何十年も通ってくれている常連さんが
「前以上においしくなったね」と声をかけてくれることもあるそう。

野菜は目の前の佐藤青果店、魚はその奥の関根鮮魚店から、毎日新鮮なものを仕入れています。「食材が足りなくなったらすぐに買える環境。ありがたいです」と秀昇さん。

七福ビルの前身は、まちの台所として知られた七福市場。
お母さんの鈴木美也子さんが店向かいの関根鮮魚店の店主と親戚だったこともあり、
出店しないかと声をかけられ、一家で札幌から移住。
居抜きを継ぎ、揚げ物店として鈴木商店をオープンします。
その七福市場が火事に遭い、昭和43年には七福ビルとして再出発。
当初は肉屋や酒屋、お菓子店、地下には飲屋街もあり、おおいににぎわっていたそう。
七福弁当はやがて店舗を広げてお惣菜の種類を徐々に増やし、
おまかせ弁当を始め、現在のスタイルへと至ります。

右から2番目、初代に当たる鈴木美也子さんは、今も店のお手伝いに入ってくれる現役。2代続く歴史を感じる風景。

七福弁当のある七福ビル前は、JR旭川駅から北へまっすぐ1キロの長さを誇る
〈平和通買物公園〉。この通りは、日本初の常設の歩行者天国となった昭和47年以来、
大型商業ビルをはじめ、飲食店、商店やライブハウス、
書店など100店舗以上の店が立ち並ぶ、旭川のメインストリート。
かつては〈師団通り〉と呼ばれ、明治29年、北辺の守りとして
まちの北東部に置かれた陸軍第7師団と旭川駅をつなぎ、栄えてきた歴史があります。

「少し元気のなくなっている買物公園ですが、
最近は小さなお店が増えてきています。
僕らも、せっかく通り沿いに店を構えているので、
買物公園を支えて少しでも盛り上げていこうという軸を持ちながら、
店を続けているんです」と語ってくれた秀昇さん。
お客さんの9割が常連さんという七福弁当。
愛される味と地元民でにぎわうお店は、旭川で訪れたい名スポットのひとつです。

information

map

七福弁当 鈴木商店

住所:旭川市7条通7丁目 七福ビル1F

TEL:0166−22−3307

営業時間:8:00〜19:00(売り切れ次第終了のメニューあり)

定休日:日曜

※駐車場 なし

Recommend