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幻の果実「じゃばら」とは!?
日本で唯一の飛び地、
和歌山県北山村でしか採れない

コロカルニュース

posted:2014.12.20   from:和歌山県東牟婁郡北山村  genre:食・グルメ

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writer profile

Akiko Saito

齋藤あきこ

さいとう・あきこ●宮城県出身。図書館司書を志していたが、“これからはインターネットが来る”と神の啓示を受けて上京。青山ブックセンター六本木店書店員などを経て現在フリーランスのライター/エディター。

和歌山県北山村でしか採れない「じゃばら」

「じゃばら」ってご存知ですか?
紀伊半島の中央部に位置する、和歌山県北山村でしか
採れないフルーツ。
サイズは小ぶりなみかんよりもひと回り小さいくらい。
色は鮮やかな緑色から熟すともに黄色になっていきます。
お味のほうは、強烈な酸っぱさのあとにほんのりと苦味が残る「にがうま」感と、
まろやかな風味が特徴。なんとも癖になるおいしさで人気なんです。

そもそも「じゃばら」は北山村に暮らす村民の敷地に
1本だけ自生する自然雑種でした。
のちに、花の分析などをおこない、調査、研究をした結果、
日本国内だけではなく、世界中をさがしても、
まったく同じものは他にひとつとしてない、新しい品種で
あることが明らかになったのです。以来、北山村の人々は
じゃばらの木を排除することなく、大切に育てあげてきました。

じゃばらの成分「ナリルチン」が花粉症対策に

その結果、今ではじゃばらは一大産業として成長、
村を支える果実にまでなりました。
きっかけは、なんと花粉症。

今や日本の国民病とも言われる花粉症ですが、
インターネット上で、「じゃばらが花粉症に効く」という口コミが
じわじわと広がったんです。

実際に調査したところ、
抗アレルギー作用が期待されるフラボノイド成分のひとつであるナリルチンが、
他のかんきつ類と比べても、とても多く含まれていることが明らかになり、
本格的に人気に火がついたそう。
以来、むらをあげてじゃばら果汁やじゃばらドリンク、じゃばらジャムにじゃばら飴など、
あらゆる商品の開発にも力をそそいでいるのだとか。

勢いあまって、じゃばらの神社までつくっちゃいました。

じゃばら農家の宇城さん

じゃばらは正月料理には欠かせない縁起物

さらに、じゃばらの語源は「邪(気)をはらう」というところから来ていますので、
じゃばらの果実自体もたいへん縁起がよく、お正月料理にもおすすめの縁起ものです!

いろんなものに加工されています

ところで北山村は、和歌山県でありながら
和歌山県のどの市町村とも隣接しておらず、隣接しているのは三重県と奈良県だけ。
このような一風変わった土地のことを「飛び地」と呼ぶのですが、
現在は日本で唯一北山村しか存在していないところなんです。
そんなところも、ますますじゃばらのミステリアスな魅力をかきたてます。
花粉症に悩まされている方はもちろん、縁起の良さや、
にがうまな魅力を堪能したい方、ぜひ試してみてください。

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