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滋賀県長浜市・米原市(湖北地域)

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5 konefa samuraiに共鳴するクリエイター。 digmeout

作家が農家に合宿してつくる
「農家アート」なる新ジャンル。

家アートというイベントが去年と今年の2回開催され、
大きく関わっているのが、大阪のラジオ局FM802の アーティスト発掘プロジェクト「digmeout」のクリエイター (写真左下から時計回りに、digmeout ART&DINERマスター 古谷高治さん、 プロデューサー 谷口純弘さん、イラストレーター CHO-CHANさん、 イラストレーター dannyさん、フォトグラファー 桑島薫さん)だ。
大阪でアーティストとして活動している彼らが、 konefa samuraiに関わることになり、 農家のイメージアップに一役買うことになる。

もともとは写真家のMOTOKOさんが谷口さんに話を持ちかけ、
konefa samuraiが主催する田植えイベントに参加。
そこから農家とアートをつなげる試みを考え始めた。
そして谷口さんの発案で、所属のアーティストを引き連れて、
湖北の農家へ合宿することになる。

「konefa samuraiは同世代だし、こちらから行って、 一緒に汗流して、しゃべって、お酒でも飲んだら、 どんな人たちかわかるんじゃないか? みたいな軽いノリで参加しました。 プライベートの話ばかりで、農家とアートで何する? ということは ほとんど話しませんでしたね」(桑島さん)
「訳がわからないまま終わった感じ。
農作業を手伝ったり、自転車で田んぼを回ったり。
とにかく感じたままに描けばいいのかなあと」(dannyさん)

農家とアートをつなげること。
言葉では簡単だけど、過去にやったことがないことだけに、
その実態がイマイチ掴めない。

そして実際に「農家アート」というイベントが決定するが、
農家側も、アーティスト側も、頭が整理できていない状態。
どんなイベントにするか?
どんな作品を出すべきか?という自問自答のなかで、
自分たちなりの答えを見つけ出していった。
「お互いに、仕事のことを語り合ったんです。 どんな想いで農作物を育てているのか。 そしてどんな想いで写真を撮ったり、絵を描いているのか」(桑島さん)
「じっくり話を聞くと、彼らから農業の熱い想いが出てくるんです。
自分のやっていることに、みんな誇りを持っている。
だから、まずはそんな農家を知ってもらうこと」(CHO-CHANさん)

しかし、なかなか共通言語を見つけられない両者。
お互いの思いを理解できなかったり、本音を話せなかったり。 少しずつだがほぐれていくにしたがって、 だんだんと“農家アート”にのめり込んでいった。 最初の合宿以降も、アーティストはそれぞれの農家に泊まりこみ、 交流しながらインスピレーションを得て、実際に作品制作を続けていく。

「正直言って、最初はこんなに熱を入れることになるとは 思いませんでしたよ。ただ、konefa samuraiといろいろな活動をするうちに、 何か未来が見える気がしました。 私たちがもっともっと農家の意見をアピールすることができたら、すごく 広がりのあることになるんじゃないかと感じたんです」(CHO-CHANさん)
「konefa samuraiのメンバーはみんな、 プライベートの話をしているときは私たちの都会の友達と変わらないのに、 農業や田んぼのことになると急に顔が変わって、 すごく愛おしそうにしゃべるんですよ。 まるで赤ちゃんを抱いているかのように。 こんなに純粋で、 こだわりを持って仕事している姿を伝えたいと思いました」(桑島さん)

こうしてハガキやバッヂ、手ぬぐいなどの小物を販売したり、
農具や長靴に絵を描いたり、絵本のような冊子を制作するなど、
より一般的にわかりやすいかたちで農家をアピールすることにした。

「でも、一番根本には、まずは彼らを喜ばせたいと思えたことがあります。 ものづくりってみんなそうだと思うし、 彼らが農産物をつくっているのも同じ気持ちだと思います。 これからもずっと付き合っていったら、 もっと素敵なことが起こりそうな予感があるし、 何かが変わる瞬間が見られると思います」(dannyさん)
「最近行われている食のイベントでは、 より生産者を意識したプログラムが増えてきています。 そこでは料理人よりも、農家であることがブランドになってきているんです。 そのような風潮のなかで、 私たちなりのやり方で農家の地位向上を目指したい」(桑島さん)

今後、農家がより良いものになるために、
アートにも出来ることがきっとあるだろう。
まずはdigmeoutがその指針を示してくれた。

「食べ物には、作り手がいるということを、まずは認識してもらいたい。 そして、顔が見える人がつくったものなら、もっとおいしいはず。 そこまではそこそこできつつあるので、 これで終わってしまわないように、 発展させていくのが今後の課題だと思います。 農家アートを全国へと広げていくことで、 農家をイメージ良くアピールしていきたいと思います」(古谷さん)