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odekake

函館の〈jazz spot Leaf〉
港町のムーディーなジャズ喫茶

おでかけコロカル|北海道・道南編

posted:2017.9.21  from:北海道函館市  genre:旅行

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

Yayoi Arimoto

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/

credit

取材協力:北海道観光振興機構

函館駅前エリアにある、まちのジャズ喫茶

旅先だからできること。たとえば市電に乗り込んであてもなくまちを回り、
車窓から気になるお店を見かけたら、次の電停で降り、
普段なら通り過ぎるかもしれないそのお店に飛び込んでみること。

偶然の出会いが似合う、雰囲気あるお店が点在する函館で
〈jazz spot Leaf〉もそんなお店のひとつ。函館駅から歩いて5分、市電なら1駅。
駅前通りからも見える「JAZZ」の看板が目印です。

和洋折衷の函館らしい建物をそのまま生かして手直ししたという店。夏場はテラス席も。

文化の集まる港町の函館は、全国的に名を知られる老舗のジャズ喫茶も残るまち。
現在はLeafを含め、4軒のジャズ喫茶が営業しています。
その中でも、昔からジャズの流れていた駅前の大門地区にある唯一のジャズ喫茶Leafは、
ふらりと訪れてゆっくりと音楽に浸れる、旅人にもおすすめの穴場です。

19時からはバーのスタイルに表情を変える店内には、ライブを行うときに活躍するピアノが。映画の中にいるようなレトロな空間も心地よい。ビールを注ぐのは水山さんの奥さま。

音楽に身を委ねる大人の時間

レコードで1枚ずつかけられるジャズが心地よい店内へ。
音楽をじっくりと味わうなら、良質なスピーカーに向き合って過ごせる
1階席がおすすめです。3人以上で訪れるときはそっと2階席へ。
ジャズ喫茶は音楽を楽しむところなので、大声での会話は厳禁。
ほかのお客さんへの気配りはもちろん、静かにジャズに身を委ねて過ごす、
大人だからこそ体験できるひとときを堪能して。

立派なJBLのスピーカー。現在流れているレコードを飾る、ジャズ喫茶ならではのスタイル。Leafでは主に1960年前後のLPをかけている。

ランチタイムに訪れるなら、おすすめはサラダ付きの〈Leafカレー〉。
マスターがオープン以来つくり続けているという名物カレーには、
細かく刻まれた8種類の野菜がたっぷり入っています。
手間はかかるものの、カッターでは出ないおいしさが出るため、
包丁で時間をかけて切っているそう。フードを注文すると、
オリジナルブレンドコーヒー(400円)ほか、
種類豊富なドリンクが半額になるので、セットでオーダーしてみて。

オープン以来、カレー好きなマスターこだわりの、味も値段も変わらない人気のカレー(500円)。手編みのグラスケースは奥さま作で北海道新幹線のカラーリング! コースターも販売。

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夢だったジャズ喫茶経営

Page 2

元はサラリーマンだった店主の水山さんは、
歳をとってからの目標としていたジャズ喫茶を、
偶然舞い込んできた物件に背中を押されるように1997年、本町でオープンします。

最初は飲み屋としても営業していた「音楽を聴いてもらえないのが苦痛で」、
のちにジャズを聴かせる店づくりを追求。
駅前の大門地区に移転した現在は、カジュアルなジャズ喫茶・バーとしての空間をメインに、
ジャズ文化の奥深さと魅力を伝え続けています。

マスターの水山一嗣さん。「好きなことしかできないんです」と語る笑顔に滲む渋い魅力のファンも多い。

高校生の頃から、ジャズに詳しい叔父さんに勧められて
知識から入るかたちで聴き出したという水山一嗣さん。
しかし、当時は叔父のジャズにまつわるうんちくもわからず、
その良さが全然わからなかったそう。

「それでも聴き続けているうち、ある時突然気づくことがあったんです。
ジャズって、何百回聞いたレコードにも新たな発見があるのがおもしろい。
永遠にわかりきらないから、今日もレコードをかけるんです。飽きることがないですね」

水山さんがサラリーマン時代、全国のジャズ喫茶を回って集めたという貴重なマッチコレクション。

ジャズのまちとしての文化をつなぐ

お店と並行して、中学生の頃から遊び場で、その昔は花街として栄えた
大門地区の活性化にも力を注ぐ水山さんは〈音楽の街はこだて実行委員会〉の代表を務め、
今年15年目を迎える〈大門ジャズフェスティバル〉の運営も担当。
道内はもちろん、第一線で活躍するジャズプレイヤーの函館ライブも手がけ、
音楽でまちに多くの人を呼び寄せています。

「ジャズをこのまちに根づかせたいという思いはあります。
店でかけているアルバムを気に入ったお客さんが
タイトルやプレイヤーをメモしてレコード店で探して買ってくれることがある。
お店ってそんな出会いの場所でもありますよね」

さりげない看板の文字がオシャレ。実はもうひとつの看板「JAZZ」のほうが大きいので、それを店名と思っているタクシーの運転手さんもいるとか。

Leafにまつわる、ある物語をひとつ。
以前は蕎麦屋だったという現在の建物に出会ったときから、
なぜか落ち着ける空間なのを不思議に思っていた水山さん。
移転後に訪れた母親がなぜか驚いているので理由を聞くと、
なんと水山さんのお祖父さんが、まったく同じ場所で洋品店を営んでいたのだそう。
「そういう話は信じないタイプだけど、さすがに、
じいちゃんに呼ばれたんだなって思いましたね」

「全国的にも、JAZZって看板出しているのはうちだけだと思いますよ」

と笑う水山さん。ジャズへの思いとこだわり、
そしてさりげなく光るセンスが詰まったjazz spot Leafで、
敷居が高いと思われがちなジャズ喫茶のイメージを一歩越えて、
このまちならではのジャズ文化のドアを開けてみませんか。

information

map

jazz spot Leaf 

住所:函館市松風町8−19

TEL:0138-27-4122

営業時間:Day time11:30〜17:00、Bar time19:00〜24:00(チャージ500円)

定休日:第1・第3月曜(祝日の場合は翌日休)、ほか不定休

駐車場:あり

http://hakodatejazzleaf.wixsite.com/leaf-hp

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