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「旭日酒造」
蔵の個性を持った酵母たちが
醸してくれるお酒

おでかけコロカル|島根編

posted:2015.6.12   from:島根県  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

editor’s profile

Kaori Ezawa

江澤香織

えざわ・かおり●神奈川生まれ、東京在住。フリーライター。友人に誘われふらっと訪ねた鳥取の旅で、 その良さに感動し、以後、山陰と深く関わることに。「山陰旅行 クラフト+食めぐり」(マイナビ)著者。 食、旅、クラフト等を通じて、日本文化とものづくりを応援。

credit

撮影:売豆紀 拓
協力:島根県

出雲市駅から徒歩数分ほどの街中にある酒蔵です。
駅からてくてく歩いて行けます。
販売スペースはとても小さくこぢんまりとしていますが、
よくよく見ると、お酒造りに使われる道具が、
いい感じにリサイクルされて、お店の什器になっています。
麹を造るための麹蓋(トレイのようなかたちの木の道具)を、
立てかけて置いて棚のように使っていたり、麹を乾かす板をつい立てにしていたり。
お店の真ん中にある大きなテーブルは、
お酒を仕込む木桶の底だったものだそうです。
そんなお話を伺いながら、試飲するお酒は一層美味しく感じます。

旭日酒造の代表的銘柄は「+字旭日(じゅうじあさひ)」。
地元でも愛されているお酒です。
熟成された穏やかな旨味とコクが特徴で、
温めて飲むと口の中に旨味がふんわりと優しく深く広がります。
出雲大社の御神酒である「八千矛(やちほこ)」もここで造っています。
出雲大社近くの古い酒造より2013年から引き継ぎ、守ることになったそうです。
そして、お酒造りの原点ともいえる、生もと造りにも力を入れています。
大阪の桶屋さんに半切り桶を造ってもらい、
2人一組になって「もと摺り」という作業をします。
蒸した米、麹、水を混ぜ合わせ、丁寧に摺り合わせる作業です。
なかなか力のいる肉体労働ですが、そうすることによって、
この蔵ならではの特徴を持った、元気な酵母が育まれていきます。

物語のあるお酒が造れたら、と話す、
蔵元の娘で副杜氏としてお酒造りに携わる寺田栄里子さん。
蔵に付く天然の酵母たちを「酵母ちゃん」と親しみを込めて呼んでいます。
杜氏である旦那様の幸一さんや蔵人たちと力を合わせて造っています。
自然栽培で酒米を作る農家さんと一緒に、
新しいお酒造りにもチャレンジしています。
旭日酒造のお酒は、お米そのものの味わいが生きた純米酒が中心で、
食事と一緒に楽しみたいお酒。おすすめは燗です。

出雲はご縁の国のせいか、お酒を通じてさまざまな面白い人が集まってくるので、
人の縁を繋げる、交流の拠点のようになれれば嬉しい、と語ります。
ほのぼの温かい雰囲気が漂う(まるでぬる燗のような)、居心地の良い酒蔵です。

Information


map

旭日酒造

住所:島根県出雲市今市町662

TEL:0853-21-0039

http://www.jujiasahi.co.jp

特集・遺産と文化が息づく島根・石見エリアをゆく

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