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odekake

函館のバル〈ラ・コンチャ〉
旬の道産食材でバスク料理
一度は訪ねたい名店へ

おでかけコロカル|北海道・道南編

posted:2017.9.20  from:北海道函館市  genre:旅行 / 食・グルメ

〈 おでかけコロカルとは… 〉  一人旅や家族旅行のプラン立てに。ローカルネタ満載の観光ガイドブックとして。
エリアごとに、おすすめのおでかけ情報をまとめました。ぜひ、あれこれお役立てください。

photographer profile

YAYOI ARIMOTO

在本彌生

フォトグラファー。東京生まれ。知らない土地で、その土地特有の文化に触れるのがとても好きです。衣食住、工芸には特に興味津々で、撮影の度に刺激を受けています。近著は写真集『わたしの獣たち』(2015年、青幻舎)。
http://yayoiarimoto.jp

writer's profile

Akiko Yamamoto

山本曜子

ライター、北海道小樽生まれ、札幌在住。北海道発、日々を旅するように楽しむことをテーマにした小冊子『旅粒』発行人のひとり。旅先で見かける、その土地の何気ない暮らしの風景が好き。
旅粒
http://www.tabitsubu.com/

credit

取材協力:北海道観光振興機構

元米屋の木造建築で、本格スペイン料理

木造洋館や教会が建ち並び、名所として知られる函館市西部地区。
異国情緒漂う大三坂(だいさんざか)を下ると、突き当たりに歴史的建造物があります。
本格的なスペイン・バスク地方の料理を
カジュアルなバルスタイルで楽しめる名店〈ラ・コンチャ〉。

函館近郊や道産の食材をふんだんに取り入れたアラカルトメニューが人気で、
生ハムはもちろん、マヨネーズやアンチョビにいたるまですべてが自家製。
まずはちょっとずついろいろなおいしさを楽しめるおつまみ、ピンチョスを注文。
カラフルな小皿といい香りにワクワクしながら、ワインで乾杯しましょう。

ラ・コンチャの趣ある外観。もとはオーナーシェフ深谷宏治さんの祖父、深谷仁左吉さんが1917年に建てた擬似洋風建築の〈旧深谷米穀店〉。

ラ・コンチャの建物は函館市の歴史的建築のひとつで、
築90年を超える〈旧深谷米穀店〉を改築しました。
実は、ラ・コンチャの本店にあたる〈レストランバスク〉オーナーシェフで、
日本におけるバスク料理の第一人者、深谷宏治さんの生家。

店内は、スペイン風立ち飲み用カウンターのバル、
開放感のある洋風のメインダイニング、
奥には主に団体予約専用の趣ある和室があります。
和室は、函館の歴史を思わせる和洋折衷な空間で
スペイン・バスク料理をゆっくりと味わえるのも魅力のひとつです。

入り口側のメインダイニング。建物の壁や天井を生かしバスク地方の絵画が飾られたカジュアルな雰囲気が心地いい。頭上に吊るされた道産白豚の自家製生ハムが圧巻!

1984年以来つくり続けている生ハムは年間約60本を冬の間塩漬けする。熟成庫を経てお店に吊るされ、1年半以上の長い熟成期間が肉の旨みを凝縮させるそう。

取材に訪れた7月中旬の日替わりのピンチョスは、
近海の新鮮なタラ肝がフワフワにとろける〈尻岸内産タラ肝の白ワイン蒸し〉、
ほんのり辛味が効いた豚肉100パーセントのジューシーな
自家製ソーセージ〈シシトラ〉や〈厚沢部産メークインの揚げいも〉のほか、
〈十勝産マッシュルームと自家製生ハムの鉄板焼き〉など、
冷製と温製に分かれ、目移りする旬のメニューが15種類以上。
迷ったらシェフおまかせの盛り合わせを頼めば、
バランス良くサーブされたピンチョスをいただけます。

光の美しい奥の和室でいただくスペイン料理は新鮮な体験になるはず。

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スペインのバスク地方は、函館と似ている?

