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絶景の峡谷美に包まれた
〈層雲峡温泉 ホテル大雪〉。
源泉かけ流しの評判のお湯

おでかけコロカル|北海道・道北編

posted:2015.12.24   from:北海道上川郡上川町  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

YAYOI ARIMOTO

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/

credit

取材協力:北海道観光振興機構

旭川から車で約1時間。
アイヌ語で「カムイミンタラ(神々の遊ぶ庭)」
と呼ばれる大雪山に抱かれた深い渓谷、層雲峡。
3万年前の火山噴火後、マグマの冷却によってできた
柱状節理(ちゅうじょうせつり)の岩肌を長い年月をかけて石狩川が削ることで生まれた、
全国でも珍しい地形を誇ります。
切り立った岩壁を滝が流れ、そして木々が飾る風景は、まるで深山幽谷。

層雲峡温泉郷の最も高い位置に立ち、
窓越しに雄大な景観を楽しめる〈ホテル大雪〉。
老舗観光温泉ホテルとして名を馳せ、全国から多くのお客さんが訪れる宿です。

アメリカのロッジを思わせる重厚感がステキなロビー。

豊富な湯量を誇る温泉宿ならではのおもてなしのひとつが、
館内で楽しめる3つの湯めぐりです。
絶景のなかで開放感に浸れる朝風呂がおすすめの〈渓谷露天風呂 天華の湯〉、
湯にけむるステンドグラスが異国情緒溢れる〈欧風大浴場 チニタの湯〉。
なかでも、ホテル最上階にある〈展望大浴場 大雪乃湯〉は、
明るい時間帯にぜひ足を運びたい湯殿。
広々とした浴槽につかりながら、
峡谷越しに大雪山連峰のパノラマを眺めることができます。
体を芯からあたためるほのかな硫黄の香りのお湯は、すべて源泉かけ流し。
ぜひ、趣きの異なる3つの湯すべてをまわってみましょう。

ホテル大雪のなかでも、2007 年と2009 年に
それぞれリニューアルオープンした、
特別フロア〈和房雪花〉と和風モダンフロア〈雪ほたる〉は、
ゆっくりと静かな滞在を楽しみたい方におすすめです。

フロアごとに区切られていて、
大型ホテルのなかでもプライベート感覚で過ごせる、
贅を尽くしたしつらえが人気を集めています。
ホテルの中の旅館とうたわれる和房雪花には、
ひと組ごとに仲井さんがつき細かな気配りをしてくれるという、
古き良き宿を思わせるサービスも。
まずは靴を脱ぎ、畳敷きの廊下を進みます。
フロアには3種類の客室があり、そのすべてが展望露天風呂つき。
広々として開放感のあるAタイプは、
和洋の要素が心地よくミックスされた間取りです。

心ほぐれる和のリビングルーム。

深い峡谷をのぞみながら、
こんこんと湧きでる温泉に身も心もゆだねる贅沢を味わうことができます。

自然素材につつまれてのんびりと湯浴み。信楽焼の浴槽が肌になじみます。シャワーブー
スも併設。

リビング感覚の広いパウダールームやマッサージチェア、充実のアメニティは、
温泉のあとのリラックスタイムに楽しみを添えてくれそう。
部屋に置かれた温泉かごを片手に、浴衣姿で湯巡りへ出かけましょう。

ホテル大雪は層雲峡の誇る名所にもアクセスしやすい立地にあり、
登山や散策を楽しめ、
高山植物の宝庫でもある黒岳への入口、
〈大雪山 層雲峡・黒岳ロープウェイ〉乗り場からも車で5分ほどです。
この乗り場すぐ隣の〈層雲峡ビジターセンター〉では、
層雲峡のなりたちから季節ごとの楽しみ方、
またイベントの開催情報も知ることができ、
滞在のひとときをさらに充実させてくれます。

予約制のネイチャーツアーも行なっているビジターセンター。

車を少し走らせて、峡谷が織りなす景観を探しに行ってみましょう。

川に沿った柱状節理を眺められる〈大函〉。石狩川の澄んで青みがかった流れがこの景観をつくってきました。

四季折々、日々刻々とうつりかわる層雲峡の風景。
晴れていたと思えば急に濃い霧が生まれたり、
日差しの角度でまったく違う景色に見えたり。
今も雄大な自然の力が宿る景勝地で、太古からのエネルギーをもらえそうです。

ホテルから徒歩圏内にある〈紅葉谷散策路〉は往復1時間半ほどの道のりで、ゴールには壮観な柱状節理と〈紅葉滝〉が。稀少なヒカリゴケの見られるポイントもあるそう!

散策のあとにひと風呂浴びたら、次なるお楽しみはお食事です。
和房 雪花の宿泊客は別フロアの専用お食事処〈季響庵〉へ案内されます。
和の風情漂う個室で、贅を尽くした季節ごとの創作和食コース料理をゆっくりと味わえます。
まずは、メインを肉料理と魚料理からチョイス。
食前酒から始まり、鮮度や彩りにも心づかいとこだわりを感じる料理が続々と運ばれてきます。
品数もボリュームもたっぷり!

秋の膳の前菜。黒い器には、限られた時期にしか食べられない北海道の名産キノコ〈らくよう〉のしょうゆ漬けが。長芋紅葉揚げ、柿と銀杏の白和え、秋刀魚柚庵焼きなど季節を感じる品々がずらり。柿に見立てたミニトマトが愛らしい。

特にお造りの定番〈かまくら仕立て〉は、その名の通り小さなかまくらの中に
色とりどりの季節の小皿をあしらった、目にも楽しい一品です。
層雲峡近郊をはじめ、北海道の旬の良質な食材を手間ひまかけてあつらえられた料理には、
地元のお酒がぴったり。
日本酒なら旭川の男山酒造や増毛の国稀酒造、
ワインは富良野ワインや十勝ワインが用意されています。

たっぷりといただける朝食はふたたび〈季響庵〉で。和食ではごはんとおかゆが選べ、洋食では目玉焼きとオムレツから好きな方を注文。

滞在の間に、地元の文化にも触れてみましょう。
層雲峡は「ソウウンベツ(滝の多い川)」
というアイヌ語地名から名づけられたとおり、
古くからアイヌ民族の暮らす土地でした。
館内のお土産物屋には、アイヌ民芸品を扱うお店があり、
伝統を受け継ぐ貴重な〈アイヌ古式舞踊〉が、特別に上演されています。
この日も、ロビーはたくさんのお客さんで埋め尽くされました。

これから狩りに入るときに舞う、勇壮な『弓の踊り』。

こちらは、ふたりの女性から求愛される『色男の踊り』。客席からスカウトされたお客さんが色男役で登場。名演技に会場は拍手喝采で会場はもり上がった。

「アイヌの言葉で“あなたの心にそっと触れさせていただきます”という意味の『イランカラプテ』。これを覚えて帰って下さいね」アイヌ文化に触れる体験も、この土地のお土産のひとつに。

創業60 年を迎える〈ホテル大雪〉は、
1954年、大型台風で倒れた木々を整備する工事関係者のためにつくられた、
ログハウスのような宿泊施設から出発します。
その後、道東への玄関口としても人気を集めた層雲峡が
一大観光地として栄えていくなかで、
現在の大型観光温泉ホテルができあがっていきました。

「層雲峡は夏のアウトドアシーズンはもちろん、
秋は日本一早い紅葉を見られる峡谷といわれ、岩壁が美しく彩られます。
冬は厳しい寒さと強い風で下から舞う雪が見られます。
僕のおすすめは春の新緑の時期。
本州とはひと味違う、美しい色の新芽が渓谷を飾る様子がすばらしいですよ」
と語るのは、営業企画部長の西野目晃正さん。

「ここのホテルがつくられた当時、当社は宿泊業でなく材木屋だったんですよ」というエピソードを教えてくれた西野目さん。創業時から飾られている〈雲山楼閣〉の文字は層雲峡の魅力そのもの。

冬の層雲峡名物は、石狩川から汲んだ水で
時間をかけてつくられる豪快な氷像が見事な人気イベント〈氷瀑まつり〉。
2016年は、1月23日~3月27日まで、
札幌から片道1,000 円で層雲峡直行バスも運行しています。
ほかにも、2015年の春夏秋をとおして開催された
『北海道ガーデンショー』のメイン会場になり、
作品の一部が常設展示されている大雪高原の〈北の森ガーデン〉や、
フレンチの巨匠三國清三シェフ監修の〈フラテッロ・ディ・ミクニ〉も、
層雲峡の新たな見どころ、食どころとなっています。

さまざまな名所を誇る層雲峡に寄り添うホテル大雪。
原初の大自然を残す峡谷美につつまれながら、
豊かな湯船で日々の疲れをゆっくりと癒せるひとときが待っています。

information

map

層雲峡温泉 ホテル大雪

住所:上川郡上川町字層雲峡

TEL:01658-5-3211

チェックイン15:00(最終19:00)

チェックアウト10:00

宿泊料金/和房雪花 27,000円~、雪ほたる 16,200円~

※別途入湯税150円/泊あり

※駐車場 あり

http://www.hotel-taisetsu.com

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