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もともとバスク地方では、その土地でとれるものを使って料理を提供するのがスタンダード。
ラ・コンチャでも、函館近郊を中心に北海道産の食材を生かした
旬のメニューを豊富に楽しめます。スペイン料理で最もよく使われる魚介のタラが、
道南の尻岸内で1年を通じて揚がるという地の利も函館ならでは。
鮮魚の仕入れは深谷シェフが毎日行うほか、春の山菜はシェフ自ら、
道南のとある秘密の山に出かけて採ってくるのだそう。

フォン・ド・ヴォーの旨みとバターの香りで野菜の力を引き出した〈スペイン式季節の野菜の煮もの〉(1050円)は目にも美しく、いい意味でイメージを裏切るふくよかなおいしさ。

「函館は魚介類に恵まれていて、いろいろな種類の野菜をつくる農家さんが多く、
乳製品もおいしい。すべてのものが揃うので、
素材を前面に出すことが多いバスク料理には向いているまちです」

ラ・コンチャの統括マネージャーでチーフ・ソムリエの荒川裕也さんはそう語ります。

タラ、エビ、アサリ、ホタテと新鮮な魚介のおいしさが詰まった〈魚介類のトマトソース煮〉(1450円)は、バスク地方でよく食べられている。年季の入った器はスペイン製。

まちを巻き込んだ食イベントを開催

大正時代の趣を残すオリエンタルな雰囲気の和室はしつらえも美しい。

幼い頃から、地元函館の洋食店によく訪れていたという深谷シェフは、
洋食の道へ進み、ヨーロッパで修業先を探すうち、
縁あってスペイン料理界を代表するシェフのひとり、ルイス・イリサール氏に出会い、
スペインのサンセバスチャンで3年間修業に励みます。
函館に戻り、1981年、レストランバスクをオープン。

スペイン・バスクの食そのものはもちろん、バルが建ち並び、
住民たちがはしごしながら賑やかに楽しむ文化にも感銘を受けた深谷シェフ。
2004年、気候的にも港町としても共通項の多い
バスクの日常風景を函館でも楽しめるようにと開催したバル街イベントが大好評を博します。

その後も、春と秋の函館で開催される1日限りの食べ飲み歩きイベント
〈函館西部地区バル街〉として定着し、
2017年で13年を迎えるバル街は参加店舗も70軒を超える規模に成長しています。

西部地区活性化の流れを汲み、ラ・コンチャは
バル街の第3回目の開催に合わせて2005年にオープン。
ベイエリア地区の会場として、当日は店の外まで大勢のお客さんでにぎわいます。

食を通じて、本当の豊かさを伝えたい

ほかにも、自身の主宰する函館市のプロの料理人の集まり
〈クラブガストロノミーバリアドス〉が
道南で復刻させた銘柄米〈マツマエ〉をパエリアに使用するなど、
函館という郷土への並々ならぬ思いと、人とのつながりを生かし、
食文化から函館のまちづくりを仕掛ける深谷シェフ。その根底にあるのは「楽しむこと」。

「食べる楽しみだけじゃなく、楽しむということが大切。
シチュエーションを含めて豊かさを感じてもらいたい。
食を通じて幸せになれるような店づくりをしたいと思っています」

シェフの提案するそのライフスタイルこそが、
ふたつのお店や北の港町で行われるさまざまなイベントの原動力です。

左から笑顔がすてきなスタッフの布目さんと畑田さん。右は統括マネージャーでソムリエの荒川裕也さん。

ラ・コンチャのコンチャとは貝殻のこと。
美しい港のことをバスク地方ではコンチャ海岸と呼ぶそう。
港町函館に、美食のまちバスクの新しい風を送り込み続けるラ・コンチャ。
手をかけられたひとつひとつの料理のおいしさはもちろん、
あたたかなサービスやセンスの行き届いた空間まで満喫しながら、
陽気にお皿と杯を重ねるひとときを。

information

map

バルレストラン ラ・コンチャ

住所:函館市末広町14-6

TEL:0138-27-2181

営業時間:火曜〜土曜17:00〜23:30(LO22:30) 日曜17:00〜23:00(LO22:00)

定休日:月曜日

駐車場:4台

Web:http://www.vascu.com/laconcha/

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